グルーヴィーな演奏とメロウネス溢れる歌声で〈ツマミになるグッドミュージック〉を奏でる4人組、YONA YONA WEEKENDERS。先日、待望のファーストアルバム『YONA YONA WEEKENDERS』を2021年11月3日(水)にリリースすることを発表しました。そんな彼らのフロントマン、磯野くんの連載が〈ラーメンから歌が聴こえる〉です。
“R.M.T.T”(ラーメン食べたい、の意)という曲があったり、6月にリリースしたシングル“Good bye”は“R.M.T.T”のモティーフになったラーメン屋の店主への鎮魂歌でもあったりと、自他ともに認めるラーメン好きの磯野くん。この連載では、そんな彼が愛してやまないラーメンを、音楽にたとえながら紹介してくれます。
今回は、東京・渋谷の老舗中華屋、兆楽に入店。〈THE 町中華〉な同店のラーメンから聴こえる歌とは? *Mikiki編集部
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磯野くんとシソンヌ長谷川さん
我々のファーストEP『夜とアルバム』(2019年)のリード曲”アルプスへGO!”のミュージックビデオで、僕が南アルプスの山中に生き埋めにされてからもうすぐ二年の月日が経とうとしている。
ただのしがないサラリーマンバンドだったYYWも、少しずつ色々なメディアで取り上げて頂けるようになった。
露出が増えていくなかで、「ヨナヨナのボーカルってシソンヌの長谷川(忍)さんに似てね?」という声を耳にする機会も増えた。髪型とメガネだけやん……と思っていたが、最近仕事の取引先でもしょっちゅう言われるので結構似ているんだろう。元々僕はお笑いが大好きだし、「キングオブコント」でシソンヌを知って以来の大ファンなので、まんざらでもない。
そんな背景もあり、昨年末くらいに「いつか磯野くんと長谷川さんが入れ替わるみたいなMVが撮れたらおもしろいよね」なんて話をしていたら、今回我々の新曲”終電で帰ります”で、なんとシソンヌとの共演が実現してしまった。月並みではあるが、マジでバンドやってて良かった。
お二人には多忙なスケジュールの合間を縫って撮影に参加して頂いたのだが、流石は超実力派のコント職人。迫真の演技で、じろうさんに関しては途中から本当におばさんなんじゃないかと錯覚してしまうくらいだった。プロフェッショナルな部分が見えつつも、カメラが止まると撮影クルーを笑わせて現場の雰囲気を和やかにしてくれたり、僕たちにも気さくに話し掛けて下さったりと、ますますファンになってしまった。お二人ともラーメン好きということで、都内のラーメン屋話でも盛り上がった。
今回は折角なので、町中華がお好きという長谷川さんにオススメしてもらった、渋谷宇田川交番のすぐ側にある〈兆楽〉にお邪魔することにした。
飾り気なんてなくていい、町中華はこうでなくっちゃ
兆楽は、あのヘンテコな形の交番と角海老のソープと共に余裕で脳内再生出来るくらいある種センター街のシンボル的な店だが、実は数年前に一回行ったかな〜くらいで、店内での記憶はほとんどない。付近でラーメンを食べようと思うと、天一や神座、一蘭など僕の好きなチェーン店がたくさんあり、そっちに吸い込まれてしまっていたからだ。
昼過ぎに到着すると、店内は若いカップルやサラリーマンのおじさんなど、様々な属性のお客さんで賑わっていた。カウンターの内側ではスタッフ達が忙しなく中華鍋を振っている。大声でオーダーを通す中国人のおばちゃん。壁に所狭しと貼られたメニューと一番搾りのポスター。飾り気ない〈THE 町中華〉な雰囲気がなんだか心地よい。
ここの名物はルース(所謂チンジャオロース的なやつ)らしい。ルースチャーハン、ルース焼きそばなどいろいろなラインナップがあるが、やっぱりラーメンも啜りたい……と思ったら、ルースラーメンセット(950円)という半チャーハン付きのセットを発見。こちらを注文する。
中華料理店らしく瞬く間に着丼。流石の手際の良さだ。黒っぽい醤油スープの上に例のルースがドンと乗っている。チャーハンは卵とチャーシューのみのシンプルな見た目。そうそう、飾り気なんてなくていい。町中華はこうでなくっちゃ。
鶏ガラに旨味調味料の効いた醤油スープはまさに〈THE 町中華〉。ちょっと雑味のある醤油が、ノスタルジーな味わいを演出している。麺は中太のストレート麺。こちらもしっかりとコシがあって美味い。今度はルースを絡めて麺とスープをすする。細切りにされた豚肉とタケノコの食感が小気味良い。餡は甘辛く味付けされており、これがスープに溶け出してまろやかな味わいにしてくれる。
パラパラのチャーハンはシンプルな味付け。ラーメンのルースを少し乗せ、ルースチャーハンにして頂く。我ながら素晴らしい采配と言えよう。
提供スピードに勝るとも劣らない速さであっという間に完食。スープと水を何往復もして、少しだけスープの余韻を口内に残しつつ店を後にした。