
アニメと日米のロックを融合させて唯一無二のバンドに
――一方で、HYPER SLASHがプレイするようなロックサウンドというものは中国ではどんな盛り上がりを見せてきましたか?
FOLDER「数年前は中国のロックというものはそこまでメジャーではありませんでした。2、3年前に『バンドの夏』という配信番組がヒットして、そこから急激にロックサウンドが注目を集めていきました」
――HYPER SLASHが注目を集めるきっかけとなった番組ですね。ちなみにJasonさんはそれ以前からドリーム・シアターのドラムプレイの動画などをあげていたそうですが、そうした音楽の仕入れ方はいかがでしたか?
Jason Z「自分の場合はちょっと特殊で、自分はアメリカのバークリー音楽大学に留学していたのもあって、現地で情報を仕入れていたんですよね。今はbilibiliなどのネットから情報がどんどん入ってくるので、昔ほど難しくはないイメージですね」
SOON「Jasonは小学生の頃からドリーム・シアターなど海外のバンドの情報をみずから探していたんですよね」
――またSOONさん、FOLDERさん、KOOLさんは大学で出会ってバンドを始めたそうですが、そのときはどんな音楽をプレイされていたんですか?
SOON「大学時代はまだバンドは結成していなくて、それぞれ好きな音楽をやっていました」
FOLDER「僕はアニメ『デュラララ!!』の楽曲とかをカバーしていました」
SOON「私の場合は『NANA』とか『けいおん!』、『涼宮ハルヒの憂鬱』の楽曲とか……」

――なるほど! アニメの楽曲をカバーしていたんですね。HYPER SLASHではそうしたエッセンスにヘビーなサウンドを加えた〈オタクコア〉的なアプローチになったきっかけはなんでしたか?
SOON「バンドを結成したのは大学卒業間近でした。ちょうどその時期にFear, and Loathing in Las VegasやCrossfaithといったヘビーなバンドが広州で人気で、私たちもそういう方向性の音楽をやろうとしていました。
そこから次の段階に入るところで、Dizzy Sunfist、FOUR GET ME A NOTS、MONOEYESなんかも聴くようになりましたね。そういうバンドのメロディーがすごく好きで、メロディーがよくてヘビーな音楽の方向性にしようって、今のかたちに固まっていったんですね」
――そこも日本のバンドの影響が大きかったと。
SOON「もちろんそのほかにもメンバー個々で熱中するバンドや音楽ってあるんですよね。じゃあこのバンドでは好きなものを合わせれば、唯一無二のバンドになるんじゃないかなって思って。なのでアニメといったACGの要素も取り入れていって、Jasonが好きな欧米のバンドのエッセンスも入れていく、そういうものを全部合わせたらHYPER SLASHの音楽になった、という感じです」
――先ほど名前が挙がったFear, and Loathing in Las Vegasもそうですが、自分のルーツや好きなものを詰め込むことでエネルギッシュで、ほかにはないサウンドというものが出来上がっているのを知って感動しました。
SOON「(日本語で)ありがとう(笑)」
――それこそ昨年リリースしたセカンドアルバム『STAR ARENA(星際競技場)』では、元Las VegasのギタリストであるSxunさんをプロデューサーに迎えていましたが、Sxunさんとの制作はいかがでしたか?
FOLDER「まずSxunさんは僕の大好きなギタリストなんですよね。去年は初めての海外の方と制作をしたんですが、今まで自分たちが考えていなかったアイデアやアドバイスをSxunさんからいただけて、ここで自分たちの音楽もレベルアップしたという実感がありますね」
SOON「うん」