人気アニメ「ガールズバンドクライ」から飛び出したリアルバンドがいよいよ躍進! 物語を彩ったエモーショナルな名曲たちを実体化するアルバムが早くも登場!

いろんな場面が浮かぶアルバム

 メディアミックス作品「ガールズバンドクライ」の劇中バンドと連動して結成された、〈既成概念ぶち壊し系エモり散らかしロックバンド〉ことトゲナシトゲアリ。リアルバンド活動と声優活動を並行して行う5人のメンバー、井芹仁菜役の理名(ヴォーカル)、河原木桃香役の夕莉(ギター)、安和すばる役の美怜(ドラムス)、海老塚智役の凪都(キーボード)、ルパ役の朱李(ベース)による同バンドが、今年4月から6月にかけて放送されたTVアニメの人気と共に大躍進している。

 〈バンド〉や〈音楽〉の夢を追って不器用ながらも真っ直ぐに進む5人の姿を描いた胸を熱くさせるストーリー。葛藤を抱えながらも純粋で現代の若者らしいリアリティを感じさせるキャラクター。東映アニメーションの最先端技術を駆使したハイクオリティな3DCGアニメーション――作品のブレイク理由にはさまざまな要因が考えられるが、やはり大きいのは、玉井健二(agehasprings)のプロデュースによって生まれた楽曲たちが放つ、尖った魅力だ。

トゲナシトゲアリ 『棘ナシ』 ユニバーサル(2024)

 そんなアニメの主題歌や挿入歌の集大成としてリリースされるのが、トゲナシトゲアリのセカンド・アルバム『棘ナシ』。アニメ放送開始前に発表してきた楽曲を収めたファースト・アルバム『棘アリ』に対して、「アニメから入ってくれた方には親近感がある、アニメのいろんなシーンを思い出しながら楽しんでもらえるアルバムになったと思います」(夕莉)と語る通り、今回は新川崎(仮)(仁菜・桃香・すばるによるバンド)やbeni-shouga(智・ルパによるバンド)名義の曲、劇中のライバル・バンドにあたるダイヤモンドダストの楽曲も併せて収録され、アニメの物語やキャラクターの背景・関係性などを踏まえた〈アニメソング〉としての醍醐味を堪能できる作品になっている。

理名「“空白とカタルシス”(11話の挿入歌)は、10話で仁菜が家族に笑顔で送り出してもらって、実家の熊本から川崎に帰る新幹線の中で歌詞を書いた、仁菜が初めて作詞した曲ということもあって、個人的にもすごく思い入れがあります。トゲトゲらしい攻撃的なサウンドで、ドアタマはベースとヴォーカルだけで始まるところとか、ギターの速弾きとか、本当にかっこいい!」

朱李「“視界の隅 朽ちる音”(5話の挿入歌)は、新川崎(仮)とbeni-shougaが合流するきっかけになった楽曲なので、ルパ的には思い入れがありますし、初めて収録されるbeni-shouga名義の楽曲、“心象的フラクタル”は智ちゃん役の凪都が歌っていて、声が加工されてボカロみたいにケロケロしているし、トゲトゲのゴリゴリなバンド・サウンドとはまた違った雰囲気で新鮮でした」

夕莉「私はやっぱり、1話の桃香が登場するシーンで歌った“空の箱”が印象深いです。まさか自分がアニメで歌うことになるとは思わなかったので(笑)。この曲は劇中で仁菜が〈すごく大切な曲〉と言っているように、アニメの中でも桃香の弾き語りヴァージョン、仁菜がメインで歌うヴァージョン、ダイヤモンドダストのヴァージョンが出てきますし、大事なシーンの裏でBGMとして流れたりもしている重要な曲なんです。私は歌のレコーディングが初体験で、普段の自分の歌声ではなく〈桃香〉として歌わなくてはいけないのが難しくて、すごく苦戦しました」

理名「ちゃんと桃香さんらしさがあってめっちゃいいと思う! 夕莉ちゃんとカラオケに行くと、桃香の歌い方とは全然違うんですよ」

朱李「普段の歌い方はかわいい!」

夕莉「そうなんです(照)。でも桃香がかわいく歌うのは違うと思って。かっこよくてクールな感じで歌うために、桃香として歌う前にはいつも〈空手家のおじさん〉をイメージして、〈自分は強いんだぞ!〉って想像してから〈河原木桃香!〉と名乗って歌うようにしています(笑)」