Mikiki編集部員が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、4人が1曲を厳選し計4曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部
【天野龍太郎】
米津玄師 “POP SONG”
PlayStation上で解禁、という異例の発表方法で話題を呼んだ米津玄師の新曲“POP SONG”。そのミュージックビデオが公開され、配信も開始に。どこか挑戦的なタイトルが冠されたこの曲は、坂東祐大がアレンジを、浦上想起(!)がピアノを担当しており、参加アーティストのメンツにびっくり。聴いてみると、そんな〈情報〉を上回る音楽的体験が得られて、二度びっくり。やっぱり米津玄師ってすごすぎ、と改めて思ったのでした。配信リンクはこちら。
【鈴木英之介】
中村佳穂 “Hank”
“Hank”は、先日発表された“さよならクレール”から一転、アコースティックギターをメインにしたメロウで静謐なナンバーだ。浮遊感に満ちたコード進行に沿って紡がれる、どこか妖精的な歌に耳を傾けていると、この重苦しい現実から徐々に心身が解き放たれていくような感覚になる。また後半で控えめに入ってくる弦の低く艶やかな響きも、曲に格調高さを付与しており、そのアレンジの絶妙さには思わず感嘆してしまう。決して派手ではないが、中村佳穂のアーティストとしての底力を感じさせるこの先行曲に、ニューアルバム『NIA』がますます楽しみになってくる。
【田中亮太】
ステレオガール “Spirit & Gravity”
東京拠点の5人組が2月16日(水)にリリースするセカンドアルバム『Spirit & Opportunity』からのリードソング。ダイナミックかつスクエアなドラミング、カスタマイズされたN-1スターファイターのように成層圏を突破するギター……LCDサウンドシステムやアーケイド・ファイアらのアンセムを彷彿とさせる最高のダンスフロア・ロックンロールです。〈ハイな体験〉を鳴らした/歌ったロックとして、私的な記憶ではなく、音楽の歴史にちゃんと刻みたい。
【酒井優考】
黒子首 “やさしい怪物 feat. 泣き虫☔︎”
期待の新人邦楽アーティストにも選んだ3ピース、黒子首(ほくろっくび)が突如シンガー・ソングライターの泣き虫☔︎とコラボした新曲をリリースし、なんとこの曲でトイズファクトリーからメジャーデビュー。先の記事を書いた時にはメジャーデビューするだなんて知らなかったので驚きました。
リリースに際して出されたボーカル・堀胃あげはのコメントによれば、とある事件のニュースがきっかけで生まれた曲だそうで、〈誰もが狂人を頭でなんとか飼い慣らしているんだろうなあと。危険な脳みそを、今生きる全員で、面白いことに変えていけたら、最高です。〉とのこと。このコメントからだけでも、黒子首がヤバい3人だと分かるんじゃないかと思います(と書くと、ドラムのそいさんとベースのみとさんは〈堀胃さんだけがヤバいんです〉と言いそうですが)。そしてそういった意思は、この優しくも力強い曲にも表れていると思います。平和ではあるんだけど、なんだかずっと不安が消えないこの国に生きるみなさんに聴いてほしい曲です。