怒りを胸に現世へと降り立った〈冥界の王〉が、幾度もの革命の果てに辿り着いた現在地――10年の歳月を集約した怒濤のへヴィー・サウンドに震撼せよ!

結成10周年の節目に

 〈Listen to my evolution〉――その一言が、このバンドを的確に表わしているような気がしてならない。

 今年で結成10周年を迎えるギルガメッシュの初ベスト・アルバム『LIVE BEST』。バンドがこれまで世に放った作品から満遍なく楽曲をピックアップした本作は、タイトルからもわかる通り、彼らの真骨頂である圧倒的な熱量のライヴを疑似体験できるような一枚に仕上がっている。

 「ライヴに初めて来る人って、やっぱり事前に曲を知っておきたいと思うんですけど、これを聴けばわかるものになってます。タイトルは〈SET LIST〉でも良いと思ったぐらい。直球ですけど(笑)」(愁、ベース)。

ギルガメッシュ 『LIVE BEST』 DANGER CRUE(2014)

 また、収録するにあたって楽曲に〈ReMIX〉を施している。リミックスと聞くと、原曲を解体/再構築するようなイメージを自然と思い浮かべてしまうが、原曲の雰囲気はしっかりと残したまま、最新型のサウンドに磨き上げたものとなった。

 「曲を集めて、リマスターして、音量揃えて、はい出荷みたいな(笑)、そういうのは絶対にやりたくなかったんですよ。すでにその曲を持ってる人もいるんだから、何かしら変えたかった」(Яyo、ドラムス)。

 「〈(曲を)思いっきり変えたらおもしろいんじゃないか?〉っていう話もあったんですけど、それだと新曲になっちゃうし、この構成、このフレーズだから成り立っているんだから、やっぱり原曲は大事にしようって」(弐、ギター)。

 アルバムを出すたびに、リスナーを驚かせ続けてきたギルガメッシュ。その始まりは、同級生だった弐と愁が偶然再開し、そこに弐の弟であるЯyo(2人が兄弟であることは非公開だったが、10周年を期に解禁)、後から左迅(ヴォーカル)が加入する形で、千葉にて結成。初期の頃は、黒いスーツに身を包み、怒りや恨みを轟音に乗せて叫び倒し、周囲を威圧するようなスタイルを取っていた。

 「10代の頃に影響を受けたニュー・メタルみたいな、ズッシリくるヘヴィーなサウンドのバンドをやりたいっていうことしか考えてなくて。みんな経験もゼロだったから、それしかできなかったんですよ。〈激しい音=怒り〉とか、そういうことでしか表現できる幅がなくて、ただガムシャラにやっていた感じ」(Яyo)。

 「結成当初は周りが見えてなくて、ただ自分が歌いたいとか、怒りをぶつけたりとか、完全に一人の世界でやってたんですけど。でも、一個の分岐点があって。音楽とかバンドって、誰かの人生を変えられるんだなって思ったことから、意識が変わりましたね。自分のためだけじゃなく、人のためにも歌おうっていうふうに。いまもその気持ちで歌ってます」(左迅)。