(左から)吉田豪、Megu

2023年7月20日に結成20周年を迎え、『午前0時のシンパシー』(2020年)以来3年ぶりの新作であるミニアルバム『Perfect Sense』を配信リリースしたNegicco。8月13日に開催されたLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)での記念公演を控えていた3人に、プロインタビュアーの吉田豪が5年ぶりの個別ロングインタビューをおこなった。初回のKaede編に続いて、第2回はMegu編をお届け。 *Mikiki編集部

Negicco 『Perfect Sense』 Fall Wait(2023)

 

ライブが止まったとき、ちょっとホッとした

――本当にお久しぶりです!

「最後の取材から5年も経ったってホントですか?」

――前回が2018年ですからね。おそらく最後に会ったのはエビネギの会場だと思います。

※編集部注 私立恵比寿中学とNegiccoのジョイントライブ。2019年1月24日にZepp Tokyoで〈エビネギ2 ~バンドで一緒に仲良く演ろうね~〉が、1月26日に新潟県民会館 大ホールで〈エビネギ3 ~エビネギ1の、ようなもの。~〉が、1月28日にZepp Tokyoで〈エビネギ the FINAL~二次会と打ち上げのあいだ~〉が開催された

「相当前ですね!」

――コロナ以降は全然会ってないし、つまりみなさんが結婚してから会ってなかったわけです。

「そうでしたっけ? 私、豪さんに先に〈結婚します〉ってお伝えしたのは覚えてるんですけど。そうか、ご無沙汰してます。私はSNSで豪さんのこと見てるから、感覚としては久々じゃないんですけど」

――5年前は、ちょうどぽんちゃ(Megu)の病み期で。〈私はNegiccoを辞めなければいけないのでは〉ってぐらい歌の不調で悩んでましたね。

「インタビューでも泣いたりしてましたよね。それはすごい覚えてます」

――その後どうなったんですか?

「ウイルス禍でNegiccoも活休(活動休止)になったりして、その期間はほとんど練習してました。先生とかつけないで自分の歌と向き合ってるみたいな感じでひとりで練習してて。乗り越えたというよりも、また新しい形として」

――この歌い方ならイケるかな、みたいなやり方を探して。

「イケるかなって感じで、自分らしくまた違った新しいMeguみたいな形でやらせてもらってるんですけど」

――ちょうどNegiccoの活動ペースが落ち着いて、コロナでライブもしづらい時代になって、歌に向き合いやすい状況だったんですね。

「そうなんですよ。……怒られるかもしれないんですけど」

――怒りはしないんで大丈夫です!

「ライブが止まったとき、ちょっとホッとした自分もいて」

――意外といるんですよ、精神的に追い詰められてたような人とかが〈引きこもることが誉められる時代が来た!〉みたいになったりで。

「そうなんです、逆に私もちょっとホッとしちゃって。これは自分と向き合う時間にしようと思って。それがあってよかったですね」

――おかげで立て直せた。

「ちょっと追い込まれすぎてたので」

――あのままNegiccoがこのままガンガン行くぞ、オリコン上位を狙うぞっていうモードだったら……。

「ずっと続けてたら、もしかしたらNegiccoも消えてたかもしれないぐらいの感じだったので、タイミングがよかったって言ったらあれですけど」

――不幸中の幸いというか、自分にとってプラスではあった、と。

「はい、プラスに考えてます」

――正直、相当メンタルやられてたわけじゃないですか。コロナ禍にひとりで練習しながら徐々に回復していった感じなんですか?

「自分が一番自分の状況に納得いってなかったというか。過去の自分にも戻れないのにそっちに引っ張られてるような感じだったので、自分を受け入れられなくてどんどん病んでいって。だから自分を受け入れるためにやってました」

――あの時期はホント心配になりましたからね。

「そうですよね、私も自分どうなっちゃうんだろうなと思ってたし、同じ悩みの人いないのかなと思って探したりして。

喉の不調というよりも、どっちかというとイップスというかそっちのほうだったりしたので、病院に行っても声帯はきれいだって言われましたし、状態が悪かったわけではなかったので」

