
〈今は個の時代だ〉なんて社会の中では叫ばれているけれど、どうしたって、力のある個が集まったチームこそが最強だ。CRCK/LCKSの昨今のメタモルフォーゼを見ていると、心の底からそう思わせられる。
2015年、菊地成孔主催イベントで演奏するために突発的に集められてスタートした、CRCK/LCKS。これまでは〈演奏力がズバ抜けている5人の個〉というイメージがあったが、昨年はそれぞれがバンド外で多忙を極める中にもかかわらずフル・アルバム『Temporary』とEP『Temporary vol.2』を完成させるほど濃密な時間を共にし、高次元での〈チーム力〉と〈バンドの熱量〉をも手にしていった。圧倒的な音楽的知識とテクニックを基盤にしながら、5人の人間的魅力も溢れ出る歌やライブには、もう、お手上げ状態になるくらい心と身体を揺さぶられる。
今回のインタビューでは、『Temporary』『Temporary vol.2』の話に加えて、メンバーそれぞれがそれぞれに寄せる心の内をたっぷり聞かせてもらった。豊かな感性を持つ5人には音楽家として感動させられるだけでなく、人との向き合い方や行動原理から、同じ人間として学び考えさせてもらうことも非常に多い。

アルバム『Temporary』から2か月で届けられた新作『Temporary vol.2』
――2019年は、メンバーそれぞれが様々なフィールドにて活躍する一方で、CRCK/LCKS(以下、クラクラ)にとっても激動の1年だったのではないかと思います。
小田朋美(ヴォーカル/キーボード)「(結成)5年目の今、今回のアルバムでひとつの節目だという感じはすごくします。ひとつの方向に向かってやってきて、〈Temporary〉シリーズが終着というか」
小西遼(サックス/キーボード/ヴォコーダーなど)「集大成ではあるよね」
小田「うん。だから、もう次のフェイズに進んでいきたいという気持ちになっているんです。こんなふうに形になったから、次は全然違うことをやってもいいんじゃないかな、という気持ちがあって」
小西「突発的に始まったバンドをなんとか動かしてきたところから、もっとちゃんとバンドっぽくなったよね。〈集まれるときに集まって、ライブに向けてやろう〉みたいな感じだったのが、今は、このクソ忙しい5人のスケジュールをなんとか合わせて、ライブがなくても集まろう、というふうになってる。
もちろんみんなリスペクトがあるんだけど、ちょっとわがままになったり、言いたいことを言うようになったりもして、それもいいなって思うし。そのための4年だった感じもするんですよね」
井上銘(ギター)「みんなで少しずつ階段を昇り続けてる感じがするし、それがすごく楽しい。それが作品として残ってるから、思い出すたびに胸が熱くなるんだよね」

――2019年のクラクラは、10月に『Temporary』を、そして2か月後の12月に『Temporary vol.2』をリリースしました。この2枚の位置付けは、どう捉えていますか?
小西「表と裏、なのかな。対になってるのは間違いなくて。1枚目は、〈励まそう〉というか、〈明るくあろう〉というか……」
――安易に言っちゃうと、ポジティヴ、というか。
小西「そう、ざっくり言っちゃうとね。『vol.2』が別にネガティヴだというわけではないんだけど。『vol.2』は力が入ってて、汗臭いというか、パワフルだよね。『Temporary』はもっと柔らかくて綺麗」
――それらを1枚の作品に全部入れる、という選択肢もあるわけじゃないですか。分けた理由はなんだったんですか?
