歌曲とは言葉と音楽が一体となった芸術作品。そして言葉(=歌詞)も言語が異なるだけで全く違う世界が映し出される。〈はっぴぃえんど〉でその作詞の才能を遺憾無く発揮した松本隆はクラシックにも造詣が深く《美しき水車小屋の娘》等、歌曲の現代日本語訳も手掛けてきた。この《冬の旅》もそんな彼の日本語のセンスが煌めく逸品である。初リリースから20年の歳月を経て装い新たに登場。この上なく美しい装丁の詩集、新進気鋭の若手実力者が奏でる新録音、シューベルトの旋律美、松本隆の言葉。現代に蘇った 「180年前の音楽」は、もしかしたら今僕達が必要としている芸術の姿なのかもしれない。