BLACKPINKの完全復活、NewJeans騒動の複雑化、Netflixのアニメ映画「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」のヒット、BTSメンバー全員の除隊……。2025年のK-POPを巡る状況は激動でした。日本やアメリカにも話題が波及した一年の話題を振り返って、ミュージシャン/ライターのKotetsu Shoichiroさんに今年活躍したアーティストや重要な曲、作品を挙げてもらいました。 *Mikiki編集部

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BLACKPINKとJENNIE、G-DRAGONの活躍

2025年もK-POPは話題に事欠かない一年だった。ビッグネームの活躍からデビューしたばかりの新人グループ、トレンドの傾向など、今年印象に残ったアーティストや作品を、記憶に残ったものから順に挙げていこう。

デビュー以来、人気を保ち続けているBLACKPINK。近年はソロ活動が目立っていたが、グループでカムバックした今年の新曲“JUMP”は強烈だった。ハードテクノ風のトラックで、BLACKPINKらしい毒もある。この曲のユニークさについては、Mikikiの過去記事もご参考に。

そのBLACKPINKのJENNIEのソロ作『Ruby』も素晴らしいクオリティだった。アシッドバイレファンキな“like JENNIE”、そして米ラッパーのドーチーとの“ExtraL”など、火の粉が舞うような刺激的なダンスミュージックが詰まった意欲作となっている。

JENNIE (BLACKPINK) 『Ruby』 ODD ATELIER/Columbia/ソニー(2025)

そして帝王G-DRAGONは、アルバム『Übermensch』を引っ提げて帰還。アンダーソン・パークとの共作“TOO BAD”のMVでは、aespaのKARINAとダンスを披露し、世代を超えたカリスマぶりを見せつけた。こちらも過去記事をぜひ。

G-DRAGON (FROM BIGBANG) 『Übermensch』 Galaxy Corporation/Empire(2025)

 

TWICEやSEVENTEENら中堅の奮闘

デビュー10周年のTWICEはアルバム『TEN: The Story Goes On』をリリース。同じくこちらも10周年のSEVENTEENもメモリアルな5th『HAPPY BURSTDAY』をリリース(ファレル、ティンバランドのプロデュース曲あり!)。気づけば彼ら・彼女らも、10年選手の中堅~ベテランのポジションとなっている。

TWICE 『TEN: The Story Goes On』 JYP(2025)

SEVENTEEN 『HAPPY BURSTDAY』 PLEDIS(2025)

個人的にベテラン枠としては、元Wonder Girls・SUNMIのアルバム『HEART MAID』収録の“CYNICAL”に注目したい。レトロなシンセベースが唸るエレクトロ風の楽曲と、貞子とエクソシストを合体させたユニークなMV、そして来年でデビューから20年目にして今作がアルバムとしてはファースト……という独特なキャリア。どれを取っても印象的だ。

SUNMI 『HEART MAID』 ABYSS/Kakao(2025)

 

第5世代のILLIT、CORTIS、Hearts2Hearts、韓国外のKATSEYEの台頭

新しいグループも見てみよう。昨年デビューしたILLITにとって、今年は飛躍の年となった。当初は何かとNewJeansと比較されがちな存在だったが、今年リリースされた新曲は、NewJeans的な学園ドラマ風の世界観を残しつつも、高速デンボウな“jellyous”、日本のアニメ「ファイブスター物語」のサントラをサンプリングしたフューチャーファンク“Billyeoon Goyangi (Do the Dance)”など、ポップではっちゃけた独自のセンスを見せつつある。日本語曲のリリースやセブン-イレブンとのコラボなど、日本での活動も目立った一年となった。

ILLIT 『bomb』 BELIFT LAB(2025)

KATSEYEの活躍も押さえておきたい。韓国のHYBEと米ゲフィンが手がけるアメリカを拠点とした多国籍グループで、昨年のデビュー曲は無難にキュートな印象だったが、今年リリースされた“Gnarly”は、悪趣味ギリギリなMVと荒々しいハイパーポップサウンドでインパクト大。YouTube1億回再生のヒットとなった。アフロビーツな“Gameboy”も最高。

KATSEYE 『BEAUTIFUL CHAOS』 HYBE/Geffen(2025)

IVEの妹分として今年デビューしたKiiiKiii(キキ)。デビュー前はメンバーのシルエットのみが公開され、“I DO ME”のMVとともに全貌を現した新グループ。韓国語で笑い声のオノマトペを意味するグループ名のイメージ通り、ひたすら明るくヘルシーな世界観。乱世にささくれだった人々の神経は彼女らをどう受け止めるのか、来年の活躍を見守りたい。

KiiiKiii 『UNCUT GEM』 Starship(2025)

SMエンタテインメントの新グループHearts2Heartsのデビューも注目を集めている。SMらしい人工美~箱庭的美学によって構築されたポストNewJeans……といった趣きの8人組グループ。同事務所のRed Velvetやf(x)の遺伝子を感じるハウス曲“FOCUS”がとにかくクール。

Hearts2Hearts 『FOCUS』 SM(2025)

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韓国のソニーとNTTドコモの提携のもとデビューしたcosmosy。〈東京発・ソウル経由で世界へ〉のキャッチコピーの通り、日本版「PRODUCE 101」の元メンバーを含む日本人4人組。同じく日本人グループであるXGのサイバーな演出ともまた違う、ファンタジー風の演出と、まるでヴェイパーウェイヴのように日本語・韓国語・英語が入り混じった歌詞で、独自路線を進んでいる。

cosmosy 『the a(e)nd』 NTT docomo Studio&Live/Sony Music Korea(2025)

