幻覚セラピーのための実用音楽とは?

2013年の『Immunity』と2018年の『Singularity』は共に力強いビートとエネルギッシュな直進性を備えたダンス・アルバムで、ジョン・ホプキンスというプロデューサーをビッグ・アクトに押し上げた作品だったが、〈幻覚セラピーのための音楽〉と題された3年ぶりの新作『Music For Psychedelic Therapy』を聴けば様相の違いに戸惑う方も多いだろう。本作は2018年にアマゾンの洞窟群への探検を経験した彼が、そこでの体験に着想を得て、制作に取りかかったという一枚。さらには自然に身を任せ、大きな解放感を味わいながら制作を進めるうちに、いつしか〈セラピーの一端を担う音楽を作る〉という目的へ辿り着いたそうだ。ノンビートで、アンビエントともクラシックとも違う、世界中で合法化が進む幻覚セラピーを行う際に使用するための実用音楽。制作途中で実際に幻覚剤を用いて効果の程をテストしていたりもしたそうで、いわゆるガチ中のガチ。ご興味のある方は用法・用量を守って正しくお使いください。