――歌が不調になるアイドルの人は多いですけど、それぞれ事情が違うから難しいですよね。

「そうですよね、ホントにポリープできちゃって手術しなきゃいけないとか、いろんな状況があると思うんですけど」

――ボクも一時期喉がすごいかすれて、病院に行ったらポリープに近い状態だけど手術はしなくても大丈夫って言われて。ただ、声を張るとかすれるんですよ。一時は喘息用の吸入薬とか服用してたんですけど、なんとなくそのまま騙し騙しやって現在に至るという。それでもトークの仕事をやる上でも問題が多かったし、ましてや歌の仕事だと大変だろうなって。

「そうですよね、歌ももちろんなんですけど、しゃべってる声も出なくなっちゃったりしてて、ホント追い詰められてるなと思って。

その時期に新潟でラジオのレギュラーが決まって、毎週のように生放送でしゃべる機会があったんですけど、そのときも最初はぜんぜん声が出てなくて。ただ、そこがいいリハビリになったのもあって」

――嫌でも話さざるを得ない状況が定期的に作られたことで。

「はい、それでだんだんしゃべることが怖くなくなって。そのあいだにウイルス禍に突入して活休もあったりしたんですけど」

NegiccoってNegiccoなんだなって

――そしてマイペースなソロ活動も始まって。

「はい、ソロ活動が大きかったですね。あそこでソロをやらせてもらって、自分はこういう歌の表現もできるんだって気づかされて、これがまたNegiccoの曲としてもいい表現になったらいいなってつながっていくんですけど」

――Negiccoとして活動ペースを緩やかにして各自好きなことをやっていくモードチェンジみたいなものって、もちろん話し合いもあった結果そうなっていったと思うんですけど、ぽんちゃ的にはどういう認識だったんですか?

「ウイルス禍前に活動休止っていう状態だったんですけど、あの活動休止はみんなで話し合って、ペースを1回落として20周年に向けてシフトチェンジしていくっていう感じだったし、あの1年は私にとっても大きかったと思うので。ファンの人はどういう反応なんだろうとは思ってましたけど。

自然とそのままウイルス禍に入っちゃったから、それがなかったら、ライブもできないしどういう状況だったかちょっとわからないけど、Negiccoにとっては大事な……」

――そして、ぽんちゃにとっても大事な時期だった。

「私にとっては自分を見つめ直して落ち着かせて、クールダウンの期間だったのでとても大事だったなと思います。ヤバい状態のままずっとライブやり続けてたら壊れてましたね、喉というよりも自分の心が……」

――え!

「それがNegicco 20周年を迎えて、いま楽しくて幸せだって思えてるのが信じられないくらいで、続けてよかったなって素直に思いますし」

――そこで無理させない運営でよかったです。

「ホントです!」

――そしてNegiccoは3人が結婚して出産もするという、この20年間でも最大級の変化があったわけですけど、さっき久しぶりに3人でいるところを見て驚いたんですよ。主婦が3人いる感じがゼロで。

「ハハハハハハ! 確かに会う方会う方に〈ぜんぜん変わらないね!〉って言われることが多くて、NegiccoってNegiccoなんだなって」

――あの空気感のキープの仕方がすごいんですよ。

「ホントですか? 今朝もオムツ替えたりいろんなことしながら来ましたけど」

――そういう匂いがほとんどしないんですよね。

「豪さんにそう思ってもらえるのはうれしいです」

――ただ、この流れに進むのってけっこう勇気が必要だったと思うんですよ。アイドルの世界では前例のないことでもあったわけで。この流れをぽんちゃはどういうふうに見てました?

「まずNao☆ちゃんが先陣を切って、だからNao☆ちゃんが一番不安だったし、怖いってずっと言ってたんですけど。

もちろん前例のないことですから、事務所の人も発表を送信する手が震えたって言ってたし、発表する前にみんなで事務所に集まって、ファンの人が来て暴動じゃないけど、なんか……」

――ダハハハハ! まあ、それはさすがにないだろうけど、それぐらい何もわからない状態だったわけですね。

「そう、何が起きるかわからないから待機って感じでみんな事務所にずっといたらしくて。でも、何もないから1回帰って、次の日に事務所に来たらみんなお酒を持って〈おめでとう〉って来てくれたり、お花を持って〈おめでとうございます〉って来てくれたり、新潟のテレビ局さんは〈こちらが今回結婚を発表されたNegiccoのNao☆さんが所属する事務所です〉みたいな」

――ダハハハハ! そんな報道もあったんだ!

