2024年10月1日、CHAGE and ASKAの全楽曲が音楽サブスクリプション/ストリーミングサービスで聴けるようになった。チャゲアスの作品は長らく配信されておらず、待望の解禁を多くのファンが祝っている。これを機に彼らの音楽に初めて触れるリスナーも少なくないだろう。このサブスク解禁を受けて、CHAGE and ASKAを愛し、リスペクトする3人の音楽家にコメントを特別寄稿してもらった。 *Mikiki編集部


 

西寺郷太(NONA REEVES)

80年代に少年だった自分にとって、CHAGE and ASKAの音楽からは常に大人の響きがしていた。90年代初頭に僕が年齢的に大人になった頃、ふたりの歌声や楽曲、そのキャラクターや佇まいは国民全体に愛される〈皆のもの〉として君臨していた。

素晴らしすぎて、愛されすぎたからだろうか、彼らの歌はこの国においてある種、日用品のような当たり前の存在となり、今もまだその価値に見合った再評価や研究対象になっていないように感じている。

僕の一番好きな曲は“恋人はワイン色”で、カバーもしたけれど、自ら再構築してみてさらに彼らの楽曲に込められた一つ一つのフレーズ、歌詞、メロディやコード進行、そして二人のハーモニーの芳醇さ、甘さとほろ苦さを味わうことが出来た。

歳を重ねた2024年の今だからこそ、思う。なぜ、ASKAさんやCHAGEさんはあんなにも〈大人〉だったのだろう、と。上質なワインのように。彼らの音楽はむしろ、寝かせて、待って、ここぞというタイミングで味わった時にこそ真価を見出せるのかもしれない。まさに今回のストリーミング解禁は、自分にとっても〈彼らの目指した遥かなる領域の景色〉をじっくりと見つめる良い機会になって嬉しい。

PROFILE: 西寺郷太(NONA REEVES)
1973年、東京生まれ京都育ち。早稲田大学在学時に結成したバンド〈NONA REEVES〉のシンガー、メインソングライターとして1997年にデビュー。 以後、音楽プロデューサー、作詞・作曲家としても少年隊、SMAP、V6、YUKI、鈴木雅之、岡村靖幸、私立恵比寿中学などの多くの作品、アーティストに携わる。日本屈指の音楽研究家としても知られ、近年では特に80年代、90年代の音楽の伝承者としてテレビやTBSラジオ「アフター6ジャンクション2」などラジオ出演、雑誌連載など精力的に活動。マイケル・ジャクソン、プリンスなどの公式ライナーノーツを手がけるほか、執筆した書籍の数々はベストセラーに。代表作に小説「噂のメロディ・メイカー」(扶桑社)、「プリンス論」(新潮新書)などがあり、2023年1月には初の自伝的小説「90’s ナインティーズ」(文藝春秋)を出版。ソロ活動では2023年3月に日本の名曲をカバーした3枚目のソロアルバム『Sunset Rain』をリリース。2024年6月に自身のYouTubeチャンネル〈Nishidera Gota Channel〉略して〈NGC〉を開設。
X:https://x.com/Gota_NonaReeves
NONA REEVES オフィシャルサイト:http://www.nonareeves.com/

 

Ms.OOJA

私のチャゲアスの思い出は小学生の高学年の時、クラスのホームルームの時間にみんなで歌を歌うみたいなコーナーがあって、代表者が好きなCDを持ってきていたんですが、チャゲアス多かったと記憶しています。なかでも私は“モーニングムーン”が好きでした。

子供だったので歌詞の意味はいまいちわからなかったけど、切ないメロディとリズムが心をくすぐるものがあり、クラスみんなで熱唱していた記憶があります。モーニングムーンだけでなく、当時歌ってたものからその前後各年代の名曲をサブスクで気軽に聴けるというのは本当に嬉しい限りです。しばらくチャゲアス沼にどっぷりハマりそう。

PROFILE: Ms.OOJA
三重県出身(三重県観光大使、四日市観光大使を兼任)。2011年2月16日、シングル“It‘s OK”でユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。翌2012年、仲間由紀恵主演のTBS系金曜ドラマ「恋愛ニート~忘れた恋のはじめ方~」の主題歌に5thシングル“Be...”が大抜擢される。同曲は全国テレビ・ラジオ50局でパワープレイされ、レコチョクの2012年上半期ランキングで4冠を獲得、合計100万ダウンロードを超える大ヒットを記録。“Be...”を収録した2ndアルバム『HEART』はオリコンデイリー アルバムランキングで初登場1位を獲得し、売上は10万枚を突破。オリジナル曲に加えカバー曲も絶大な人気があり、世代を超えて愛されている。歌謡曲を中心にカバーをした『流しのOOJA』シリーズ3作には松原みき“真夜中のドア〜Stay with me”、竹内まりや“プラスティック・ラブ”、安全地帯“ワインレッドの心”などを収録しており、非常に人気を博している。Ms.OOJAの歌声は宇多田ヒカルや美空ひばりも同じ特性を持つ、人にヒーリング効果を与える声と言われる〈1/fのゆらぎ〉のシルキーボイスで、その声で作品だけでなくライブでも多くの人を魅了し続けている。2022年3月にメジャーデビュー10周年を記念した初となる日本武道館単独公演〈Ms.OOJA 10th Anniversary Live ”はじまりの時”〉を大成功させ、さらに活躍の場を広げている。