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辞めないでいてくれてありがとう

――Tパレ感謝祭がまだ続いてたら(2017年1月に終了。2017年8月に系列のPENGUIN DISCにRYUTistが所属)、なんらかの交流が始まっていたはずだったんですけどね。そのことからもわかるように、この5年間はアイドルシーンが勢いをなくしていった時期でもあり、そういうフェスをやりにくくなった時期でもあって。そう思うと、ちゃんと生き抜いてこうやって新作を出せてるだけでもすごいんですよ。

「そうですよね。だから、東京拠点にしてライブがメインとなってたらたいへんだったのかなって思います。新潟で暮らして新潟でマイペースにやれてたのは大きいと思うし、私はソロでも3ヶ月置きとかでバンバン音源を出したりしてたので、ライブは積極的にできなくても新しい話題があるのはありがたいと思ってもらえて」

――もともとコロナ禍に向いてる感じのライフスタイルだし。

「はい、みんな騒ぐタイプのライブじゃないので(笑)」

――いまアイドルの世界は若くてキラキラした人たちが中心になってきてるから、こういう人たちに頑張ってほしいんですよ。

「そういう意味では、〈まだやってるんだ〉っていう声があんまり聞こえなくなってきたのがよかったなと思って。ちょっと前だとわりと〈Negiccoまだいたんだ〉みたいに言われちゃって。アイドルってわりと短く儚くっていうのが多いのかなと思った時期もあったけど」

――そうじゃない道を活動で示しつつ、小西康陽さんが“お久しぶりです・お元気ですか”という、またエグい歌詞の曲を書いて(笑)。

「ハハハハハハ! すごいですよね、あの歌。最初に聴いたときは尖ってるなーと思って。自己紹介ソングが20周年でまた出来上がるという」

『Perfect Sense』収録曲“お久しぶりです・お元気ですか”

――〈だけど私たち、/将来、どうなるかな/10年後も私たちって/アイドルなのかな〉って状態から、〈いつの間にか/私たちも/子供が生まれたのです〉〈私たち ここからどこまで/行けるのか〉になるまでを曲として発表するスタイル(笑)。ちなみに、かえぽも結婚とか出産に不安はあったんですか?

「もちろんありました。ホントにファンの人ぜんぜんいなくなっちゃうんじゃないかと思って。誰も応援してくれなくなったらどうしようっていう不安はありましたけど、そうなったらそうなったで辞めるきっかけになるかもしれないと思ってたし、実際に離れた方も少なくはないので、どうなっちゃうのかなとは思いました」

――少なくはなかったんですね。

「それでも応援してくれてるのを実感して活動を続けることにしたんですけど。〈続けてくれてありがとう〉っていう声がいっぱい聞こえてきたときに、そんなふうに言ってもらえるんだと思ったし、すごいことになってるなって自分で思いました(笑)。なんだか不思議な気持ちになって」

――昔ほど頻繁にライブに行くのは難しくても、たまにやるぶんにはつき合います、みたいなモードの人は意外と多いはずなんですよね。

「そうですね、新潟県民会館もすごくたくさんの人がいらっしゃって。記念だから行っとこ、みたいな人ももちろんいると思うので、そのあとのことはわからないけど、とりあえず新潟県民会館は観に行こうかなって人が。

〈辞めないでいてくれてありがとう〉はホントにすごく刺さったというか。そんなふうに言ってくれるんだなって。自分たちの環境の変化も全部理解したうえでそうやって言ってくれて、ホントにありがたいことだなと思います」

――3人が相変わらずの空気感で相変わらずのいい曲を歌ってくれたら、それだけでいいんですよ。

「フフフフ、そうですね」

――あまりにも主婦感が出すぎると独身のファンがちょっと気まずくはなるだろうけど、そのバランスがあればいいだけだと思います。

「それも前例がないから」

――誰もがどのバランスでやっていいかわからずにいる。でも、他にも結婚する人たちが出てきて勇気づけられたんじゃないですか?

「結婚とかですか? そうですね、(高城)れにちゃんはホントよかったなと思いました」

――画期的ですよね、結婚してから水着写真集とか。

「え、そうなんですか!? すごい!!」

――スタダ(スターダストプロモーション)は基本的に水着やらないはずなのに、〈いまそういう方向の攻め方!?〉っていう。

「スポーツ新聞社に挨拶回りとかしてたって聞いて、おもしろいなーと思って」

――前例がないことをいろんな人たちが手探りでやってる状態で。

「アイドルさんってだんだん長く続ける人が増えてる感じなんですかね」

――増えてますね、30歳を過ぎてもふつうにやれる時代になったというか。それを思うと、2012年のインタビューのときまだ結成9年で「年齢が……」「若さで比べたら絶対に勝てないですし……」とか言ってたのはなんだったのかっていう。

「そうか、そこから11年経ってる(笑)」

――それが結成20年って!

「Negiccoという名前を改名するかみたいな話になったときに、〈でもNegiccoっていう名前で20年30年やるわけじゃないしね〉って話した覚えもあるので。ずっといるじゃん(笑)」

――どこかでカッコいい名前に変えるつもりだった?

「それか解散するかっていうつもりでみんな話してたと思うんですけど、やってますね(笑)」

――やってますよ。

「(坂本)真綾さんとのイベントのときも、〈15周年目指せたらいいよね〉みたいな話をしてた気がするけど、もう通り越して」