「新潟ではプチニュースみたいな感じになったりしてて、思いのほか祝福ムードで。ファンの方もたくさんの方が〈おめでとう〉って祝福してくださって」

――目に見えるトラブルはなかったですよね。

「豪さんとか嶺脇(育夫)社長のお力を借りてイベントやったりしながら報告したり。その道をNao☆ちゃんが作ってくれたので、私もかえぽ(Kaede)も発表させてもらって」

結婚してもNegiccoのMeguとして変わらない

――とはいえ不安はあったと思うんですよ。それでも大丈夫なのか、ファンはどれくらい減るものなのか、すべてがわからないから。

「わからないですよね。すごい応援してくれてた人のなかには、一時期離れちゃった人もいたんですけど、いまは戻ってきてくれてて。本人に理由を聞いたわけではないんですけど、私は結婚してもNegiccoのMeguとして特に変わってなかったので、そこはちゃんと見てほしいなっていう思いで続けてたので、そしたら一度離れた方も気づいたらまた応援してくれてたんですけど。最初はちょっと離れてて」

――Twitterを見たりするといろいろ不安にもなりますよね。

「そうですね、だから見てなかったです。結婚発表する前まで家の前で毎日縄跳びしてたんですよ、体力作りで。でも、発表してからは怖くてやめました。SNSも見てないし、家の外に出ることもしてなかったです」

――Nao☆ちゃんのときは検索してたんですか?

「ある程度は見てましたけど、私が見る限りでは祝福ばっかりで」

――そうなんですよ。検索で引っ掛かるようなところではなんの問題もなくて。何か思うことがあった人がいても、わざわざ声を大にして何か言うようなものでもなく、検索に引っ掛からないようにつぶやいたりはしていたんだろうけど。

「そうですね、そういう方ももしかしたらいたかもしれないです。嶺脇社長も言ってましたけど、お風呂場では実は泣いてるんだ、みたいな」

――自分の感情を押し殺して祝福するファンの気持ちになったら泣けてきたっていうやつですね。

「そうですそうです」

――あれはボクも大好きな話です。あと、Nao☆ちゃんの結婚発表イベントの見送りのときに、とあるファンの人が「僕は諦めてないですから」って言ったらしいって話も大好きで(笑)。

「ありましたね(笑)」

――おまえ離婚待ちなのかよっていう(笑)。

「ハハハハハハ! その日は私もかえぽもサプライズでステージに出させてもらって。ファンの方を大事にしてきたNegiccoだったので、発表も一番にファンの方にお知らせする、イベントで自分たちの声でお知らせするっていう形でみんなそれぞれやってたので」

――いまはでんぱ組(.inc)なりももクロ(ももいろクローバーZ)なり、いろんな人たちが結婚しながら活動を続けるという道を選んでますけど、全員がそうなったケースはゼロですからね。

「しかも子供まで同級生になるとは」

――この先どこまでいけるのかっていうところだと思うんですけど、ボクの個人的な意見としては、3人がこの空気感を保ちながらいままで通りのいい曲をやってくれればそれでいいんですよ。それでもうNegiccoとしては成立すると思ってます。

「フフフフ、ありがとうございます」

――ちなみに、2012年からのこのインタビューを全部読み直してみたら、ぽんちゃは2012年の時点で「年齢的な部分でアイドルとして崖っぷち」って言ってましたけど。

「ハハハハハハ! Negiccoめっちゃネガティブでしたよね。昔のインタビューを振り返ると、ずっと後ろ向きなことばっかり言ってた気がする」

――当時まだキャリア9年なのに、結成20年でも活動してるとは想像もせずにそんなことばかり言ってたわけですよ。

「もう、どん底にいるようなこと言ってましたよね」

――この時点で「化粧が乗らなくなってきた」とか言ってたりで。

「ハハハハハハ! 言ってたかも、〈地上波に乗るのが怖い〉とか。20代前半の頃かな?」

――そう思うと、かなり頑張ってますよ。

「大丈夫ですか、老けてないですか?」

――問題なしです! ちなみに当時、「理想のタイプはお父さん」って言ってました。

「ああ! でもそれはずっと変わらないですね。みんなそうなんじゃないかな」

――そして当時、嶺脇社長が「いつか子供を抱っこしながらラインダンスしてほしい」という非常にいいことを言ったとき、それすらネガティブに受け止めた人なわけじゃないですか。

