PR
インタビュー

ザ・キルズ(The Kills)史上最もエキサイティングな新作完成! LAの空気を取り込んだ『God Games』をアリソン・モシャートが語る

©Myles Hendrik

ノワールなロックンロールを鳴らしてきた男女デュオが立つ、原色のカラフルな場所。多文化が交差する街、LAの空気で満ちた新作は、猥雑で賑やかな世界を讃えている!!

 センセーショナルなデビューからちょうど20年。アリソン・モシャートとジェイミー・ヒンス(共にヴォーカル/ギター)のロック・デュオ、キルズが7年4か月ぶりに6作目のアルバム『God Games』をリリースする。その聴きどころは何と言っても、アルバムをリリースするたび、自分たちのロックンロールをアップデートしながら、常に前作からの跳躍に挑み続けてきた2人が、今回、これまででいちばんの飛距離を成し遂げていることに尽きる。

 端的に言ってしまうと、ヒップホップのトラックメイキングを大胆に取り入れつつ、さまざまな鍵盤楽器やシンセを使って鳴らしたホーン、ストリングスの音色を加えることで、バンド・アンサンブルを刷新。それによって、曲調の振り幅が格段に広がり、彼らのデビュー時、同様にロックンロール・リヴァイヴァルと謳われたその他のバンドに差を付けていたハードボイルドでノワールなキルズの世界観は、原色のどぎついイメージを纏ったカラフルなものに変化している。アリソンによると、その新たな姿は、パンデミックの最中、たっぷりある時間を使って、これまでとは違う曲作りを試した成果なのだそうだ。

THE KILLS 『God Games』 Domino/BEAT(2023)

 以下、アリソンの発言を交えながら、新境地と言える『God Games』の収録曲を紹介していこう。まずはヒップホップ風のビートが鳴っている“New York”“LA Hex”に続いて、アルバムのリード・ソングとして発表された“103”。普段、ギロチンの如きギターを鳴らしているジェイミーがこの曲ではトレモロでギターの音色を揺らしているせいか、〈キルズ流のカントリー〉なんて言ってみたい魅力がある。

 「アメリカ横断の長いドライヴにインスパイアされて作った曲だから。7日間ぶっ通しで、一人でアメリカを横断していると、そういう音楽を聴くものよ(笑)。最初はシンセ・ベースとドラム・ビートと私のヴォーカルだけだったの。セッションの最後にジェイミーがあのギターを入れたんだけど、あれはまさにこの曲にぴったりで、シネマティックで完璧なサウンドだと思ったわ」。

 そのジェイミーが懺悔するように哀愁の歌声を披露する“My Girl My Girl”はゴスペル風のクワイアとハンドクラップが曲をスペシャルなものにしている。

 「今回、ぜひともクワイアを入れたいと思った曲がいくつかあったの。他の楽器ではなく、声を使って、いろいろなオクターヴの層を作りたかった。クワイアを加えることで、すごく素敵なものができた。コンプトン・キッズ・クラブ・クワイアという4人の若い女の子たちから成る素晴らしいグループを招いたのよ」。

 また、キルズ流のR&Bと思わせ、レゲトンを隠し味に使った“Going To Heaven”、レゲエのリズムが鳴る“Love And Tenderness”、さらにはラテンのフィーリングが滲むバラードの“Better Days”に感じるエキゾチックな要素の出所も気になるところ。

 「それはLAに住んでいるからだと思う。ジェイミーは“LA Hex”を書いている最中、歩道の角に立って、行き交う車から聴こえてくるマリアッチやらロックンロールやらヒップホップやら何やらを耳にしたそう。LAの街角に10分立っていると、ありとあらゆる文化が大音量で聴こえてくる。あらゆるものがごちゃ混ぜになって、交差して、素晴らしい音楽のカコフォニーを生み出している。彼はそれにインスパイアされた曲を作りたかったの。素晴らしい音楽ジャンルの十字砲火を浴びたときの気持ちを表わした曲をね」。

 なるほど、“LA Hex”で鳴らしたホーンはあらゆる文化がごちゃ混ぜになるLAを象徴したものというわけだ。その他、『God Games』にはツイン・ヴォーカルで聴かせるポップな“Wasterpiece”やジャジーな“Blank”のような曲も収録され、アルバムをさらに聴き応えのあるものにしている。

 「いろんなものが入っているけど、作品全体として完結していると思う。私はそこがとても気に入っているわ。映画のようね。とても素敵。どのアルバムも大好きだけど、今回の新作には本当に本当にエキサイトしているのよ!」。

 アルバムの出来に対する興奮を隠さないアリソンの様子からも今回の『God Games』がいかに自信作かを確信できるはずだ。

左から、キルズ2016年作『Ash & Ice』、キルズの2022年の編集盤『Little Bastards』(共にDomino)、アリソン・モシャートの2020年作『Sound Wheel』(Third Man)

関連アーティスト