BTSやTOMORROW X TOGETHERを擁するBIGHIT MUSICから、彼らに連なる新顔として登場したのがCORTIS。作曲やビデオ、振り付けなど、メンバー自ら制作に関わるというクリエイティブなグループ。焦らしてスカす展開で〈新しいトラック、新しいビートを持ってこい〉と煽る“GO!”が素晴らしい。やんちゃなキャラクターは、初期のオラついていたBTSを思い出させる。

CORTIS 『COLOR OUTSIDE THE LINES』 BIGHIT MUSIC(2025)

オーディション番組「PROJECT 7」からデビューしたCLOSE YOUR EYESは、日本人や中国人メンバーを含む7人組のグループだ。プロデューサーを務めるイ・ヘインは、かつて自身もオーディション番組出身の歌手として、グループおよびソロで活動してきた人物である。その後、裏方へと転身した彼女はKISS OF LIFEのディレクターを担当。同グループは大手事務所ではないにもかかわらず大きな成功を収め、〈中小の奇跡〉とも称された。そんなイ・ヘインが新たにボーイズグループを手がけるとあって、CLOSE YOUR EYESにもすでに大きな期待が寄せられている。

CLOSE YOUR EYES 『blackout』 UNCORE(2025)

 

ヒット作「デーモン・ハンターズ」とK-ROCK人気の影響

今年のK-POPを語る上で外せないのが「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」だ。Netflix発の3Dアニメ映画である本作は、架空のK-POPグループHUNTR/Xの活躍を描いた、コミカルなアクションファンタジー。本作のグローバルヒットに合わせて、劇中歌“Golden”も熱狂的な支持を得た。

VARIOUS ARTISTS 『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ オリジナル・サウンドトラック』 Republic/ユニバーサル(2025)

また、傾向として、バンド~ロックアレンジの楽曲が増えつつある。2年前にリリースされたWOODZ“Drowning”の逆走(過去の曲が最新のチャートに食い込む現象)ヒット、バンドアイドルのQWER、今年でデビュー10周年となるJYP所属のバンドDAY6などが一例として挙げられる。以前からヒット曲を〈Rock Ver.〉としてバリエーションをリリースするグループはいたが、最初からコンセプトとしてロックを目指している楽曲やグループが目立ち始めている。“APT.”の大ヒットと、韓国インディー/オルタナの人気が影響しているのかも知れない。

WOODZ 『OO-LI』 EDAM/Kakao(2023)

DAY6 『The DECADE』 JYP(2025)

QWER 『MANITO』 TAMAGO/Kakao(2024)

ほか、今年リリースで印象に残った楽曲としては、
Stray Kids “Do It”
LE SSERAFIM “Come Over”
KISS OF LIFE “Lips Hips Kiss”
HWASA “Good Goodbye”
TREASURE “PARADISE”
Krystal “Solitary”
JUSTB “CHEST”
NMIXX “Blue Valentine”
RIIZE “Fame”
cosmosy “Physics~物理的な~”
CLOSE YOUR EYES “X”
などなど、グループ、ソロ、キャリア不順に挙げてみた。

 

K-POPの変化と拡張

以上、2025年のK-POPの動きを、駆け足で振り返ってきた。個人的には、f(x)“4 Walls”などをきっかけに、K-POPにハマり始めたのが2015年なので、今年で10年になる。当時は〈韓国のポップミュージック〉というそのままの意味であった〈K-POP〉だが、この数年で〈韓国のレコード会社の手法によって作られた音楽〉という意味に完全に切り替わった印象だ。ハリウッド制作でなくとも〈ハリウッド映画〉と評される映画があるように、それはジャンルではなくグローバルビジネスの一形態として確立しつつある。KATSEYE~cosmosyのような多国籍グループの存在や、産業ロックへの接近、IP~キャラクタービジネスの展開など、今年のヒット曲を眺めても、その拡張性、〈手法〉としての広まりが感じられる。

一方、昨年から始まったHYBEとミン・ヒジンの係争は、今年に入っても明確な決着を見せず、来年まで持ち越されるようだ。その影響でNewJeansもまた、引き続き活動停滞を余儀なくされている※。この一件は、K-POPもまた、他の音楽ビジネスと同じく、カルチャーや表現である以前に、巨大な資本と契約に支えられた芸能産業である現実を、改めて浮き彫りにした。

※編集部注 本日12月29日、NewJeansの所属事務所ADORから発表があり、メンバーであるハニの専属契約が継続することになった。またダニエルは、専属契約を解除された。さらにADORは、ダニエルの家族1人と同社の元CEOミン・ヒジンの法的責任を追及することも明かしている

その点で、「デーモン・ハンターズ」のヒットや、PLAVEやISEGYE IDOLといったバーチャルグループが台頭しつつあるのは、自然な流れなのかも知れない。aespaのアバター展開であるaeがその先駆的存在だと思うが、アイドル本人のプライベートや実人生への負担が軽減されるという点では、このスタイルが発展する可能性は大いにある。この手のジャンルには強い日本だが、先日もYENAと初音ミクのコラボは話題を呼んだ。〈リアルかバーチャル〉の二択ではなく、どちらも行き来するような存在が増えていくのかも知れない。

K-POPのこの盛況は続くのか? とはいえどこかで臨界点を迎えるのか? 来年はどうなるのか? ……とりあえず、f(x)・KRYSTALのソロとMISAMOのアルバムが楽しみなことは確かだ。

KRYSTAL (f(x)) 『Solitary』 BANA(2025)

MISAMO 『PLAY』 ワーナー(2026)