「そうなんですよ、もうアイドル辞めて結婚して田舎で生活しろって意味なのかって3人は受け取っちゃって」

――曲解しすぎなんですよ(笑)。

「なんでもネガティブに捉える時期だったみたいで、常に自信がないとかそういうことばっかり言ってて、いま思うと恥ずかしくてしょうがないです」

――どう考えても現在を見据えた発言だったわけですよね。

「ホントですよね。最近、20周年本(『Negicco-llection 2003-2023 Negicco 20 th Anniversary Book』)をリリースしたんですけど、そこで嶺脇社長にコメントいただいたら、その話を書いてくださってて、〈実現して嬉し恐ろし〉って書いてあって。子供を抱っこしてラインダンスが……」

――もうやれる状況になりましたからね。

「なれたから。実は今回の20周年のライブで子供と一緒にって話もあったんですけど、まだ小さすぎて音にビックリしちゃったり、たくさんのお客さんの前に出すのはビックリしちゃうんじゃないかっていうのがあって」

――子供がギャン泣きしてるなかでやるのもアレだし。

「そう思ったから今回は見送ったんですけど、いつかいいタイミングでやれたらいいなと思ってるし、嶺脇社長にその姿を見てもらいたいです」

戦うのが向いてないアイドル

――いい伏線回収ですよ! そして、Negiccoはこの5年で何か変わってきました?

「もともとNegiccoは3人とも仲良かったんですけど、また同じ境遇になって、結婚を同じ時期にして子供も同級生でっていうのがあって、話題がもっともっと増えてきて。いま一番仲がいい状態というか、3人ともとても幸せな状態なので」

――へー! ここしばらくはいつも一緒に活動していたわけでもないから、ちょうどいいバランスなんでしょうね。

「そうですね。グループとしてもとてもいい状態なのかなと思いつつ、その状態で20周年を迎えられてうれしいですね」

――基本は仲いいグループではあるけど、インタビューしてると危機があった的な話は毎回ポロポロ出てくるじゃないですか。

「ハハハハハハ! ありましたね。最初の頃は置いといて、Negiccoってずっと忙しくさせてもらってたので。地元の新潟でもお仕事があったり東京でもライブがあったり、ホントに四六時中、3人一緒にいたので、プライベートでお出かけする回数がめっきり減っちゃって。車の移動中も寝てる時間とかそれぞれ個人の時間になってたから。

いまはホントずっとおしゃべりする時間が多くなりましたし、お休み期間もあって、いま20年続いて同じ目標を持って、同じ先を見てるからこそグループがさらに団結して、みんな前向きないい状態になってるんだと思ってます」

――じゃあ、この5年間は辞めたいと思うことは一切なく。

「そうですね。むしろNegiccoがこの先どうなっていくんだろうっていうのがちょっと楽しみな状態です」

――よかったじゃないですか!

「よかったです! 続けてきてよかったです! 一時期危なかったけど(笑)」

――なんとかなるものなんだなあ……。

「ホントに! なんとかなるもんですね。今回の小西(康陽)さんの楽曲にも〈なんとか逃げ切る〉っていう歌詞があって、ホントなんとか逃げ切って、またその先もこんな感じでのんびり、何かあってもうまく逃げ切って乗り越えたいなって思ってます」

『Perfect Sense』収録曲“お久しぶりです・お元気ですか”

――このマイペースさが保てさえすれば、たぶんそんなに追い詰められず楽しくやり続けられるんだと思ってます。

「ですかね。忙しすぎちゃうと……追い詰められるのが一番よくないってことに気づきました」

――好きなソロをやり、好きなカレーの仕事をやり、ぐらいの。

「はい、大好きな猫と暮らしながら(笑)」

――楽しいことを適度なバランスでやっていって。もちろん、これで大儲けするのは難しいかもしれないけど……。

「そうですね。争ったりするのも好きじゃないんで。昔はアイドルさんのイベントで優勝とか順位づけとかもあったりして、そういうのに出なきゃいけない機会もあったりして」

――戦って結果を出したことでここまできたグループではあるけども、そもそも戦いが向いてなかったわけで。

「そう、向いてなくて。いつの日か〈戦わないアイドル〉とか言い始めたりして。そういう時期もありましたね」

〈たいへんだよね〉って支え合いながら活動できてる

――そういう過酷な状況からはなんとか抜け出して、落ち着いた活動をするようになって。ソロもよかったですよ。

「ありがとうございます。豪さんってそんな時間いつあるんですか? 新譜チェックしたりツイートチェックしたり」

――無茶苦茶頑張ってやってますよ。

「やっぱ無理ですよね」

――ラジオとか配信イベントを追うのがメインだから、聴く日を作ってひたすらチェックして。レビューを書く仕事があるから続けられてるけど、これがなかったら8割方チェックしないで確実に良さそうな人たちだけを聴くようになっちゃうと思います。

