IGOR MARKEVITCH, THE PHILHARMONIA ORCHESTRA 『ディアギレフへのオマージュ(限定盤)』 Warner Classics(2022)

史上最も美しいアルバムが68年ぶりにオリジナル装丁LP3枚組で復活!

 クラシック・ファンのみならず全音楽ファン、全アナログ・ファン必見の〈史上最も美しいアルバム〉が68年振りにオリジナル装丁のLP3枚組として復活する。1954年にフランスとアメリカでだけ豪華装丁で発売された『ディアギレフへのオマージュ』LP-BOXである。

 セルゲイ・ディアギレフ(1872~1929)は、20世紀初頭のパリでバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)を立ち上げ、フォーキン、ニジンスキー、マシーン、バランシンなどの傑出したダンサー、ピカソ、バクスト、ブノワ、ドランなどの天才画家、ストラヴィンスキー、ラヴェル、ファリャ、サティなどの大作曲家を結集して「ペトルーシュカ」「ダフニスとクロエ」「三角帽子」「パラード」などの傑作バレエを次々に生み出した伝説的なプロデューサーである。このアルバムはディアギレフの没後25年に際し、ディアギレフが最後に売り出した作曲家・指揮者のイーゴリ・マルケヴィチ(1912~1983)がその大恩に応え、バレエ・リュスゆかりの作品を11曲選んでモノラル録音したもの。それを2022年3月のディアギレフ生誕150年に合わせて完全復刻したのが今回のLP-BOXなのである。

 ジャケット写真をご覧になって判る通り、外装BOXからしてカラフルだが、これはバレエ・リュスの美術陣の1人、ナタリア・ゴンチャロワ(1881~1962)がこのアルバムのために描き下ろしたもの。32ページのブックレットにはディアギレフ、バレエ・リュス、各収録曲の紹介、及びマルケヴィチの賛辞がフランス語と英語で収められたほか、当時の写真やデッサン(モノクロ20点)や舞台装置や衣装デザイン(カラー9点)が印刷されており、3枚のLPと合わせてバレエ・リュスの時代を体感できる内容となっている。

 収録作品は有名曲ばかり、マルケヴィチならではのシャープな快演が揃い、モノラルながら音質も鮮明。売り切れてコレクターズアイテムになる前の購入をお勧めしたい。

 


RELEASE INFORMATION
イーゴリ・マルケヴィチ (指揮)、フィルハーモニア管弦楽団『ディアギレフへのオマージュ(限定盤)』
〈Side A〉サティ:バレエ音楽「パラード」 ウェーバー(ベルリオーズ編):「薔薇の精(舞踏への勧誘)」
〈Side B〉ドビュッシー::牧神の午後への前奏曲」 ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
〈Side C〉チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」(抜粋)
〈Side D〉ショパン:バレエ音楽「レ・シルフィード」~マズルカ第23番Op.33-2 トマジーニ:バレエ音楽「上機嫌な婦人たち」組曲(原曲:D.スカルラッティ) ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」~粉屋の踊り
〈Side E〉プロコフィエフ:バレエ音楽「鋼鉄の歩み」組曲Op.41bis
〈Side F〉リャードフ:交響詩「キキーモラ」Op.63 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3つの断章
【録音】1951-1954年No. 1 Studio, Abbey Road, London (MONO)