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どうやって集めた?と驚く豪華プロデューサー陣が作ったビート

――1stアルバムにして最高峰に到達してしまったがゆえに、『Illmatic』は呪縛のようになってしまっている面も否定できませんよね。迷走と言ったら失礼ですが、ナズにはあまりうまくいっていないように見えた時期もあります。その後のキャリアをどう見ていますか?

「おっしゃるとおり、『Illmatic』がすごすぎて、やはりアルバム全体のまとまりで1stを超える、勝てる作品を挙げるのは正直、難しいと思います。ただ、その後もかなりいい曲を書いているので、曲単位で見れば、『Illmatic』を超えているものもあるんです」

――近年は2ndアルバム『It Was Written』(1996年)が再評価されているという話も聞きますが、『Illmatic』以外で聴くべき曲をぜひ教えていただきたいです。

「“One Mic”(2002年)は、やっぱりすごいですよね。あと、“I Can”もいい曲です。2枚目の『It Was Written』もマジでかっこよくて、ローリン・ヒルと共演した“If I Ruled The World (Imagine That)”が素晴らしい。“Hip Hop Is Dead”(2006年)も、やはりかっこいいと思います。

正直、私の意見としては、最近のナズの曲は、ハングリー精神みたいなものが明らかになくなっていて、成功した人の歌になってしまっている、余裕がありすぎる感じがします。それでも素晴らしい作品を出しつづけてはいるので、どの曲もまちがいないとは思いますね」

――ShotGunDandyさんは、『Illmatic』は何よりもリリックだと強調されていますよね。とはいえ、やはり、DJプレミア、ラージ・プロフェッサー、ピート・ロック、Qティップたちによるビートも素晴らしいアルバムだと思うんです。

「まちがいないです。かっこいいですよね。びっくりするくらい、全曲いいビートです。1994年の1stアルバムなのに、どうやって集めたんだ?と驚くメンツですよね」

――ShotGunDandyさんはビートも作っていらっしゃいますが、どの曲のビートがベストだと思いますか?

「本当に全曲いいのですが……(笑)。やっぱり、“N.Y. State Of Mind”がかっこいいですね。ただ、全曲、意外と雰囲気がちがうし、しっかりと歌詞に沿っているので、捨て曲がない。1曲を選ぶのが難しいです」

――ナズは、大量にあるストックの中から厳選したり、スタジオでプロデューサーと一緒に作っていったりと、『Illmatic』の制作時はビートへのこだわりもかなり強かったそうです。ShotGunDandyさんが解説で指摘されていたとおり、リリックと連動している部分もあって、すごく緻密に作られていますよね。

「もちろん私は現場にいなかったのでなんとも言えませんし、インタビューなどを読んであとから紐解いていくしかないんですけど、当時はラージ・プロフェッサーの存在が大きかったそうです。若手の1stアルバムということで、ラージ・プロフェッサーがナズを色々な人たちに繋げてくれたことで、このアルバムが完成している。ビートへのこだわりがあったのはまちがいないですね」