ベット・ミドラー、ウィリー・ネルソン、マイケル・マクドナルド、ケニー・ロギンス、ジギー・マーリーなど豪華アーティストが参加、ジェイクが伝えたかった思いとは──

 オープニングとエンディングの曲目を、そしてそこでの共演者の名を見ただけで、ジェイク・シマブクロがこの『ジェイク&フレンズ』に託した思いのようなものが伝わってきた。これは豪華なゲストたちとの共演を伝えるだけではない、漠然とだけど、世界的なパンデミックで不安や危惧を抱えて久しいぼくらと大切な思いを共有させてくれるに違いないと。なにしろ、幕開けは、1966年、スティーヴィー・ワンダーで親しまれた“ア・プレイス・イン・ザ・サン”だ。悲しいとき、辛いときでも前を向いて歩いていく、そうすれば必ず陽の当たる、希望の場所がある、と、大雑把に言えばそんな歌だった。ハワイの同胞ジャック・ジョンソンとポーラ・フンガと一緒だ。最後は、“ゲット・トゥゲザー”をジェシ・コリン・ヤングを迎えてやっている。チェット・パワーズ、すなわちディノ・ヴァレンティが書き、ジェファーソン・エアプレインを含め多くの人に取り上げられてきた愛と自由を讃える歌で、殊に、1969年、ジェシ率いるヤングブラッズのが親しまれた。

 だからと言って、深刻ぶった窮屈なアルバムなんかではない。共演者たちと音楽を共有する瞬間のワクワクした気持ちに創意を注ぎ、楽しみ、結果として、日頃から彼が音楽にどう向き合っているかが伝わってくる特別な1枚になったということだ。

JAKE SHIMABUKURO 『Jake & Friends』 ソニー(2021)

 最初は2、3組のゲストを迎えようと始まったらしいが、結局、アルバム一枚分の豪華なゲストが集まった。サニー・ランドレスとの熱気あふれるセッションがあれば(“サニー・デイズ・アヘッド”)、ウォーレン・ヘインズとの13分にも及ぶ、圧巻のセッション(“オン・ザ・ロード・トゥ・フリーダム”)がある。ウクレレという楽器がこれほど手に汗握るダイナミズムを備えていたのかと驚くくらいだ。いっぽう、ジギー・マリーとの“オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ”を聴いていると、ウクレレのチャーミングな側面に触れ、名称の由来が飛び跳ねるノミというのが思い出されたりもする。

 “カム・マンディ”でのジミー・バフェットへの敬意も微笑ましい。そう言えば、バフェットは、TV「HAWAII FIVE-O」にゲスト出演していたなと思ったり、ウィリー・ネルソンとの“スターダスト”、ルーカス・ネルソンとの“ファインド・ユアセルフ”を聴くと、早くマウイ島に行きたくなってきたりする。ベット・ミドラーが、さりげなく、だけど大切な気持ちを込めて歌う“ザ・ローズ”も、忘れがたい曲になりそうだ。各々ゲストの背後から、彼らが象徴する多彩な音楽性が覗けるのも、もちろん聴きどころである。