マーチンのSOULのさらに奥へとナヴィゲートする6枚
ソロ・デビュー30周年にして還暦を祝った、ラヴソング満載のオリジナル・アルバム。玉置浩二のペンによる繊細な“泣きたいよ”を筆頭に、松任谷由実や久保田利伸、岡村靖幸、KREVA、横山剣、谷村新司ら幅広い大物の提供したスロウやファンクを円熟ならぬ艶熟味で甘く苦く歌い上げていく。己の原点に純真を捧げた自作のドゥワップ“My Precious Lady”でシメる構成が粋。
ソロ・デビュー25周年の2011年に始まった〈日本再発見〉カヴァー・シリーズの第3弾にして完結編(?)。引き続き服部隆之がサウンド・プロデュースを担い、“ラブリー”や“エイリアンズ”もありつつ“君は薔薇より美しい”や“スローバラード”など70年代の情緒を湛えた楽曲が際立って胸に響く。恒例の大瀧メロディーはオーケストラを従えたライヴ音源の“冬のリヴィエラ”で、やはり圧倒的。
全曲で異なるプロデューサーを起用した3年ぶりのオリジナル作。TikTokで“め組のひと”が〈発見〉される時代の変化を反映してか、良い意味で垣根のないフラットな姿勢がアルバム全体のポップな気風に繋がっている。もちろん布袋寅泰や冨田恵一、高見沢俊彦、小西康陽など誰と組んでも主役の旗印に揺るぎはない。初のアニメ主題歌となった伊原六花との“ラブ・ドラマティック”もここに収録。

シャネルズでのデビューから40周年を祝う記念盤。ラッツの仲間から岡崎体育まで巻き込む再録&洋楽カヴァー集、グループ時代のベスト盤、鈴木愛理や綾小路翔も交えた新曲集、という豪華な3枚組(初回盤はレア音源集を含む4枚組)のヴォリューム感は、ルーツへの敬意と新たな好奇心の両方に導かれた現在の姿勢そのものだ。小西康陽エディットのブチ上がるメドレーも聴きもの。
ソロ・デビュー35周年を記念して、〈DISCOVER JAPAN〉シリーズの過去3作から鈴木自身が厳選したベスト・カヴァー集。なれどYOASOBI“怪物”や手嶌葵“明⽇への⼿紙”など今作用の新録や新ミックス、シリーズ外で残したカヴァー曲も含むのでスルー厳禁。新録のセルフ・カヴァー“Tシャツに口紅”では当時録音されていた作者・大瀧詠一のコーラスと声を重ねている。

鈴木とゴスペラーズ、Skoop On Somebodyが2006年から開催してきたソウル音楽の祭典〈SOUL POWER〉。その公式コンピレーション第8弾は、2022年のファイナルを記念して本場のソウル~ファンク~ディスコ~ブラコン名曲をメンバーが選んだ集大成的な内容だ。タイムリーなコン・ファンク・シャン“Love's Train”もあり、ラストにはオールスターでの“WE GOT SOUL POWER”を収録。