「なるほど、自分の好みだろうなって人だけを」

――そう、Negiccoとかまず確実な人たちは聴くけど、まったく知らない人たちを片っ端から聴くようなガッツはなくなると思います。

「すごいですよね、隅から隅までチェックしてますよね。そこでNegiccoも見つけていただいて、すごいなって思います」

――ぽんちゃもアイドル好きを公言してましたけど、以前ほどアイドルは追わなくなっちゃったんですよね?

「最近はそうですね、アイドルさんはあんまり聴いてないかもしれないです。エビ中ちゃんとかももクロちゃんとか、好きなアイドルさんはチェックしてますけど、最近のアイドルさん事情はあんまり詳しくないですね」

――しょうがないですよ、それが当たり前です。

「最近おもしろいグループさんありますか?」

――このへん掘り下げると切ない話になるだけですよ。いわゆる楽曲派的な世界の人口がどれだけ減ってるか、みたいな。

「ああ……そういう感じなんですね。アイドル自体は盛り上がってないんですか?」

――かわいいキラキラした人たちの世界は元気だけど、そのへんはボクもほぼ接点ないので、いい曲を歌っているアイドルが報われにくくなってきてますね。

「しいたけ占いさんを見たら、〈今年はいままで努力してきた人たちが報われる時代〉って書いてあって」

――〈私だ!〉と(笑)。

「ハハハハハハ! ピンポイントで私だとは思わなかったですけど、頑張ってきた人が日の目を浴びるチャンスかもしれないと思ったりしつつ、ハロプロさん(ハロー!プロジェクト)のことも浮かんだりして」

――ちゃんと努力を続けてきた人たちが。

「はい、ちゃんと努力を続けてきてる人たちだから、一度ライブ観に行きたいですね」

――そういう機会もだいぶ減っちゃったわけですね。

「ライブに行く機会もなかなか……」

――子育てがあると。

「そうですね、子供中心になっちゃうと自分の時間は後回しになっちゃうので」

――子供は本当にかわいいだろうけど、なかなか寝られなかったりの大変さも当然あるわけですよね。

「そうですね、あります。昨日は夜の9時に赤ちゃんが寝て、夜中の2時に1回起きて、そのあと4時半に起きて、今日は朝の7時半に出てきたので、途切れ途切れ睡眠で。だから移動車で寝るようにしてます。

でも、子供はめちゃめちゃかわいくて、ホントに尊い存在ってこういうことなんだと思いますし。両立は、仕事があるときは両親と旦那さんが見てくれるんですけど、家族やみんなの協力がないとなかなか難しいなって」

――新潟で生活しているからなんとか成立する。

「そうですね、それはありますし。20周年で忙しくなるのはわかったうえで出産したので、20周年は頑張りたいなと思いながらも子供と向き合う時間は大切にして。自分にかける時間はなくなっちゃいましたけど(笑)。

でも、そういう境遇はふたりも同じだから、そこは支え合って、〈たいへんだよねー〉って言いながら、みんなたいへんだけどそこは理解し合って活動できてる感じです」

――アイドルの結婚について世間の人がいろいろ言うじゃないですか。何か言いたいことはあります?

「……いや、逆にどうですか?」

――10年以上ちゃんとやり続けてきた人に言えることは何もないですよ。幸せになってくれればそれでよし、でしかない。このキャリアでまだ結婚がダメだとしたら、どうすればいいんですかっていう。

「うれしいですね」

――とにかく、いまこうしてNegiccoがアイドルの新しい形を作ってくれるのがホントにいいことなのは間違いなくて。

「そう言ってくださるのはホントにうれしいし、ももクロちゃんの(高城)れにちゃんが結婚されてアイドルを続けるって宣言されたじゃないですか。ああいう大きなグループがそういう活動を示してくれるのはけっこう大きいなと思いましたし、れにちゃんも〈Negiccoさんが〉とか〈でんぱ組さんが〉ってインタビューで言ってくださって、すごいうれしかったですね」

