ジャンケンみたいな3人組
一方で、鋭利にギラつく楽曲も変わらず健在。童謡のような旋律をはすっぱな歌唱でなぞる“Guu”、「制作時期に『カウボーイビバップ』を観ていて、その挿入歌に影響されたかもしれません(笑)」(堀胃)という歌謡ロック“無問題”、はみ出し者の哀愁をリズミカルに綴った“Odd Eye”と、多彩な世界観に影を滲ませている。
「“Guu”は、じつはこの3人のことを歌ってたりもします。グーはパーに負けてチョキに勝つみたいなグーチョキパーの関係がこの3人に似てるなと思って。“Odd Eye”は新宿でネズミを見たときに作ったんですけど、そういう嫌われ者を見ると自分に重ねてしまうところがあるんですね(笑)。ちゃんと自分で歩いていこうっていう結末ではありますけど、人間の弱い部分を凝縮した曲です」(堀胃)。
こうした明暗のなかでひときわ清い光を放つバラードが“faraway eyes”。伊藤翼のアレンジによるストリングスがひたすらに優しく、そして切ない。
「目が見えない子のYouTubeチャンネルを観ていたとき、〈目がもし見えるようになったらどうする?〉って質問に対して、〈見えなくていい。見えたら見えたで(世の中が)嫌いになりそう〉みたいに答えていて。その子には視力とは別の意味で見えてるものがあるんだなって思ったことをきっかけに作ったのがこの曲です。それと、自分が経験した別れをちゃんと終わらせる曲を作りたいと思って仕上げました」(堀胃)。
「この曲は壮大な自然を思わせるんですよね……行ったことないですけど、グランドキャニオンにポツンと一人で立ったときの心許なさというか、〈地球!〉〈大地!〉〈風!〉みたいな自然のエネルギーを感じるんです。そのなかで自分と世界が溶け合うというか、こんなに小さい気持ちとこんなに大きい景色がなんで繋がるんだろうみたいな、そういう不思議な感覚を覚えたので、ドラムは強い音でそのエネルギーを担当しようと(笑)。壮大さはストリングスとかで出してもらって」(田中)。
「この曲は心が揺れ動いてるから、真面目にやりつつも感情があったほうがいいかもと思って、クリックを聴かずに録りました。けっこう攻めたところがある曲だと思います」(みと、ベース)。