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Photo by 三浦麻旅子

パンクとはピュアな信念

――そして2人になって1年10カ月が経ち、1枚のアルバムを完成させましたが感触はいかがですか?

Misaki「サポートでベースを弾いてくれているイヤマちゃんも含めて、これまでで最も音楽的なルーツが近いメンバーなんです。過去にはメロコアやポップパンクの要素を出しづらい場面もあったし、異なる趣味同士のメンバーによる相乗効果というか、私自身もいろんな音楽が好きだから、SpecialThanksもそういう多面的な音楽性みたいなものを打ち出していたこともあったけど、やっぱり私のやれることはこれだなって。すごく素直な気持ちでやれてます。一周回って戻ってきた感覚ですね」

――そしてアルバムタイトルが『PUNK RECORDS』。大きく出ましたね。

よしだ「ですよね(笑)」

Misaki「今回はタイトル先行で作りました」

――では、お2人にとってパンクとは?

Misaki「う~ん、言葉にするのは難しいですね……。あえて言うと、このアルバムはほんとうのパンクをあまり知らないバンドが作ったパンクのアルバムかもしれない」

よしだ「あえて言うとね」

Misaki「パンクとは……。何が正義で何が悪か、一つの言葉や現象が捉え方によって光にも闇にもなることって往々にしてあると思うんです。例えば身内や仲間がよくないことをしたときに、かばうにしてもあえて突き放すにしても、それらの行動にはさまざまな見え方や印象が存在するわけで。いずれにしても私の中にあるのは愛する人を守りたいという感情でそこは揺るがない。そう! 最近ここにきて信念という言葉にハマってるんですよ。誰に何と言われようと自分はこれだと思ったもの、それがパンクなのかも」

よしだ「1970年代のオリジナルパンクがあって、1990年代のメロコアブームがあって、2000年代にポップパンクが流行って、大雑把ですけどそういう流れがあって、そこにはさまざまな考え方がありますよね。僕らの曲を聴いて〈こんなのはパンクじゃねえ〉って言う人もいると思うけど、自分たちがほんとうに純粋な気持ちで自由に作ったものなら、そんな言葉は気にならないわけで」

Misaki「純度の高さは大切かもしれない。キーワードはピュア!」

――確かに、2人の信じるポップパンクやメロディックパンクの、そうたらしめる演奏や音の形式、歴史へのリスペクトをストレートに感じさせながらも、2人が作るからこそのオリジナルな世界観の広がりのある、とても感情的でピュアな作品だと感じました。

Misaki「ありがとうございます。パンクは汚れた思考が入っちゃいけないんですよ」

――しかし、何をしてピュアとするのかは難しい話ですよね。SpecialThanksはYouTubeのくだりでおっしゃったようにバズりたい、すなわち売れたいバンドとなると余計にそうかと。

Misaki「一言で純度と言っても一人ひとり考え方は違うので、私とよしだという最少単位でも小さな食い違いはよくあります。だから、売れたい気持ちが先行している状態で届くレンジを広げようとしたり、それにともなってバンドの活動に関わる人を増やそうとしたりするとなおさら、音楽そのものの純度は失われていくっていうのは、あると思います。

それに対して今回は、少ないメンバーでアルバムの軸をパンクに置いたので、制作はめちゃくちゃスムーズに進みました。〈もっと荒ぶっていこう〉とか、〈ここは一発で録ろう〉とか、〈それちょっと色気づいてない?〉とか、すべての選択の基準がパンク=純粋な気持ちかどうかみたいな。そうやったときに、私もよしだもレコーディングメンバーも、みんなほぼ意見が一致するんですよね。このチーム感が大きくなっていいものを世に放てるようになったらいいなって、思います」

よしだ「〈オレらパンクバンドだから誰の言うことも聞かねえよ〉というスタンスではないので。絶対に譲りたくないものはありますけど、人の話を聞く耳は持っていたいし、いいと思ったことはどんどんやっていきたいですね」