――でんぱ組の(夢眠)ねむきゅんが結婚して子供のための本屋をやり、そこにシングルマザーの最上もがさんが行き、みたいになってるのがすごくいいなと思ってて。

「そんな未来が! ホント同じ時代にアイドルしてた方たちだから感慨深いですね」

――で、(古川)未鈴ちゃんが取材に子供を連れてきて、子供を交えてボクと3ショット撮ったりとか、本当に人生いろいろだなって。

「ホントですねえ……。私とかえぽがこの前、ラジオ局に子供を連れてったんですけど、ウチの子が泣いちゃってゆっきー(雪田容史)が抱っこしたり熊さん(熊倉維仁)が抱っこしたり、みんなあやしてくれながら仕事させてもらいました」

――人生を考えさせられますよ。

「もがちゃん、お子さんできてからすごい変わったなって。Twitterだけ見てても思いますし。ただ、いろいろ言われたりっていうのは、もがちゃんはいろんな人に見られてるから私たちなんかよりぜんぜんたくさんあるだろうし。そういう誹謗中傷問題とかホントにしんどいです」

――比較的平和なNegiccoであっても。

「であっても、ウイルス禍でNegiccoに向けてというよりも、私に対して言ってくる人を見て、その人に個人的に嫌なことがあったのかなって」

――みなさんストレスを溜めるしかない状況下だったからこそ。

「ホントそういう時期だったから、初めてSNSが怖いと思ってつらかったですけど」

――どうにか平和でいたいものですね。

「そうですね、ホントに」

アイドルでもお姉さんでもいられるNegiccoはちょっと得する立場

――ただ、いろいろあったけど、いまグループがいい状況で、いい新譜が出てホントよかったですよ。

「ありがとうございます、お忙しいなか」

――小西さん、さすがだなと思いました。

「ハハハハハハ! 最初に聴いたときはぶっ飛びました。ビックリしました。10年越しなんですよね、“アイばか(アイドルばかり聴かないで)”から。ホントにすごい、これまでの歴史というか歩みを曲にしてもらって」

2015年作『Melody Palette』収録曲“アイドルばかり聴かないで”

――“アイばか”も、〈なぜよりによってNegiccoにこんな攻めたことを!〉とか言われてましたけど、〈あのコとはデートとかキッスとか結婚もできないのよ、ざんねーん!〉って、まさに!という。ただ、10年前の時点で〈ふつうの人はCDなんてもう買わなくなった〉わけですよ。まだ買ってる自分とは?と思いますけどね。

「またCDが流行る時期ってきますかね?」

――CDはレコードほど長持ちしない問題があるんですよね、聴けなくなっちゃったりするっていう。レコードは半永久的なんですけど。

「いまY2Kが流行ってるじゃないですか。私たちが小学生ぐらいのときのファッションとかレッグウォーマーとか。そのときCDを超いっぱい聴いてた時期で、CDもまたわかいいものとしてブームがくるのかなと思ったけど、そうでもないんですかね?」

――平成レトロ的な。

「そうですそうです。タワーレコードさんでそんなこと言ったらアレかもしれないけど(笑)。すみません」

※編集部注 取材はタワーレコード本社でおこなった

――問題ないです!

「でも私は盤が欲しいタイプなのでCDは買ってます、配信で曲はあんまり買ったことなくて」

――週2ぐらいで本屋とタワレコに行ってたから、タワレコでの目撃証言が死ぬほど多かったボクですら、いまどっちも月に1~2回しか行ってないんですよ。

「え、あの豪さんが!」

――ボクがそうなんだから、そりゃ出版業界も音楽業界もたいへんなはずなんですよ。

「うわ、そうですね! サブスクとか聴いたりするんですか?」

――もちろん。サブスクが便利すぎて。

「そうですよね。サブスクももちろん聴いてて、そこでいいなと思ったヤツを盤で買う、みたいな」

――ボクも、いいなと思った人たちのCDは買うっていう意思表示はしてます。そして、この年齢でアイドルやってるとは思ってなかったわけじゃないですか。実際やってる状況はどうですか?

