快進撃を続ける声優ユニットが〈第3章〉を完成!!!!!!!! 完成形へと辿り着いた8人がいま抱く、新しい夢とは?

 UNISON SQUARE GARDENの田淵智也による総合プロデュースのもと、数々のアニメ主題歌を担当してきた声優ユニットのDIALOGUE+が、通算3作目となるニュー・アルバム『DIALOGUE+3』を完成させた。2019年シングル“はじめてのかくめい!”でデビューして以来、不動のメンバー8人で走り続けてきた彼女たち。今年1月にはキャリア最大規模となる神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールでのワンマンライヴ〈LIFE is EASY?〉を成功させ、初夏には5周年ツアー〈DIALOGUE+学概論〉を駆け抜けるなど、よりユニット活動への意識が高まるなかで作られたのが本作だったと、メンバーの内山悠里菜と緒方佑奈は語った。

 「ファースト・アルバム『DIALOGUE+1』(2021年)の頃は、強くて素敵な楽曲に負けないようにがんばって追いつく構図だったのが、可愛いからカッコいいまで振り切った楽曲で冒険した『DIALOGUE+2』(2023年)やライヴの経験を経て、今回はいただいた楽曲に対してどう表現していくか、やっと自分たちで+αを付けられるようになって。その意味では私たちが歌う意味や説得力を持たせられるようになったと思います」(緒方佑奈)。

 「今回のアルバムは、最初の頃と比べたら楽曲のレヴェルが違いすぎて、歌うのが本当に難しいんです。でも、それはきっと田淵さんが私たちを信じてくださっているからこそだと感じていて」(内山悠里菜)。

DIALOGUE+ 『DIALOGUE+3』 ポニーキャニオン(2024)

 緒方いわく「田淵さんは〈DIAOGUE+の音楽をいったん完成させる〉と言っていました」という本作には、5曲のアニメ主題歌を含む全13曲を収録。「私たちの楽曲はとにかくワチャワチャしているものが多くて(笑)。特にアニメ主題歌の“にゃんぼりーdeモッフィー!!”や“イージー?ハード?しかして進めっ!”は元気で、私たちの温度感が伝わると思うので、入門編としてオススメです!」(内山)と語るなかで、彼女たちのこれまでの歩みをふまえるとグッとくる作りになっているのが、田淵が書き下ろしたリード曲“FU-TSU-TSU-KA I love you”だ。

 「すごく可愛い曲で、“恋は世界定理と共に”(2022年)に似た印象だったので、最初は可愛く歌うつもりだったのですが、もっとナチュラルに歌うようにと言われて。2番のセリフパートも、私たちは声優なのでもっとニュアンスを付けられるところを、素直に〈ありがとう〉の気持ちを込めて表現しました」(緒方)。

 「変にキャラクターを作らないで、自分自身として感謝の気持ちを乗せてほしい、という意味合いだったのかなと思います。この曲はMVもヤバくて、私たちのいままでの軌跡が流れるので〈私たちはDIALOGUE+を卒業するんだ……〉みたいな気持ちにさえなるんです(笑)。でも、最後は(稗田)寧々の〈これからも、よろしくね〉というセリフで終わるので、まだまだ続くということが伝わりますし、ラヴソングっぽい歌詞ですけど、私たちからログっ子(DIALOGUE+のファンの呼称)に向けての歌にも捉えられると思います」(内山)。

 他にも、緒方が「Bメロのリズムが超難しいところを任せてもらえて、稗田と私で歌っているのでぜひ聴いてほしいです!」とオススメする照井順政(ハイスイノナサ)提供の高速変拍子ロック“凍てついて秒速”、パシフィコ横浜公演のMCで村上が語った言葉〈出会ってくれて本当にありがとう〉を歌詞に盛り込んで村上自身が歌うNeko Hacker製のカワイイ・フューチャー・ポップ“dialogue+kawaii”といった新曲が並ぶなかで、〈行こう! 君と一緒に!〉と歌う田淵制作の煌びやかなロック・ナンバー“流星群の向こうで”は、ラストを飾るに相応しいエモーショナルな輝きを放っている。

 「個人的に“かすかでたしか”も、私が活動休止しているなかで録った曲で、当時はDIALOGUE+に戻れるかわからない瀬戸際で歌っていたこともあり、いまは8人で歌えている現状にすごくエモくなるんです。だけど、それにも増して“流星群の向こうで”が今作ではイチ押し。この曲は“ぼくらは素敵だ”(2020年)みたいに、田淵さんから私たちへのメッセージのように感じていて、〈僕ら 信じて走ってきた!〉という歌詞を含めて、〈君たちがいままで歩んできた道は間違いではないよ〉と言われている気がするんです。それを田淵さんから言ってくれることが、私たちには何より自信になるし、いろいろ悩む時期もあったのですが、いまはマジでやってきてよかったなというのを感じさせてくれる楽曲です」(内山)。

 田淵がめざした〈DIALOGUE+の音楽の完成系〉という意味では、これまでの総決算とも捉えられる本作。だが、“流星群の向こうで”で何度も〈またね!〉と歌われるように、10月からはツアー〈チャンバワンバjourney!!〉が始まるし、彼女たちの革命は続く。

 「私、最近DIALOGUE+としての夢ができて。この間、田淵さんがUNISON SQUARE GARDENとして武道館ライヴをやったんです。それを観て、私たちもあのステージに立ちたいと思いました」(内山)。

 「えっ、私もあまりに感動して、田淵さんに〈私も8人であのステージに立ちたいです〉って伝えちゃった(笑)。ライヴを観ながら、8人で立つとしたらって想像してたもん」(緒方)。

 「あれは思うよね! 私たちの新しい夢だね」(内山)。

左から、DIALOGUE+の2021年作『DIALOGUE+1』、2023年作『DIALOGUE+2』(共にポニーキャニオン)

DIALOGUE+のシングル。
左から、2023年のシングル“かすかでたしか”、“にゃんぼりーdeモッフィー!!”、2024年のシングル“イージー?ハード?しかして進めっ!”、“ユートピア学概論”(すべてポニーキャニオン)

田淵智也が参加した近作を一部紹介。
左から、UNISON SQUARE GARDENのベスト盤『SUB MACHINE, BEST MACHINE』(トイズファクトリー)、クリープハイプのトリビュート盤『もしも生まれ変わったならそっとこんな声になって』(ユニバーサル)、内田真礼の2024年作『TOKYO-BYAKUYA』(ポニーキャニオン)