小西「シンプルに、こっちの並びのほうがいいと思ったんですよね。分けたほうが、曲たちのいい部分がちゃんとパッケージできるなって。対として存在してるものを、ちゃんと独立した個性を持って伝えられるなと思った。
でも、もともと混ぜる予定ではあったし、2つでひとつの流れにはなっているから、続けて聴いてもらっても大丈夫なように作ってはある」
――2枚を同じ日にリリースする、という選択肢もあったと思うんです。
小西「それはね、多分、間に合わなかった(笑)。15曲を一度に仕上げていくのは」
石若駿(ドラムス)「分けたことで、すげえじっくりやれたもんね」
小西「本当にそう、それぞれに集中してやっていけたね。2枚は、まったくもって印象が違うものになってると思うから、この形を見つけたときに〈あ、これが正解だったんですね〉みたいな感覚がすごくありました」
――〈2か月〉というのは絶妙な間の開け方だし、〈クラクラ、いい発表の仕方を見つけたな〉と私も思いました。1枚目をじっくり時間をかけて聴けて、まだその余韻が残ってるときに2枚目が聴ける、というのはすごくいいなって。音楽が素早く聴き流されてしまうこの時代において、作品を長く味わってもらうためのいい手法であり新たな提案だなと思いました。
小西「逆に、大丈夫かな?みたいな気持ちはあったんですけどね。普通のやり方としては、半年くらい開けて、その間にシングルを出して、みたいな感じだと思うんですけど、〈いや、絶対年内にしよう〉って言って」
越智俊介(ベース)「なんでそこ甘えなかったんだろうね? 『vol.2』を2020年リリースにするとか、あり得たわけでしょ。〈年内に〉ということに対して一丸だったよね」
石若「勢いあったからね」
小西「やりきっちゃわないと、ってね。(ワンマン・ライブを開催する2019年)12月18日のTSUTAYA O-EASTはおさえてたから、そのときには出したいっていう見通しでずっとやってたのもあったしね」

ギタリスト井上銘はクールだけど熱い人
――〈Temporary〉シリーズでは5人全員が作曲をしてるということもあるし、メンバー全員インタビューは貴重な機会なので、それぞれのプレイヤー&人としての魅力にフォーカスを当てながら話を訊いていきたいなと思います。まずは、井上さんについてお伺いしたいのですが……井上さんが書いた、このシリーズを締めくくる最後の曲“Rise”は、アウトロまで本当に素晴らしくて。O-EASTのワンマンで弦楽カルテットを入れて演奏したシーンは、あの日のハイライトのひとつでした。
小西「この曲、泣けますよね」
石若「最後の、バンドがドーンって入るところを録るときってさ、結構ミラクル系じゃなかった? すっと、ワン・テイクかツー・テイクで」
小西「綺麗にいったよね。あのときのスタジオの空気感というか、生き物が録れた感じがすごくする」
石若「そうね、生き物感がある。思い出に残るレコーディングだった。音出したときの感覚、まだ覚えてる感じがする」
小田「銘くんが書く曲は、ハーモニーとかも素晴らしいんですけど、メロディーがすごくよくて。でも、〈ギターの曲〉っていう感じだから、実はちょっと歌いづらいんですよ」
井上「へえー、そうなんだ!」
小西「珍しいメロディーだよね」
小田「インストゥルメンタルな感じというか、すごく綺麗なメロディーだから、言葉を乗せるのがすごく難しくて。どう歌うのがいいのかも結構悩んだんですよね。ライブで銘くんと一緒にプレイできたことで、〈あ、こういうことだったんだな〉っていうのがよくわかって」
小西「そう、だからライブでやったあとに録り直したんだよね。プロデューサー兼エンジニアのモリタセイジさんが、ライブを見たあと楽屋に来て、〈あのさ、あれもう一回録り直そう〉って言ってくれて」
井上「録り直すって、あんまりやらないんですけど、結果的に何倍も熱いものになったから、よかったよね」
――井上さんの人間性、というところでいうと、みなさんどう見ていますか?
石若「銘くんとはお互い高校生のときから一緒にやってるので、付き合いがすごく長いんです。銘くんは物事をすごく客観的に見ていて」
小西「この5人の中で、一番冷静に俯瞰して見れる人だと思う」
石若「音楽的にもそうなんです」
小西「人を見るときに、クールなんですよね。あまり怒りもしないし。でも諦めはしない。最初は放っておくんだけど、最後は〈大丈夫だよ〉って兄貴肌を出してくる。冷めてるように見えて、根っこはめっちゃ熱い人だよね」
越智「銘とは、それぞれ自分の家で同じ時間に『テラハ(テラスハウス)』を観て、ずっと電話するんですけど(笑)。一緒に観てて、銘の観方はすごく面白いなって思う。客観的だけど、根っこが九州男児なんだよな。恩とか義理をめちゃしっかりしてるタイプだから」
井上「九州、全然関係ないけどね(笑)※」
小田「銘くんは、結果的には熱い、っていう人だよね。みんなひとりひとりの気持ちをすごい掬い取ってくれるし、受け止めてくれる」

リーダー小西遼はメンバーに真っ正面から向き合う
――それが曲やギターの音に表れているとも言えそうですね。井上さんと小西さんは、バークリー音楽大学時代からの仲ですか?