「14歳から始めていま34歳ですからね。昔ほど抵抗感がなくなったのかなと思います。

昔はアイドルさんとお仕事する機会もけっこう多かったり、周りにはアイドルさん、隣にもアイドルさんっていう状況だったからこそつい比べちゃって」

――とんでもなく劣等感が刺激されて。

「そうなんですよ! 〈あぁ……もう潮時なのかしら〉とか思いつつ」

――常に〈私なんかが〉と思ってたけど。

「はい、そういう感じだったから。でも、いまはいい意味でアイドルさんと一緒の場が少なくなって」

――活動の場が変わったことで比較することもなくなって。

「だから前ほどの落ち込みはなくなってきたかなって」

――じゃあ、Tパレ(T-Palette Records)感謝祭とかでもいろいろ感じてたわけですね。

「フフフフ、若い子だと推しジャンとかめっちゃ多いのに、自分が歌ってるとただ聴いてるだけ……聴いてくれるのはありがたいことなんですけど。

ただ、エビ中ちゃんのファンの方も〈NegiccoちゃんNegiccoちゃん〉って来てくれたり、〈Negicco姉さん〉って言ってくれる人もいるし、アイドルでもいさせてもらってるし、お姉さんでもいられるし、Negiccoはちょっと得する立場だなと思いながら」

――エビ中もいまは新メンバーをどんどん入れたりとか、いろんなアイドルの続け方があるじゃないですか。ネギはホントに独自の道を進んでるんですよ。

「フフフフ、不思議ですね」

――かつて一緒にコラボもしたNegiccoとhy4_4yhが、Negiccoは3人が結婚して子供も生まれ、hy4_4yhはどっちも独身のまま活動を続けているという。

「いまも頑張ってて。hy4_4yhさんも今度新潟に来るんですよ。久々にお会いしたいなあ」

――ここまで来たら、この先もまだまだ続けていけるかなっていう気にはなってますか?

「また1コ山を越えて。それぞれ子供とか生活もあるので、活動はちょっと緩やかになるかもしれないですけど、みんなNegiccoを続けたいという気持ちは一緒なので、ファンの方が許してくださるなら……。

結婚発表したときも〈続けてくれてありがとう〉って声をかけてもらうことが多かったので、それがホントありがたくて。〈え、続けていいの!?〉って。みんなが支えてくれるからNegiccoでいられるのに、ホントありがたいことだなと思ってて」

――アイドルというジャンルの幅が広がってきてよかったですよね。

「それを受け入れてくださる方がいるから、こうやってできてるわけで」

――昭和みたいに、ファン層がほぼ10代で、アイドルなんて20代になったら聴かないものって時代だったらこうはいかなかったわけで。

「すぐ消えてますよ。すぐ〈お疲れさまでしたー〉って消えてます」

(左から)Kaede、Nao☆、Megu

ピンチになると誰かが支えてくださった

――そして、過去のNegiccoインタビューを読み直して、いままで表に出してなかった出来事もあるのを思い出して。これはまったく書けないかもしれないけど、ぽんちゃもたいへんなことあったなって。

「え、なんですか?」

――新潟のイベントは告知しないで東京のイベントは告知するのか、みたいなことでちょっとしたトラブルになったり。

「ああ、ファンの人と揉めたことありますね(苦笑)。そうなんですよ、ありました。それも東京だから告知したとかじゃなくて、もちろん新潟をないがしろにしたわけじゃなくて、忘れてて東京だけを告知したら〈新潟のイベントは告知しないのかよ〉ってトラブルが起きちゃって、ファンの人とバトルみたいになって(苦笑)」

――〈どうしたらいいんでしょうか〉みたいな連絡がありました。

「ありましたね、めっちゃなつかしい! いまめっちゃ汗出ました(苦笑)」

――ダハハハハ! 2~3回、そういうゴタゴタの相談に乗ったことあったなって。その後、ボクが入らないで済むようなちゃんとした体制になったからこそ、Negiccoがここまで来たと思うんですけど。

「ありました、〈豪さん力を貸してください!〉みたいなこともありましたし、豪さんがいなかったらNegiccoもいまいないですから。ホント豪さんのおかげですよ!」

――あと、Nao☆ちゃんから「もう熊さんには限界! 事務所も辞める!」ってボクに報告が来たときのことは覚えてます?

