©Akinori Ito

クラシックの魅力を伝え導く、華麗なるアンバサダーの誕生

 3歳からヴァイオリンを習い、11歳で運命の楽器〈フルート〉を手にしてから様々な音楽コンクールで入賞を果たしているCocomiは現在、桐朋学園音楽大学に在学中。今回、クラシックの名門ユニバーサル ミュージックからスペシャルなデビュー盤『de l’amour』を携えてシーンに降り立つ。

Cocomi 『de l’amour』 ユニバーサル(2022)

 「アルバムを出せるなんて身に余ります。光栄すぎて言葉になりません。でも子どもの頃からずっとクラシックに親しみ、この楽しくて素敵な音楽をもっと沢山の人に伝えたいという夢のために、頑張ります! 最初に楽器を始めたきっかけは、ジブリ映画『耳をすませば』でヴァイオリン職人を目指している天沢聖司くんに恋をしたから。でも、彼のように弾けたらいいなと思って通っていた教室で、隣のクラスのフルートの子が気になって、だんだんフルートの音色に憧れをもつようになりました。もともとオーケストラの中ではフルート奏者に注目していたし、大好きなフランス語とタンギングや息遣い、アーティキュレーションなどの点で、強い結びつきを感じたのです」

  アルバム・タイトルはプーランクの歌曲“愛の小径”の原題“Les Chemins de l’amour”から。この曲を筆頭に、マスネ、フォーレ、サン=サーンスとフランス音楽のエッセンスに溢れた1枚になっている。

 「フルート・ソナタでも知られるプーランクはお気に入りの作曲家。愛する人と過ごした想い出がいかに美しかったかを描いた“愛の小径”の歌詞が、制作過程での夢のような出会いや素晴らしい体験がいっぱい詰まった今回のアルバムと通じるものが大いにあり、タイトルに相応しいと思ったのです。他にも、私が私であるために欠かせない、想い入れたっぷりの楽曲ばかりを選曲しました」

 レコーディングにはアレクサンダー・ガジェヴ(ピアノ)やニュウニュウ(同)を始め、国内外からスター演奏家たちが共演者として参加。Cocomiの持つ無限の可能性を引き出している。

 「“愛の小径”を佐藤晴真さん(チェロ)と金子三勇士さん(ピアノ)のアンサンブルで収録した日は家に帰ってからも興奮が収まらなくて眠れませんでした。
 マスネの“タイスの瞑想曲”ではデイヴィッド・ギャレットさんが、クライスラーの“愛の喜び”ではレイ・チェンさんがリモートで、まるで魔法でもかけるようにヴァイオリンの演奏を合わせてくれたのも忘れられない。牛田智大さんも私の意図を瞬時に見抜いてパーフェクトなピアノ演奏を披露してくれました。
 そしてミロシュさんと共演したフォーレの“シシリエンヌ”では、彼の奏でるギターを途切れさせないようにしつつ、いかに自分らしい音楽を作れるかに挑戦できて最高の気分でした。ポジティヴな雰囲気を醸し出すサン=サーンスの“白鳥”など、斬新なアレンジにもご期待下さい」

  ハイブランドDiorのアンバサダーであり、雑誌「VOGUE JAPAN」の表紙を飾るなどモデルとしても活躍中。Instagramで190万フォロワーを抱える強力なインフルエンサーでもある彼女が、クラシック界に旋風を巻き起こしそうだ。