2023年も残りわずかとなりました。今年は、音楽史に大きな足跡を残したミュージシャンやアーティストが数多く旅立ち、特に大きな衝撃とともに深い悲しみに暮れるような訃報が多かった年だったと言えるのではないでしょうか。そんな2023年の振り返りの一環として、彼らの功績をたたえ、後世に残されたマスターピースを振り返ってみましょう。邦楽編は別の記事で掲載し、こちらでは洋楽編として海外のアーティストを取り上げました。

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シェイン・マガウアン
SHANE MacGOWAN

1957年12月25日生まれ、英ケント州ペンベリー生まれのアイルランド系シンガーソングライター/ミュージシャン。本名はシェイン・パトリック・ライサート・マガウアン。

82年にケルトミュージックとパンクを融合させたアイリッシュパンクの祖、ポーグ・マホーンの結成に参加。バンドはその後、ザ・ポーグスと改名。エルヴィス・コステロのプロデュースによるセカンドアルバム『Rum Sodomy & The Lash』(85年)がヒットし、カースティー・マッコールがゲストとして参加したクリスマスソング“Fairytale Of New York”が全英2位を記録、一躍スターダムにのし上がった。

THE POGUES 『Rum Sodomy & The Lash』 Stiff(1985)

88年のサードアルバム『If I Should Fall From Grace With God』は、全英アルバムチャートで最高3位を獲得。バンドのキャリアは最高潮に達した。

THE POGUES 『If I Should Fall From Grace With God』 Pogue Mahone/Warner/Island(1988)

その後もフロントマンとして活躍するも、91年に脱退。その後、ザ・ポープスで活動。2001年のザ・ポーグスの再結成に参加した。

アルコールやドラッグ中毒と戦いながらも、その独創的な音楽性と歌詞のセンスは世界中の人々と多くのミュージシャンから愛された。

2023年11月30日にアイルランド・ダブリンにて死去。65歳没。

 

ロビー・ロバートソン
ROBBIE ROBERTSON

1943年7月5日生まれ、カナダ・トロント出身のミュージシャン。出生名はジェイミー・ロイヤル・ロバートソン。

7歳でギターに触れ、地元のアマチュアバンドで活動。1958年にロニー・ホーキンスのバックバンドであるホークスに加入し、当初はベースを担当するもギターへ転向。65年にボブ・ディランのバックバンドを務め、68年にホークスはザ・バンドと改名し、『Music From The Big Pink』でデビュー。

THE BAND 『Music From The Big Pink』 Capitol(1968)

73年までに6枚のアルバムをリリースし、バンド内の不協和音を乗り越え、アルバム『Northern Lights - Southern Cross』(75年)は高い評価を受ける。

THE BAND 『Northern Lights - Southern Cross』 Capitol(1975)

翌76年に2年ぶりのツアーを行ったが、そこでメンバー間の問題が再度発生。ツアー最終日、サンフランシスコのウィンターランドでの公演が彼らの解散コンサートとなった。そのライブを収めたのが、マーティン・スコセッシが監督を務めた音楽映画の金字塔「ラスト・ワルツ」(78年)。 

マーティン・スコセッシ 『ラスト・ワルツ』 20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン (2017)

THE BAND 『The Last Waltz』 Warner Bros.(1978)

解散後は、プロデュースや映画音楽で手腕を発揮。映画「レイジング・ブル」(80年)など、マーティン・スコセッシ監督作の音楽をたびたび担当した。

ソロアーティストとしては、87年のセルフタイトル作でデビュー。2019年の『Sinematic』まで6枚のアルバムを発表。2011年にカナダ勲章を受勲した。

ROBBIE ROBERTSON 『Robbie Robertson』 Geffen(1987)

2023年8月9日に米ロサンゼルスの自宅で死去。80歳没。