Alexander Gadjiev ©Rainer Maillard

21年シドニー国際優勝&ショパン国際第2位、注目のDECCAデビュー盤!!

 21年のシドニー国際を制し、同年のショパン国際で第2位入賞したイタリア/スロヴェニアの若手アレクサンダー・ガジェヴ(ピアノ)。この度、DECCAにて注目のデビュー盤を発表した!

 収録音源は、シドニー国際(コロナ渦でオンライン実施)に提出した演奏会形式動画のリマスター。1次、2次、ファイナルの各審査ハイライトを壮大な音楽旅行のように楽しめる。

ALEXANDER GADJIEV 『アレクサンダー・ガジェヴ~ライヴ』 Decca/ユニバーサル(2021)

 地元・豪州の作品を入れた上で選曲自由の1次。彼は、ハイドンのソナタ第58番、ショパンのバラード第4番、メシアン“幼子イエスに注ぐ20のまなざし”より、スクリャービン“3つの小品”より、ヴァイン“5つのバガデル”よりを選曲した。

 「ステージごとに楽器を弾き分ける前提で選曲し、ここではフランス風の内省的な作品をカワイで弾きました。特に思い入れ深いのがスクリャービン。短い中に侘びさびのような情緒を完璧に描き、作曲当時の薫りをみごとに凝縮しています。ヴァインがエイズ犠牲者に捧げた哀悼歌である本作は今回が初挑戦。他に魅力的なソナタなどもあるので心を惹かれます」

 続く2次ではファツィオリを使用し、ショスタコーヴィチの前奏曲とフーガ第4番と、プロコフィエフのソナタ第7番を演奏。

 「テーマのロシアに合わせて、重厚なファツィオリを選びました。ここでは録音技師と、ピアノ教師でもある父のサポートを得て、ライヴのような緊張感の中で弾けました。プロコフィエフのソナタは、幼少頃から父がよく弾くのを聴いた家族の伝統のような作品。長い時間をかけてクライマックスへと至る流れは、古今のソナタの中で最も劇的な瞬間を作り出していると思います」

 そしてファイナルの演目が、スタインウェイで弾いたリスト“詩的で宗教的な調べ”よりだ。

 「2次の薫りを受け継ぎ、プロコフィエフの世界観にも劣らず、締め括りにもふさわしいのはこの名器と傑作で描く葬送だと思って」

 本作はまた、同年に亡くなったショパンの死を追悼しているとも言われ、結果としてこの後のショパン国際に繋がるいい流れになったのかもしれない。このように広範かつ柔軟な音楽性を示し、持ち味の繊細な音色と大胆な即興性を存分に発揮したガジェヴ。今後は「長い時間をかけて学んだショパンの後期作品を録音してみたい」そうで、6~7月に協奏曲とリサイタルの双方で来日公演も開催予定。その動向からますます目が離せない!!

 


LIVE INFORMATION

富士山静岡交響楽団/広上淳一指揮
2022年6月25日(土)静岡 静岡市清水文化会館  
2022年6月26日(日)静岡 アクトシティ浜松 中ホール

リサイタル
2022年6月29日(水)東京・初台 東京オペラシティ コンサートホール
2022年6月30日(木)新潟 新潟市音楽文化会館
2022年7月2日(土)大阪 ザ・シンフォニーホール
2022年7月3日(日)福岡・天神 FFGホール
2022年7月5日(火)広島 広島東区民文化センター
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