(コロナウイルス感染症拡大のため一年延期になり)準備期間が十分にあったためか、かつてない完成度とレヴェルの高さで、稀に見る激戦のコンクールとなった2021年開催のショパンコンクール。日本では反田恭平さんや小林愛実さんを中心に報道がなされたが、筆者はより幅広い出場者を深く聴きこみ、伝えている。審査員の好みや美学、それを反映させた点数の付け方にも言及している点が特徴。今回のコンクールに先だって開催された第一回ショパン国際ピリオド楽器コンクールにも深く言及していることが光る。コンクールでのライヴCDも発売されており、併せて本書を読むとより興味が深まることだろう。