後半ラインナップ『バッハ全集(SACD ハイブリッド)』『グレン・グールドの芸術』『ゴールドベルク変奏曲アナログ・コレクション』

 2022年のグレン・グールドの生誕90年、没後40年を記念したソニークラシカルの〈GG 90/40〉シリーズ。12月からはいよいよ後半の3ヶ月連続リリースが始まる。

 後半の目玉は、グールドのバッハ録音全てをSACDハイブリッド盤にした『バッハ全集(ハイブリッド・エディション) 』[24SACD Hybrid+2CD]である(2023年2月発売予定)。1955年の記念碑的な米コロンビア(現ソニークラシカル)からのデビュー盤となった『ゴールドベルク変奏曲』から、1981年の同じ『ゴールドベルク変奏曲』の再録音まで(21枚)、及びカナダCBCへの放送録音、モスクワでのライヴ、ザルツブルクでのライヴ(各1枚)を計24枚に収録している。うち半数以上の13枚が初SACDハイブリッド化となる日本独自企画の大注目盤である。グールドの個性的なノン・レガート奏法による粒立ちの良いピアノの音、生き生きとしたリズムの流れ、ポリフォニック(多声的)で立体的な音の構築、そして有名な演奏に合わせての彼のハミング……。グールドのバッハを特徴づけるこうした要素が、SACDのハイレゾ・サウンドでいっそう生々しく伝わることだろう。2枚のボーナスCDにはグールドへのインタヴュー2編とドイツ語によるバッハについての語りが収められる。ファンには嬉しいプレゼントだ。

 一方、グールドのオリジナル・アルバムを米コロンビアの発売順にBlu-spec CD2、音匠レーベル仕様で復刻する『グレン・グールドの芸術』シリーズは後半30タイトルが発売される(各月10タイトルずつ)。今回は彼が〈コンサート・ドロップアウト〉宣言をして、一切の演奏会を行わなくなり、当時のアナログLPを通じて演奏を発表するようになった時期のものばかり。12月21日発売の10タイトルを見ても、グールドが偏愛した〈ハープシコード用に書かれた16世紀の曲〉を集めた“バード&ギボンズ:作品集”、そのユニーク過ぎる解釈が発売の度に議論を呼んだモーツァルトのピアノ・ソナタ集の第3巻&第4巻(とくに第4巻でのメルヘンのように美しい“トルコ行進曲”は聴き物!)、グールドが唯一チェンバロを弾いたアルバム“ヘンデル:チェンバロ組曲第1番~第4番”、他の大ピアニストが取り上げることの少ない名作に光を当てた“グリーグ:ピアノ・ソナタ/ビゼー:夜想曲ニ長調、半音階的変奏曲”、ワーグナーのオーケストラ曲を自らピアノ編曲して弾いた“ワーグナー/グールド編:ピアノ・トランスクリプションズ”など、どの1枚にもグールドの強烈な個性が刻まれている。

 『ゴールドベルク変奏曲アナログ・コレクション』では1981年のデジタル録音、1955年のモノラル録音を1968年に疑似ステレオ化したバージョン、1955年モノラル録音をコンピューター・ソフトによって克明にデータ化しヤマハの自動演奏グランドピアノで2006年に再生、デジタル録音したバージョンの3点。とくに1981年録音は世界遺産級の超名盤なので、音楽を愛するすべてのアナログLPファンの方々に心からおすすめしたい。

 


RELEASE INFORMATION
グレン・グールド 生誕90周年・没後40年 特別企画|2022年9月~2023年2月
バッハ全集(SACDハイブリッド24枚+ボーナスCD2枚)
グレン・グールド(ピアノ)

[Sony Classical SICC-10404]2023年2月15日発売

グレン・グールドの芸術(後半30タイトル)
Blu-spec CD2/音匠レーベル仕様
2022年12月21日発売、2023年1月25日発売、2023年2月22日発売 各10タイトル

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ゴールドベルク変奏曲アナログ・コレクション(後半3タイトル)
2022年12月21日、2023年1月25日、2023年2月22日発売

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バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年デジタル録音)<完全生産限定盤>
グレン・グールド(ピアノ)

[Sony Classical SIJP-1069(LP)]2022年12月21日発売

バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1955年録音/疑似ステレオ盤)<完全生産限定盤>
グレン・グールド(ピアノ)

[Sony Classical SIJP-1066(LP)]2023年1月25日発売

バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1955年録音の再創造/ZENPH RE-PERFORMANCE)<完全生産限定盤>
グレン・グールド(ピアノ)

[Sony Classical SIJP-1070(LP)]2023年2月22日発売

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