クニモンド瀧口がセレクトするコンピレーションアルバムシリーズ『CITY MUSIC TOKYO』。そのなかからレーベルを問わず楽曲を収録したタワレコ限定販売CDの第5弾が、アナログレコードエディションで登場した。

本作のテーマは〈topology〉。何らかの形、または空間を変形しても(伸ばしたり曲げたりしても)保たれる性質に焦点を当てた幾何学用語を題材にしている。時代によって音楽の性質は変わるが、現在進行形の音楽においてもシティポップ/シティミュージックの本質は変わらないというコンセプトだ。

パーソナルリスニングやドライブ、夜から朝、夕暮れからアーリーナイトのシーンに最適な、プレイリストでは味わえない10曲が収められたこのアルバム。新しい音楽の発見の旅に誘う一枚を、ライター栗本斉に解説してもらった。 *Mikiki編集部

VARIOUS ARTISTS 『CITY MUSIC TOKYO topology』 Insense Music Works(2025)

 

〈今の東京を彩る音とは?〉という問いに端的に答える最上級コンピ

〈今の東京を彩る音〉とはどんなものだろうか。そんな問いかけに端的に答えることができるコンピレーションアルバム。それが『CITY MUSIC TOKYO』シリーズだ。RYUSENKEIのクニモンド瀧口が企画選曲を行うこのシリーズはすでに各社から多数リリースされており、いずれも新旧の〈都市〉を感じさせる音楽がたっぷりと詰め込まれている。80年前後のシティポップやテクノポップ、90年代の渋谷系といったセレクトも興味深いが、現在進行形のネオシティポップやR&Bへとつないでいるのがこの企画の肝と言っていいだろう。そうした〈今〉のアーティストのみを集めた『CITY MUSIC TOKYO topology』が、面白くないわけがない。曲を聴き進めるごとに新しい発見があるのは、まさにコンピレーションアルバムの最上級のお手本だと断言しておこう。

今回リリースされるのは、『CITY MUSIC TOKYO topology』のLPバージョン。16曲入りのCDから厳選した10曲がヴァイナルに焼き付けられている。A面冒頭を飾るAi Kakihiraの“Ameagari no I Miss You Pt. 2”からかなり個性的だ。オリエンタルなメロディはどこか懐かしいシティポップとテクノポップのミクスチャーといった風情ではあるが、そこから立ち上る音像は今の東京という感覚がある。現役大学生2人のユニットだというBLACK BERRY TIMESの“WHY”はブラジリアンテイストのポップチューンであり、民族楽器を取り入れたエレポップとでもいうべきHUGENの“MAYA”もそうだが、いずれも無国籍化しつつある東京を反映していると言っていいだろう。東京で生まれ育ったバイリンガルというTokyo Galの“Romance”は、ヒップホップ世代ならではの最新のオルタナティブR&Bを聴くかせてくれる。A面ラストはSuchmosのギタリスト、TAIKINGのソロ作品“Easy”。メロウ&メロディアスなポップチューンにおける確固たる世界観はさすがだ。