「ありました。嶺脇社長とのご飯会のときとかも」

――ボクがNao☆ちゃんを説得したあと、すぐ嶺脇社長に報告して「社長! 止めてください!」って言ったんですよ。

「そっか、そのあとにご飯に行ったのか。ありがとうございます(笑)」

――「社長が動かなきゃヤバいですよ、どうするんですかこれ!」って言って、社長が「Negiccoは熊さんとやってるからいいんだよ!」って感じで。

「説得してもらって。そのあと熊さんじゃちょっと足りない部分があるからゆっきーが来てくれたり、いろんな方が力を貸してくださっていまがあります。ホントにみなさんのおかげです。

ホントNegiccoって恵まれてて、ピンチになると誰かが支えてくださって。自分たちが続けたいと思ってるだけじゃなくて、みんながいてくれたから。ファンの方だけじゃなくて周りの方も含めてホントにありがたいです」

――これは書けないかもしれないですけど、ほかにもボクが動いたことありましたよね。ぽんちゃに報告したと思うんですけど。

「ああ、トラブルがありましたね」

――ある情報が入ってどうにかしなきゃと思ったとき、とりあえず大人の話ができるネギのメンバーはぽんちゃかなってことで連絡して。

「〈このままだとNegiccoの評判が落ちるよ〉みたいな」

――そんな感じで表に出ない水面下での危機もいろいろあって。

「そう、ネギもずっと平和だったわけじゃないですからね」

――平和に楽しくやってるグループのように見えるけど。

「意外といろいろありながら、それを乗り越えながら。『(勝ち抜き!アイドル天国!!)ヌキ天』でもいろいろありながら。

その頃、豪さんに韓国料理屋さんに連れてっていただいて。その都度その都度、豪さん含め社長含め、助けてくださった方がいたからですよね。ホント恵まれてるな」

――雪田さんが会社に加わったのは大きかったんですか?

「大きかったと思います。熊さんだけではやっぱり足りないことも、楽曲の部分でもそうですし。ゆっきーが新潟に来てくれて、新潟でのNegiccoという体制がまた強固なものになって続けてこられたので。もちろん熊さんは大事な存在ですけど」

――でも、ひとりではちょっと危うい(笑)。

「ハハハハハハ! そうなんですよ、危うくて。いろんな人が力を貸してくれたりして」

これからもよろしくお願いします

――そういうことがありながらも、この感じを保ててるのはすごいですよ。このキャリアで荒波に揉まれながらも、まるで何もなかったかのような平和な空気っていう。

「フフフフ。でも一時期、3人とも人見知りめっちゃ激しかったです、〈人が信じられない!〉みたいな」

――ありましたね、大人不信期。

「大人不信期! 最近Bro.TOMさんから〈結婚おめでとう、出産おめでとう〉っていうメッセージいただいて。それを見たら『ヌキ天』のことを思い出して。いま子供番組やられてるみたいで、〈子供と観てね〉って言ってました」

――ただ、これもデリケートな話で、TOMさんも家庭でいろいろありましたからね。

「……え、そうなんですか!?」

――まあ、人生いろいろですよ。とにかく、この感じでやり続けてくれればそれでいいです。

「また豪さんにインタビューしてもらえる日が来るのを楽しみにしてます」

――もしまた何かあって危険な状況になったら呼ばれるかもしれないですけど。

「そうですね(笑)。つらい状態でお会いしないように」

――インタビューしても誰かが泣くパターンが多かったですからね。

「そうですね、Negiccoのインタビューはそうかもしれない」

――たぶん今日は誰も泣かず平和に終わる気がします。

「そうだと思います。これからもよろしくお願いします」

 


RELEASE INFORMATION

Negicco 『Perfect Sense』 Fall Wait(2023)

リリース日:2023年7月20日
フォーマット:デジタル(サブスク、DL)先行リリース
品番:FAWA-0020

TRACKLIST
1. Make Up Promenade 作曲・編曲 長谷泰宏(ユメトコスメ)
2. お久しぶりです・お元気ですか 作詞・作曲・編曲 小西康陽
3. Neggy‘s House 作曲・編曲 南葉洋平(The Recreations)
4. それって魔法かも? 作詞・作曲・編曲 オカモトコウキ(OKAMOTO’S)
5.ル・ルーラは愛の言葉 作詞・作曲・編曲 connie
6. サークルゲームのなかで 作詞・作曲・編曲 ミト(クラムボン)

 


PROFILE: Negicco
2003年に結成された新潟発アイドルユニット。メンバーはNao☆、Megu、Kaede。〈にいがた観光特使〉を務める。今年2023年7月20日で結成20周年を迎えた。