小西「いや、もっと前ですね」
井上「お互い洗足(学園音楽大学)の学生だったときに一回会ってて、再会したのがバークリーで。
再会したときのことは、俺、すっごい覚えてるんだよね。アメリカに来て3日目くらいのときにたまたま会って、〈どうしたどうした、髭とか生やしちゃって〉っていきなり絡んできて、〈え? こんな感じだったっけ?〉ってなって(笑)。
最初はタイプが全然違う人間だと思ってたんだけど、今はすごく近く感じる。時間はかかったけど、その分今の結束は固いなと思いますね」
越智「小西との最初の出会いは、俺もすんごい印象的だよ。アメリカから帰ってきたばっかりのときで、〈俺、小西っつーんだけど〉って言ってきて」
小西「いやいやいや(笑)。すげー嫌な印象じゃん! もともといた角田(隆太)が抜けるタイミングで、俺は越智と一緒にやりたくて、駿に〈越智、どう?〉って訊いたら〈同郷だし、歳も近いし、やりやすいと思う〉って言ってくれて、それで誘ったんだよね」
越智「そのときと比べると、めっちゃ大人になったと思う」
小西「20代前半は俺、尖り散らかしてたからね。〈イキり倒しの中2病〉みたいな、最悪だったから」
石若「小西さんは、怒ってくれるんですよ」
小西「ははははは(笑)。ここ2、3か月で、3回くらい怒ったね。凡ミスみたいな、些細なことなんですけど。駿はめちゃめちゃすごい奴だから、〈もっとちゃんとしろ〉〈お前、すごいんだから、それを無駄にすんな〉ってキレた感じです」
石若「だから、すごく優しいなと思って。愛の中で接してくれてる感じは、すごく身にしみた。近しくなればなるほど、そういうのって難しくなる気がするんですけど、小西さんはすごく真っ正面で向き合ってくれる」
小西「てか、ここ(CRCK/LCKS)が真っ正面で向き合えないと。俺が一番妥協したくない、絶対に諦めたくない人たちだから。ずっと一緒にやっていきたい、というのはクラクラ全員に思ってる」
小田「やっぱり小西はリーダーですよ、なんだかんだ言って。銘ちゃんが掬い取ってくれるとしたら、小西はみんなから掬い取ったものをミックスした上で、〈じゃあこうしよう〉っていうふうにしてくれる。すごく柔軟だから、いろいろ言ってもちゃんと受け入れてくれる」
井上「本当にそう」
小田「自分の意見を否定されて感情的になったのを見たことない。それって、すごいことだと思う。自分も人も、すごくフラットに見てるということだから」
小西「自分のアイデアは大したことないって思ってるからなんだけどね。みんなのほうがきっと正しいでしょ。まあ、とはいえ頑固なところは頑固だけど」

ドラマー石若駿は〈化けの皮をかぶった赤ちゃん〉?
――石若さんは、他のメンバーから見てどんな人ですか?
小西「音楽的にも一番絆が深いのは銘だよね、この5人の中で」
井上「付き合いの長さで言うとそうだね」
小西「盟友感あるよね」
井上「初めて会ったのは俺が17、18歳、駿が16、17歳の頃で、そのときにはもう人間的にも完成されてた。音楽に早いときから携わっていて、いろんな大人に会ってるし、すっごい頭のいい人だって、当時も今も思ってる。リスペクトできるし、大事な存在です」
石若「今回のツアー中、毎晩一緒に飲みに行ったんですよ。他のみんなは帰って行く中、2人で朝まで人生相談したりとか」
井上「駿は、物事の見解も面白くて。俺はコミュニケーションの中で細かいことがわりと気になるんですけど、駿は、同じことが気になっても、包容力がもっとある。自分だったらネガティヴな感情のままにすることでも、駿は、もっといいように捉えるんですよね」
小西「俺は駿のこと、化けの皮をかぶった赤ちゃんだと思ってるけどね」
小田「ばけのかわをかぶったあかちゃん?」
小西「原動力が、獣なんですよね。根っこが動物で、その上に、処世術として人間の皮をちゃんとかぶってる。だからね、まだまだもっと化けると思う、俺は。獣のまんまで賢くなれるはずだもん、駿は」
石若「なんか……いいっすね」
小西「クラクラの全員がそうだと思ってるけど、駿は特に次の世代を牽引していく存在なのは間違いないから、もっと強くなれ、早くそうなって、みたいな期待がある。すごい楽しみ。賢い獣になってくれ」
