OPUS OF THE YEAR 2021
[ 特集 ] 2021年の100枚+

どんな一年だった?なんて呑気に振り返るのも難しいかもしれない……でも、そこに鳴っていた音が、こんなアルバムたちと共にいい記憶として残っていきますように!

 


bounceの選ぶ2021年の100枚

BiSH 『GOiNG TO DESTRUCTiON』 avex trax(2021)

さらにスケールアップして念願の〈紅白〉出演も決めた年らしからぬ、〈破壊〉をテーマに掲げた堂々の一枚。謎めいた焦燥感と過去を振り返るニュアンスの濃厚さもある種の感慨を掻き立ててくる力作でした。 *出嶌

 

DURAND JONES & THE INDICATIONS 『Private Space』 Colemine/Dead Oceans/BIG NOTHING(2021)

ドラン・ジョーンズを中心にしたソウル・バンドの3作目で、アーロン・フレイザーのソロ作も挿んだ今回はAORやディスコの手札も増やし、よりオーガニックでグルーヴィーなバンド・サウンドを展開。時流はさておいても何より曲が良かったです。 *出嶌

 

EASY LIFE 『life’s a beach 』 Island/ユニバーサル(2021)

BBCの〈Sound Of 2020〉にも選出された英レスター出身バンドのポップな初アルバム。チルなお洒落感とジャズやアフロも交ぜたオルタナティヴ折衷ソウルという感じで、現代病を描く詞も含めてモダンな20年代っぽさが感じられました。 *出嶌

 

INHALER 『It Won’t Always Be Like This』 Polydor/ユニバーサル(2021)

アイルランドの実力派新人バンドが見事に全英No.1を獲得したファースト・アルバム。初期U2を彷彿とさせる眩しい80sニューウェイヴ感覚も纏い、エッジーな演奏力やポップなソングライティングも風格を窺わせるものでした。 *出嶌

 

Mom 『終わりのカリカチュア』 ビクター(2021)

時流を捉えたビートとサウンド・コラージュ、自由なフロウがより磨かれた最新作を構成するのは、コロナ以降の空気を纏った19曲。ヒップホップやフォーク・ミュージックのカウンター精神で時代を記録したポップソング集に。 *土田

 

PRINCE 『Welcome 2 America』 NPG/Legacy/ソニー(2021)

2010年の春に録音されていた楽曲集。意図してカーティス・メイフィールドら先達を連想させるコンシャスな面を前に出したシリアスな内容は、BLM運動の高まりを経た2021年にもリアルに響くものでした。 *出嶌

 

Slowly 『Let The Music Take Your Mind』 Flower(2021)

クラブ・シーンのヴェテランによるアルバム回帰も垣間見える昨今、心地良いバレアリック世界を展開するSlowlyは実に15年ぶりの2作目を発表。LUVRAWとの日本語曲からソウル名曲カヴァーまで架空のリゾート気分に悶絶……。 *出嶌

 

SMTK 『SIREN PROPAGANDA』 APOLLO SOUNDS(2021)

ドラマーの石若駿が同世代のミュージシャンたちを集めて結成したバンドの2作目。演奏力の高さやアヴァンな展開も備えたカッコ良さには圧倒されるばかり。名を連ねる細井徳太郎やDos Monosらの作品にも注目しときたい一年でした。 *出嶌

 

arauchi yu 『Śisei』 KAKUBARHYTHM(2021)

クラシックやジャズにサンプリングの手法を持ち込んだ、ceroのメイン・コンポーザー/鍵盤奏者による初のソロ作。変拍子やポリリズムを下地に多様な音楽性が混在しつつ、不思議と耳馴染みの良いチェンバー・ポップ集だ。 *土田

 

CHUBBY AND THE GANG 『The Mutt’s Nuts』 Partisan/BIG NOTHING(2021)

アイドルズやフォンテインズDCを擁するパルチザンが通年で絶好調だったなか、こちらのロンドン産パンク・バンドのセカンド・アルバムもフレッシュな注目作のひとつでした。他にない泥臭さが魅力的で今後にも期待です。 *出嶌