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2023年の大晦日に放送された「第74回NHK紅白歌合戦」では、MISAMOやStray Kids、SEVENTEENが初出場を果たしたほか、LE SSERAFIMは2年連続の出場、特別企画枠でNewJeansの出場が急遽発表されるなどK-POPアーティストの活躍が目立った。
欧米諸国へ進出するグループも増え、日本国内においてはドームやスタジアム規模での単独ツアーの開催、さらには韓国の音楽アワードやイベントが当たり前のように行われるようになった2023年だが、こうしたアクションをひとつずつ拾い上げながらK-POPシーン全体像を見わたすのは、なかなか難しい。
Mikikiでは、そんな2023年のK-POPの動向を記録しておくため、韓国の音楽シーン全体に詳しい音楽ライター、まつもとたくおに総括テキストを依頼。2023年の動向に加え、2024年以降のK-POPシーンの展望についても綴ってもらった。 *Mikiki編集部
NewJeansらガールズグループが席巻した2023年
年を追うごとに存在感を増してきたK-POPは、もはやブームを超えてごく一般的なジャンルとして定着した感がある。2023年はその思いを強める動きが多かったように思う。
昨年の韓国の主要なヒットチャートを眺めてみると、ガールズグループの曲が1年を通じて上位にランクインしていたことがわかる。なかでも目立っていたのはNewJeans、LE SSERAFIM、IVEの3組だ。いずれもアイドルらしいオーラを放ちつつも、ハイレベルなサウンドとパフォーマンスで幅広い世代の支持を得ている点が興味深い。
NewJeansはボルチモアクラブやバイレファンキといった少し前のトレンドを取り入れた音作りと10代特有の魅力をアピールしたダンスの組み合わせが評判を呼び、ヒットを連発。デビューから1年足らずでK-POPを代表する存在となった。
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LE SSERAFIMとIVEは、どちらも結成当初は伝説のグループ、IZ*ONEの元メンバーが参加している点がセールスポイントだったが、以降はエッジの効いたサウンドと〈カルグンム〉と呼ばれる一糸乱れぬ踊りでオンリーワンの存在に。2023年はその路線をさらに推し進めて、両組ともに〈新世代のガールクラッシュ(女性が憧れる女性)〉の称号を手に入れている。
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他にもSTAYCや(G)I-DLEなど実績を残したガールズグループは数多い。また、ボーイズグループも健闘しており、特に中堅のSEVENTEENとStray Kidsの活躍は目覚ましいものがあった。この2組はデビューからずっと破竹の快進撃を続けているが、2023年はチケット即完の大規模ツアーを開催、新作を出せば爆発的なセールスを記録するなど人気の凄さを見せつけた。
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彼らが愛される理由はいろいろとあるが、やはりメンバー自らが手掛けているサウンドが必要不可欠なポイントだろう。プロの作家では思いつかない斬新な音の組み立て方による曲はどれもフレッシュに響き、多くのリスナーを魅了しているのもうなずける。こうした先輩たちに刺激を受けたのか、最近は新人でも積極的に作詞・作曲に関わるケースがしばしば見られるようになった。K-POPアイドルのセルフプロデュースは今後しばらく重要視されるに違いない。