小田「私と駿は、最初は大学の授業で会って。そのときからすごい人だったけど、すごくワイルドなところと、すごく繊細なところの両面を持ってる人だと思っていて。両方を行ったり来たりしてる印象がすごくあって、それが魅力に繋がってると思う。
駿はメンバーに甘えてる感じがあるよね。〈俺、一番年下でーす〉みたいな(笑)」
石若「ばれてたか(笑)」
小田「完全に弟ポジション」
小西「でも、一番遅刻しないんですよ」
小田「そうそう。だから、真面目なところと、めちゃめちゃ〈これは甘えてるだろ〉みたいなところがある。かわいいな、って思います(笑)」
石若「(小声で)ありがとうございます」
――石若さんが作曲した“春うらら”も、ギャップというか、甘えた感じと真面目さが同居してますよね。
小西「そうだね。たしかに甘える感じ、甘えたい感じはあるよね、あの曲」
――ぱっと聴きだと童謡感すらあるんだけど、ちゃんと聴くとすごくエグいことをやってる、っていう。
小田「そう。ハーモニーとかめちゃめちゃむずいし、エグいところと可愛いところがある。人柄が出てるね」
井上「そうだね。駿のメロディーはいつも可愛い。すっごい先鋭的なんだけど、全体の印象は可愛い、っていうイメージ」
石若「嬉しいです」

ベーシスト越智俊介の親の顔を見てみたい
――そんな石若さんは、リズム隊の相棒である越智さんのことを、どういうふうに見ていますか?
石若「最初に会ったのは僕が18か19歳で、札幌に帰省したときに、レイジーバードでセッションをして。それまでは先輩とばかりやってたから、とにかく同世代の人とコミュニケーションを取りたくて。演奏中も〈これどう?〉って訊いたら、それに対してアイデアをくれて、ベースとドラムのタッグがちゃんとできたのがいい思い出。楽しかったね」
越智「すっごく楽しかったし、速攻で衝撃を与えられて、自分の世界を変えられた。だから今こうやって一緒にやれてるのは、めっちゃ幸せ」
石若「今でもライブ後とかに〈次はこうしよう〉ってちゃんと言って、高め合える仲間だと思ってる。〈あのときのソロさ〉〈あのフィルまじやばかったよね〉みたいな話をして熱くなるときもあるよね。すごく柔らかく、豊かにコミュニケーションが取れるベーシストです」
小西「2人の演奏のバランスは、どんどんよくなってるもんね。力は抜けてるし頭はめちゃ冷静なのに、熱いもんを出してる、っていう一番いいやつになってる。
俺、越智はね、銘ちゃんと同じかそれ以上にシビアな人だと思っていて、特に音楽に関しては。全部シビアに見えてるんだけど、今それを言ってもしょうがないってことは言わないし、言うタイミングをすごく狙い澄ましてる。だから俺はすんごい信頼してる」
越智「多分、なにも考えてないだけだと思う……」
小西「じゃあ、それがセンスだと思うけどね。今、間違いなく、日本で一番信頼してるベーシスト。俺の現場に全部呼んでるもんね。俺の思ってることをちゃんと汲んでくれるから、上手く言葉にできてなくても、受け取ってもらえてるっていう安心感もある。多くを語らなくても大丈夫、言わなくてもいい、という状態になってるから楽しいね」
小田「バンド仲間としての越智くんは、もうまじで安心できる。歌って、音程とかグルーヴとかいろんな意味で、ベースが支えてくれるところがすごく大事で。越智くんは包み込んでくれるんですよね。でも冒険もしてくれて、こっちが思ってもいないところにいってくれたりもして。
メンバーが誰も笑えないギャグを言っても越智くんだけは笑ってくれるし(笑)。楽しいし、素敵な人です」
井上「僕、越智くんの頭の中は、すべて優しいもので詰まってると思う。みんながトゲトゲしてるときも、柔らかくしてくれることを、態度でも言葉でも表してくれるから。こういう人、なかなか出会ったことない。
前、CICADAとクラクラが同じイベントに出たとき、客席で越智くんのベースを目瞑って聴いてたら、ものすごく身体がでかい人が演奏してるような音が聴こえて。でも目をあけたら〈ああ、越智くんだ〉〈柔らかい人がいるわ〉っていう(笑)。だから謎。得体の知れない存在」
小西「越智がピリついてるところを一回も見たことがない」
