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とにかくバンドが好き

 そして2024年1月、ammoはついにメジャー・シーンへと進出する。最初の作品はCDのみのリリースとなるファーストEP『re:想-EP』。

ammo 『re:想-EP』 Orange Owl/トイズファクトリー(2024)

 「もっとバンドが広まってほしいと思っていたし、すごく試行錯誤しましたね。結局正解はわからなかったけど、自分たちも〈いいな〉と思うEPになったので、とにかく聴いてほしいです」(岡本)。

 すでにライヴでも演奏されているリード曲“何℃でも”は、〈派手になった髪と化粧〉な恋人との関係を映し出すアッパー・チューン。感情の起伏に直結するメロディーと物語性のある歌詞、ライヴ映え必至のサウンドは、まさにammoの真骨頂だ。

 「とにかくメロディーがいいし、歌詞もおもしろくて。いままでのammoの曲のなかでいちばん好きかもしれないです」(川原)。

 「〈こういう曲にしよう〉というテーマだけを決めて、ブワーッと書いたら〈うまく繋がった!〉という感じでした(笑)。アレンジはいつもバンドで演奏しながら作ってます。めちゃくちゃアナログなやり方ですね」(岡本)。

 さらに、尖ったギターと抒情的なメロディーのコントラストが印象的な“koi”、起伏に富んだリズムと共に〈分かってあげられなくてごめんね〉というフレーズが広がる“ねー!”、心地良く揺れるグルーヴと憂いを帯びた歌が溶け合う“ブルースを抱きしめて”、シャッフル系のビートに乗せて〈あなたが僕の光でした〉と純度の高い愛を歌い上げる“やまない愛はある”を収録。アレンジと歌詞の両面で表現の幅をさらに広げている。

 「幅を広げることを狙っていたわけではなくて。〈どんな曲がいいだろう〉と考えながら、目の前のことを一生懸命やっていたらこうなってました。“ブルースを抱きしめて”みたいな歌詞がリフレインする曲もやったことがなかったし、新しいこともけっこうやれましたね」(岡本)。

 「“ねー!”の裏打ちのリズムもいままでやったことがなくて。レコーディングでかなり苦戦しました。アレンジの方向性は創馬が決めたんですけどね(笑)」(北出)。

 そのリリースと同時に、配信のみでEP『re:奏-EP』も登場。こちらはCDと共通のリード曲“何℃でも”に加え、ライヴで磨き上げられてきたインディーズ時代の代表曲“フロントライン”“CAUTION”“寝た振りの君へ”“これっきり”が再録で収められている。

 「配信リリースは初めてですね。ずっとCDにこだわってきたけど、去年くらいから考え方が変わってきて、サブスクで出すのもおもしろいかなと。再録のレコーディングは大変でした。ライヴでずっとやってきた曲だし、すぐ終わると思ってたんだけど、改めて録るとなると気合いも入るし、こだわりまくってしまって。自分でいうと、やっぱり歌ですね。曲を作ったときとは声や発声が違うし、録り直すなら絶対にいいものにしたかったので」(岡本)。

 「(2022年加入のため)この頃の曲をレコーディングするのは初めてだったんですよ。ライヴではずっと叩いてきたので、フィルやキメなど〈こうしたらいいんじゃないか?〉ということを詰め込めてよかったです」(北出)。

 今後の活動ヴィジョンは?という質問に対しては、「最高のライヴを続けたい」(川原)、「ずっとカッコいいバンドでいたいです」(北出)と超シンプルな答えが。そう、彼らはただただバンドをやりたいだけなのだ。あまりにもまっすぐな動機は、そのままammoの音楽の純度に繋がっているのだろう。

 「自分は一人で音楽ができないし、とにかくバンドが好きなんで。一緒にやってくれるメンバーもいるし、やるしかないなと。これまでと変わらず、どんどん大きくなっていきたいです」(岡本)。