キャリアを総括するような活動が目立った2010年以降のハイド

UNDERWORLD 『Barking』 Cooking Vinyl(2010)

ダブファイア、アップルブリム、ハイ・コントラスト、PVDなど全編でコラボレーターを起用した、キャリア史上もっともセンセーショナルかつダンスフロアに寄り添った一枚。意外性に満ちた共演の連続だが、予想を覆してすべてがしっくり。

 

UNDERWORLD 『Frankenstein』 Underworldlive.com(2011)

「トレインスポッティング」をきっかけに何かと絡んできた盟友、ダニー・ボイルが監督を務める演劇のサントラ。手掛けるのはもちろんアンダーワールドだ。ここでは荘厳さ、不気味さ、美しさ、悲しさなどさまざまな表現をダイナミックに紡いだ一大スペクタクルを展開している。

 

デヴィッド・リンチ 『Good Day Today / I Know』 Sunday Best(2011)

“Good Day Today”のアンダーワールドによるリミックスを収録。滑らかな質感と多幸感にまみれたビートからして彼ら節満点だが、さらにハイドのヴォーカルを乗せたものだから、もう2人の独壇場だ!

 

UNDERWORLD 『A Collection』 Cooking Vinyl(2011)

ベスト盤だからと侮ることなかれ。ハイ・コントラスト&ティエストとのコラボ・チューンやイーノ&ハイドの共作曲など、翌年に登場する『1992-2012 The Anthology』には未収録のナンバーがチラホラ。何より“Born Slippy Nuxx”や“Rez”がショート・エディットというのもマニア心をくすぐる。

 

HIGH CONTRAST 『The Agony & The Ecstasy』 Hospital(2012)

ドラムンベース界の雄による現時点での最新作。ハイドは、ティエストも交えたユーフォリック・ベース“The First Note Is Silen”と、大作映画のサントラみたいなスケール感のある“Two Hundred & Thirty Eight Days”でエレガントなヴォーカルを披露。

 

UNDERWORLD 『1992-2012 The Anthology』 Cooking Vinyl(2012)

CD3枚に合計25曲を詰め込んでこれまでのキャリアをひとまとめ。ヒット・チューンをフルレングスで収録しているのも嬉しいが、目玉となったのが貴重な初CD化音源をまとめたDisc-3。単なるベスト盤以上に価値を高めたことは言うまでもなし。

 

VARIOUS ARTISTS 『Isles Of Wonder: Music For The Opening Ceremony Of The London 2012 Olympic Games』 Decca(2012)

2012年、アンダーワールドはダニー・ボイルと共にロンドン五輪の開会式をプロデュースすることに。その時の公式コンピがこれだ。リックが監修を務めた本作には、アンダーワールドの書き下ろし2曲も収録。またハイ・コントラストの重用も見逃せない。

 

KARL HYDE 『Edgeland』 Universal/BEAT(2013)

ブライアン・イーノが企画した即興ライヴ・プロジェクトに参加して大きな刺激を受けたというハイドは、それをエネルギー源にこのキャリア初となるソロ・アルバムを完成させた。メランコリックなメロディーを、カールのウェットなヴォーカルが優しくなぞる素晴らしい歌モノ作品で、イーノ仕事のなかでもとりわけ高い評価を受けるデヴィッド・ボウイの〈ベルリン3部作〉を、ハイド本人が引き合いに出すほど自信漲る傑作だ。