越智「ピリつく要素もないんだよねぇ」
小西「他の現場でも、俺だったらピリつくことも、彼は〈なんなんだろうね?〉みたいな。怒らない」
井上「逆の意味で、親の顔が見てみたいよね」
小西「どうやったらこんな子育つんだろうね」

シンガー小田朋美が〈かりそめDiva〉でなくなるとき
――では最後に、小田さんについて聞かせてください。
小西「この1年は本当に、小田と付きっきりだった。ずっと戦友だと思ってるし、性格も含めてお互いの隅々までわりと知ってる。なかなかこんな大切な音楽仲間っていないですよ。メンバー全員大切な仲間なんだけど、小田は、クラクラやってなかったら仲良くはならなかったかもしれないしね。わりと水と油くらいの感じだと思う」
小田「そうだね」
小西「たとえば、“IDFC”の歌詞は全部小田が書いてくれてるんですけど、俺が思ってることとか感じたことを小田に言って、それが小田のフィルターの中をぐるぐる巡って歌詞になっていて。そのフィルターを通ってちゃんと形になってるから、めちゃめちゃ気に入ってるんですよね。こんなふうに一緒に音楽を作ったり向き合ったりっていうのは、クラクラがなかったら絶対に成し得なかったことだと思うから、面白いね」
井上「小田さんとは、同級生として出会ってても多分仲良くなれたと思ってて。小田さんが口を開くと〈なに面白いこと言ってくれるんだろう?〉っていつも楽しみで(笑)。世界がね、いい感じなんですよ。さくらももこさんの世界観というか」
――さくらももこさんの作品に出てきそう、ということですか?
井上「いや、(作品を)書いてるほうですね。世の中の見方が僕と合うんだと思います。Twitterのちょっとシュールなつぶやきとかもめっちゃ好きだし」
石若「演奏中は、後ろから見てると、めちゃくちゃ感動する。……なんていうんだろうな……もう、マザー・ネイチャーなの」
小田「あはははは(笑)」
越智「わかるー」
井上「そう! ゾーンに入るときでしょ。神モード入ってるときがあるよね。俺は横から見てるからさ、神モードに入ってるときは目が違う、っていうのがわかるんだよね。〈入ってるわ、これもう〉って」
小西「泣かしにかかってくるんですよね。そういうのを持ってる人ってあんまりいない。ゾーンに入ったら本当にすごい」
小田「……みんなのことはいくらでも話したいけど、自分の話になるとどうしていいかわからないね(笑)。でも嬉しい、ありがとうございます。
なんかね、今日はこのインタビューの趣旨なんでしょうけど、褒め合いというか、おぎやはぎみたいになってますね(笑)。やっぱ私は、クラクラのみんなのことを尊敬しているなあとどの現場でも感じるし、このメンバーだからこそ成長できているところはたくさんあると思います」
小西「小田のことは、最初は〈べらぼうなピアノを弾きながら歌も歌えるやべえやつ〉という意識が強くて、どちらかというとプレイヤーとして見てたんだけど、最近はめきめきと歌がよくなっていて。小田は、もともと歌手だけど、どんどん歌手になっていってる感じがする」
――『Temporary vol.2』で歌ってる“かりそめDiva”の姿とは、真逆じゃないですか。
小田「いやあ、私は自分を〈かりそめDiva〉だと本当に思ってて。ディーヴァ・タイプだなんて、全然思ってないから。ディーヴァっぽく振る舞うことは無理だなってずっと思ってたんです。
だけど、そういう決めつけを、捨ててやれる場面が増えてきて。〈こだわってたのは自分だったんだな〉って。それはみんなが、いい意味でリベラルというか、〈そんなに身構えなくていいんじゃない〉〈『こうあるべき』なんてないんじゃない〉っていうふうにやってくれるから。そのおかげで、自分から離れられる瞬間があるんだよね」

ああ、いいメンツに巡り会えたんだな
――今日話を訊いて、それぞれがプレイヤーとしても人としても魅力的だし、強烈な個性・技術・知識を持ちながらも〈5人のバンド感〉がより強固になっているのを知れて、この先のクラクラがより楽しみになりました。最初に小田さんから〈次のフェイズに進んでいきたい〉という話がありましたが、これからはどういうことをやりたいと思っているんですか?
