ギターやトランペットなどをマルチに演奏する古川麦の3作目は、中国語で〈Xin=手紙〉がテーマ。彼の音楽性の軸であるジョアン・ジルベルト譲りのボサノヴァや、台湾のバンドDSPSのヴォーカルが参加した楽曲の異国感が〈ここではないどこか〉の情景を喚起する。ceroのサポートでも一緒の角銅真実がコーラスで、CRCK/LCKSの井上銘がギターで参加した7拍子ポップス“Ritual”の端正な仕上がりは特筆すべきだろう。