ドイツ・グラモフォン、デッカの人気、クォリティーともに最高でエバーグリーンな名盤をシリーズ化
〈百貨店〉というのは郷愁を誘う言葉である。子供の頃、親に連れられて、いろいろな売り場をめぐり、オモチャ売り場で駄々をこね、屋上遊園でコーピーカップに乗り、大食堂でお子様ランチを食べる……といったことは誰しも体験してきたことだろう。そして、何かと敷居が高いと言われるクラシック音楽を〈百貨店〉化したのが、新旧のトップ・アーティストによる豊富な名盤群を所有するユニバーサルミュージックの今回のシリーズだ。
一口にクラシック音楽といっても、作品の楽器編成は一人でする器楽曲から、百人に及ぶ交響曲、それに歌手達が加わる歌劇まで、〈百貨店〉のようにバラエティーに富んでいる。そこで、ユニバーサルミュージックは作品の楽器編成(ジャンル)を〈売場〉に見立てて五つに分け、それぞれの代表作をクラシック関係者にアンケートをとって20ずつ選ぶ、というCD史上、類の無いユニークな企画を発案、実施した! こんなことが出来るのも、全ジャンルにまんべんなく名盤を録音してきたユニバーサルミュージックならではである。
アンケート結果も関係者が選んだだけあって、ベタな名曲だけでなく、一般にはあまり知られていないものの、実は感銘深い作品が入っていることも特筆される。
例えば〈器楽曲〉の9位に入ったシューベルトのピアノ・ソナタ第21番。31歳の晩年(!)に書かれたこの作品の複雑な味わいは、クラシック音楽奥の院とも言えるもので、この曲からクラシックにはまってしまうこともあるかも。〈交響曲〉の2位が“運命”“新世界”を差し置いて、ブラームスの第4であるのもサプライズ! しかし、これもクラシック・ファンだけに独占させておくのは勿体ない憂愁漂う名作。ロックにもなった派手やかな第3楽章のあと、暗く厳しい終楽章で締めくくられるのも人生を象徴するかのよう。演奏者もそれぞれの曲目でベストの布陣であり、上記したような作品の真価が強烈に胸に迫ること請け合い!
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