タワーレコードのフリーマガジン「bounce」から、〈NO MUSIC, NO LIFE.〉をテーマに、音楽のある日常の一コマのドキュメンタリーを毎回さまざまな書き手に綴っていただきます。今回のライターはクニモンド瀧口さんです。 *Mikiki編集部

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KYON2のK4ON2。気がつけばそこにキョンキョン。

 小泉今日子さんの活動が2022年で40周年を迎えました。50年以上生きている僕にとって、40周年というのが長いのか短いのか、麻痺しているところなんですが、二十歳を二回分と考えるとやっぱり長い。デビューから小泉さんをTVで見てきた僕にとっては、この40年間、様々なジャンルで活躍する姿を見てきました。

 実は僕、ファンという訳じゃないんですけど(たぶん)。興味あることに目を向けると、「あ! キョンキョンだ!」といった場面が何十回とありました。最近では、毎月最終週の木曜日、近田春夫さんと小泉さんがナビゲートする、J-WAVEの深夜番組「TOKYO M.A.A.D SPIN」が楽しみで仕方ない! 小泉さんのおすすめの本をつい買って読んでいたり、40周年のツアーTシャツを買っていたり、株式会社明後日の活動が気になったり。なんだか気になる存在なのは間違いない。

 記憶を辿ると、いろいろ思い出します。デビュー曲“私の16才”はTVで見た記憶はありますが、82年組のアイドルが多かったのでなんとなく。ちゃんと小泉さんを認識したのは“まっ赤な女の子”で短めの聖子ちゃんカットで歌っている姿から。それから、フジテレビ系列月曜ドラマランド「あんみつ姫」で、お転婆な姫を演じている姿、“渚のはいから人魚”で、更にショートカットになった姿、TBS系列の大映ドラマ「少女に何が起こったか」で本格的に主役を演じた姿、秋元康が、「アイドル・小泉今日子」をイメージして作詞をし、新時代のアイドル像を作り出した“なんてったってアイドル”を歌う姿。と、まぁ、見たり聴いたりした記憶は、いくらでも出てきます。

 印象に残っているのは1987年のアルバム『Hippies』から。ジャケットデザインに雑誌「PATi PATi」などでお馴染みのアートディレクター・染谷淳一さんを起用。このアルバムを小泉さんが(半)セルフプロデュースしたということで、それまでの、アイドルや、ザ・芸能人といったイメージが変わり始めていました。その後も『学園天国』や『キスを止めないで』のジャケット、この年のツアーパンフレットでも、染谷さんのデザインが見られるのですが、この辺にもクリエーターの部分を覗かせます。

 その後、1989年に近田春夫さんを起用して、『Fade Out』そして、アルバム『KOIZUMI IN THE HOUSE』を発表。このアルバムには、近田さん率いるビブラストーンや、ピチカート・ファイヴの小西康陽さんも参加しています。なんと言っても、お茶の間で見た“Fade Out”が斬新でした。まさに、「ハウスをお茶の間に」は、編集者の川勝正幸さんによるキャッチコピー。この頃から、川勝さんと親交を深めTOKYO FM「KOIZUMI IN MOTION」の放送が始まります。当時学生だった僕にとって、川勝さんや、いとうせいこうさん、藤原ヒロシさん、高木完さん等は、ファッションのお手本だったし、サブカルチャーを知るきっかけでした。そんなメンバーをブレーンにしていた小泉さんのクリエートは衝撃的だったし、刺激的でした。

 小泉さんのことをちょっと書いただけで、お腹いっぱいになってしまった。まだまだ書きたいことは山のようにあるのですが。ほんといろんなことをやってきていて、いまもいろいろ活躍している、改めて小泉さんの凄さに気付かされます。どこかで小泉さんが話していたけど「進化 変化を楽しむ生き方」って素敵だな。アイドルから女優、そして近田さんや川勝さんたち、さまざまな出会いがあって、楽しいことをいっぱい吸収した小泉さん。それを活動することによって、まだ知らない人に楽しいことを伝えている。これからも、目が離せない存在です。あれ、やっぱりファンなのかもしれない(笑)。

 


著者プロフィール

クニモンド瀧口(流線形/CMT Production)

’03年に流線形として音楽活動をスタート。流線形名義では2枚のアルバムと、比屋定篤子や一十三十一とのコラボレーションアルバムを発表。プロデュース、楽曲提供、アレンジでは、一十三十一、ナツ・サマー、古内東子、Leola、Lisa Halim、瀧川ありさなどに参加。シティミュージックを選曲・監修したコンピレーションアルバム『City Music Tokyo』シリーズや、NHKドラマの劇伴なども手がける。Official Site:https://ryusenkei.com/

 

〈LIFE MUSIC. ~音は世につれ~〉は「bounce」にて連載中。次回は全国のタワーレコードで配布中の「bounce vol.462」に掲載。