小田「今日話したことが大事だと思う。私、〈こうやります〉っていう宣言みたいなものを、あんまり信じてなくて。なにかを実現することって、コツコツ少しずつ積み重なっていて、いつの間にか叶えられているものだと思うんですよ。
だからクラクラが次にいいステップを踏み出せたときっていうのは、こうやってみんながみんなのことを理解する時間が増えて、いつの間にかいいものができてる、というふうになる気がします」
小西「2019年は面白い提示ができたと思うんですよね。挑戦の1年だったとも思うし。次はどんな1年になるのかわからないけど、このクソ忙しい5人を集めて、またみんなでコツコツやれるっていうのは、ワクワクしかない」
石若「ステージングとかで、今までやらなかったことをやりたいな」
小西「え、なに? ステージが回る、とか、そういうこと?(笑)」
石若「いや(笑)。たとえばセットリストを決めずにやる、とか」
小西「ああ、そういうのは面白そう」
石若「誰かが〈小西、サックスイントロ、どうぞ!〉って言って、曲をやる、とか。ガチッと決めるのも楽しいけど……みんなのヴァイブスがあるじゃん? 自由さというか。そういうのをもっと出せたらいいね」
小田「ほんと! 曲作りでも、こうしてみたいなっていうのはあるんですよ。今駿が言ったみたいに、形に捉われない作り方というか。みんなの自由さがいい形で出てくる曲なりライブなりが、もっとあるはずだから、それを探したいなって思います」
石若「実験的なこともできるといいよね」
小西「まだまだやりたいことがいっぱいあるね。〈やっとアルバム制作が終わったー!〉と思った2日後にもう、〈次の曲はこうしよう〉とか考えてて、そのときに、〈ああ、いいメンツに巡り会えたんだな〉と思ったんですよね。みんなが向き合ってくれてる今の状況がすごく嬉しい」
越智「この5人だからできる〈楽しい〉という感情を、もっとみんなに届けたいなってすごく思いますね。俺たちが楽しいって思ってたら、お客さんも楽しいじゃん? 〈こんなに楽しいんだよ、俺!〉っていう感覚はすごくあるから」
井上「間違いなく、5人が今までで一番近い状態にいるから。心的にも、演奏的にも。だからね、これはもう、明るい未来しかないでしょうね」
LIVE INFORMATION
BIG ROMANTIC JAZZ FESTIVAL 2020
2020年2月22日(土)
会場:CAY/WALL&WALL/銕仙会/南青山 MANDALA/月見ル君想フ
出演:山下洋輔/Chara + Kan Sano/YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ × オオルタイチ)/Sun Rai(Rai Thistlethwayte)/Sam Gendel/Stars and Rabbit/The Steve McQueens/林以樂(雀斑/SKIP SKIP BEN BEN)/Power Milk/MKS/Kan Sano/ものんくる/i-dep/あっぱ/臼井ミトン/F.I.B JOURNALYOSSY/LITTLE NOISE WEAVER/Yasei Collective/CRCK/LCKS/showmore/Saigenji Bim Bom Bam楽団/MIDORINOMARU/Nao Kawamura/別所和洋/高井息吹/空間現代/Fontana Folle
前売り:7,000円(ドリンク代別)
https://www.bigromanticjazz.com/
CRCK/LCKS “Temporary Vol.2” Release Party 1部
日時:2020年3月29日(日)東京・青山 WALL&WALL
開場/開演:14:00/14:30
CRCK/LCKS “Temporary Vol.2” Release Party 2部
日時:2020年3月29日(日)東京・青山 WALL&WALL
開場/開演:18:30/19:00
http://wallwall.tokyo/
SYNCHRONICITY2020 - 15th Anniversary!! -
2020年4月4日(土)
会場:TSUTAYA O-EAST/TSUTAYA O-WEST/TSUTAYA O-Crest/TSUTAYA O-nest/duo MUSIC EXCHANGE/clubasia/VUENOS/Glad/LOFT9
出演:the band apart/toconoma/Tempalay/CHAI/踊ってばかりの国/CRCK/LCKS/君島大空/ドミコ/DENIMS/DATS/JABBERLOOP/No Buses/東郷清丸/South Penguin/Minchanbaby/E.scene/all about paradise/Shiki/betcover!!/xiangyu/Kroi/ハレトキドキ/illiomote/DJ New Action! 他
https://synchronicity.tv/festival/



