メシアンそしてイヴォンヌ・ロリオ夫妻が生み出した傑作“アーメンの幻影”を文字通り、最高のメシアン音楽の継承者であり解釈者であるエマールがついに録音。第1ピアノを弟子のステファノヴィチが受け持つのも、メシアン&ロリオ盤と同じ流儀。大戦を生き延びたメシアンが書き上げる、色彩と音響の祝祭と祈りの音楽に満たされた超越的な感覚を、最高度の透明度と深みで表現する二人の演奏は圧倒的というほかない。併録作も〈鐘〉という軸で編んだとおり、その音楽は鐘を鳴らす打ち手の心象まで見通すような達観と音の響きで綴られる。メシアンから現代へと至る、色彩のない透明な小径への逍遥に聴き手を導く極上の一枚だ。