
タワレコ渋谷店のサイン会で語った、初めての日本で感じたこと
ライブ翌日に行われたタワーレコード渋谷店でのサイン会も大盛況。イ・スンユンからは「会場にサインを待つ人を集めて、おひとりずつサインしていく流れだったのですが、後からサインをもらうほうが長くその場に留まれるので、できるだけ後のほうでサインしてもらおうという空気の読み合いが面白かったです。でも、それでいてみなさんマナーを守って整然としていたので平和で、それが面白くもあり、不思議でもありました」という、なんともユニークな感想が届いた。タワーレコードの店舗を訪れたのも今回が初めて。「こんなに大規模なオフラインのCDショップに来るのは初めてで、ビル全部の隅々まで音楽で溢れているなんて、なんて羨ましいと思いました。本当にいろんな人がいろんな音楽を探しに一つの建物にいるというのも魅力的でした。CDショップでなければ同じ場所にいないであろう人たちが同じ建物の中を埋め尽くしていると感じました」とも。
日本では楽器を求めて出歩いたりもしたそう。「バンドのメンバーにおごってあげると言って焼肉に行ったのですが、お会計を見て表情が保てませんでした。でも、正直めちゃくちゃおいしかったです」と、日本の食も満喫。日本で活動してみたいか尋ねてみると、「僕は先のことに対して青写真を描いて考えるタイプではないので、機会があればという感じです。こういうサウンドのシンガーソングライターが韓国にもいる、ということがさざなみ程度にでも伝われば幸いです」と、あくまで謙虚。「日本でのライブでしたが、韓国語がまったくわからないという人のほうが少なかった印象でした。それでも、僕が話している時に(言葉がわからず)やや戸惑っていた方が、曲が始まると目を閉じて体を揺らして声を上げていたのを見て、音楽の力をあらためて感じました。日本でのライブは静かだと聞いていましたが、みなさんの反応がとてもエネルギッシュで驚きましたし、僕はそのエネルギーに身を委ねてただただ楽しみました。僕の日本語の発音はいまいちでしたが(笑)。もし僕がもっと日本語がうまかったら、僕の曲が再生されていると想像もしていなかった場所で僕の曲を聴いている方がいたことに、心からの感謝を伝えたかったです。もしまた日本に呼んでいただけたら来たいですし、どんなライブにするかはその時に考えたいと思います」。
PROFILE: イ・スンユン
大韓民国のシンガーソングライター。2013年に“今日も”で正式デビューし、ソロ活動とともに、Alary₋Kansionなどのバンドを結成して音楽活動を繰り広げた。2021年にファーストアルバム『Even If Things Fall Apart』を発表した。ポップ、ロック、アコースティックなどさまざまなスタイルをつなげて自分だけの個性で表現する。ジャンルとサウンドによって聴かせてくれる多様な音色は、イ・スンユンの幅広い音楽的スペクトラムが持つ魅力を極大化させる。特に感覚的かつ思索的、時には無鉄砲的でもある歌詞は、音楽を通じて自分だけのメッセージを伝えようとする〈サウンドメッセンジャー〉イ・スンユンの音楽的な色彩を鮮明に表わす。『Even If Things Fall Apart』の発売記念単独公演は、両日間オリンピッホール全席を完売させ、強力なチケットパワーを証明した。2022年7月に音楽レーベルのマルムモと新たに手を組み、多様な音楽、公演、放送活動を行っている。