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大きな成果

 そこで両者が意気投合して生まれたのが『Painted From Memory』だ。98年にハリウッド録音された同作では、“God Give Me Strength”を含む全12曲を二人が共作。オーケストレーションはバカラックが担当し(表題曲のみジョニー・マンデルが編曲)、トラディショナルなポップスの作法で全体は作り上げられた。バカラックにとって21年ぶりとなったアルバムは世界中で高く評価され、収録曲の“I Still Have That Other Girl”は第41回グラミー賞の〈最優秀ポップ・コラボレーション・ウィズ・ヴォーカル〉部門を受賞。“This House Is Empty Now”は他のアーティストがよく取り上げるバカラック・スタンダードのリストに加えられた。なお、『Painted From Memory』の収録曲をビル・フリゼールがジャズ・アレンジで演奏した『The Sweetest Punch』(99年)も同時に制作され、そこでもコステロはゲストの形で歌っている。

 そういった成果に満足がいったのか、両者の交流は以降も断続的に続いていった。バカラックのソロ作『At This Time』(2005年)にはコステロが客演したし、コステロ&インポスターズの『Look Now』(2018年)ではバカラックが3曲を共作している(ピアノ演奏でも参加)。『The Songs Of Bacharach & Costello』はそれらに続く両名の共同プロジェクトというわけだ。