ジョン・フルシアンテの新作とリンクしそうな作品&関連作を紹介
ジョンの新作では至るところにジャングルのビート・パターンが確認できます。そこに時折ドリーム・ポップ/シンセウェイヴ風味がチラリ。で、思い出したのがこちらの一枚です。複雑なリズムのなか、モワモワと叙情的なメロディーが浮き上がってくる点も何となく似てるかな。
新作の録音前にジョンは必ずサバスを聴いていたそう。この3作目でのグルーヴィーでスロウなヘヴィー・メタルにジャングルのリズムを組み合わせたいという彼の狙いは、メロディーがゆったり広がる“Run”で実現。
2005年の7インチ群をまとめた本作について、「電子楽器を使ってファンクを進化させている」と発言したジョン。彼がアナログ・シンセを積極的に用いるきっかけとなった一枚であることは、まず間違いないでしょう。もちろん新作でもアンビエント・テクノ要素が。
仲良しのRZAを通じてこのラップ・デュオと知り合い、本作をプロデュースすることになったジョンは、不協和音を加えながらヘヴィー&ダークなトラックを創造。全体のくぐもった音像が90sのロウカス作品チックで、初めて本格的にヒップホップを作ったとは思えません!
決して上手なわけじゃないけど、物憂げで味のあるジョンのヴォーカルがリンチとかぶるのは私だけ? 遅めのビートに不穏なギター音を這わせた『Enclosure』最終曲での、詩的情緒豊かな歌い回しなんてモロでしょ!
ジョンが敬愛するバンドの最新作。〈21世紀版『Violator』〉と高評価を受けるここでのオーガニックでブルージーなインダストリアル・サウンドが、『Enclosure』収録の“Zone”に与えた影響は絶大なはず。
「〈PBX〉より明るくしたかった」と語る『Enclosure』と、ミュージックがホラーチックな前作を経て辿り着いたこの幸福感溢れる一枚──メロウなブロークンビーツやアトモスフェリックなシンセなど共通項は多いです。