(左から)デラ、Kotetsu Shoichiro

春、CD再生委員会の春。今回は100円CDの深淵を覗き続ける男、デラさんへのインタビューをお届けします。

歌謡曲、声優、企業ノベルティ、謎の自主制作盤……サブスク化されることもなく、リサイクルショップの100円コーナーで眠る、前世紀の忘れ形見のような中古CDたち。そんなCDを大量に買い占め、独自の高速ハウスミックスでスピンするベテランDJ、それがデラさんです。

XへのポストをまとめたZINE「100円CDガイドブック①」も評判を呼ぶ中、この謎多きDJの素顔を探るべく、関東某所のデラ邸宅へ突入。部屋という部屋はもちろん、廊下から階段まで、空間を埋め尽くすCD・CD・CDの山に圧倒される委員会。「いや~、わざわざ家までどーもどーも」。マニア・おたくにありがちな無愛想さ、刺々しさとは全く無縁のデラさんの笑顔は、反射するディスクのように、キラキラと輝いていた……。

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カゴや紙袋に詰め込まれた8cm CD

幽白ニュージャックスウィング

――凄い部屋ですね……この『ライオン、ドラゴン&ビースト』っていうのは何ですか? 字面だけアース・ウィンド&ファイアーみたいですけど。

「何なんでしょうね、多分、キリスト教関係のCDだと思うんですけど。12曲目がすごい良かった。マイアミ・サウンド・マシーンみたいな曲が入ってて、DJでも使えそうですよ」

――曲名がすごい。“アンチ・キリストが現われる”“666”“もう、戦争は無い”“天の都、新しいエルサレム”……。コード譜も付いてる。こっちにあるのは「新世紀エヴァンゲリオン」のアスカ役で有名な宮村優子の短冊(8cm)シングルですけど、声優さんのCDもかなり買ってるんですね。

「そうですね。エヴァ繋がりで言うと以前、林原めぐみ(綾波レイ役の声優)のアルバムが丸ごとHARD OFFのジャンクコーナーに入ってて、マニアがまとめて売ったんだろうなと思って買いましたよ。何枚持ってるかわかりませんね」

愛用のスピーカー付きコンパクトプレーヤーとキリスト教関係(?)のCD『ライオン、ドラゴン&ビースト』
檜山修之の1stアルバム『PROTOTYPE』。ドラマCD的な寸劇も収録されている

――結構同じ盤を買ってますよね。

「部屋からなくなっちゃうんですよね。なくなっても100円なんで買っちゃうんですよ。

あ、これは『幽☆遊☆白書』の飛影役で有名な檜山修之という声優さんの『PROTOTYPE』ってCDですけど、これは凄くいいニュージャックスウィング風の曲が入ってるんですよ。国産ニュージャックスウィングでかなり上位だと思います」

――当時はこれを聴いて幽白ギャルがうっとりしてたんですかね。

「そうでしょうね。自分と幽白ギャルがうっとりしました(笑)」

――幽白ギャルがうっとりし尽くした盤をデラさんが買ってる、と(笑)。そんなCDに混じってナズ『Illmatic』みたいなド名盤や定番も雑然と混ざってますね。

「『Illmatic』、久しぶりに聴いたら超良かったんですよねえ」