
音楽の魔法にかけられて
――その柔軟性も今作のおもしろいところですよね。1曲目の“Dawn...”はいきなり打ち込みの高速ブレイクビーツから入って、8ビットのゲームのようなサウンドと壮大なSF映画のような世界観とともに、得意のメロコアが疾走するミクスチャースタイルで、王道と意外性の融合に驚きました。
Misaki「ライブを想定したSEみたいな曲にしたいと思って、エンジニアさんと一緒に作りました」
よしだ「僕が『ボンバーマン』や『ロックマン』といった初代ファミコンのゲームが好きで、8ビットのサウンドはその影響ですね。打ち込みのビートやSFっぽい感じは、僕がリクエストしたものをエンジニアさんがかたちにしてくれました」
Misaki「このアルバムの軸はパンクと言いましたけど、サブの軸は宇宙なんです。で、“Dawn...”は宇宙っぽく打ち込みのまま終わろうとしたけど、やっぱり私たちらしく生音も入れようってなったんだよね」
――なぜ宇宙なんですか?
Misaki「長年バンドで作詞をしていると、書きたいこととか伝えたいことがなくなってくる。そうなると宇宙に行っちゃうっていう、これけっこうあるあるだと思うんですけど……」
――そうなんですか?
Misaki「たぶん(笑)。で、ここ数年は宇宙に行き過ぎて、それはそれで楽しいけど歌詞があまりに訳のわからない内容になるのも違うし、戻るところは戻らなきゃっていう感覚が出たアルバムでもあるんですよ」
――“Romance”の歌詞に惹かれました。音楽に宛てたラブレターみたいで。
Misaki「音楽の魔法にかけられた自分たちの歌ですね。音楽をやっていると、あの時もっとこうしていれば、みたいなことを言われたこともあるし、自分で思ったこともあるし、それでやめようとも思ったけどやっぱり音楽をやっちゃう。抜け出せないんですよ。だったらそういうことを考えずにやっていきたい。そんな自分へのメッセージでもあり、それが聴いてくれた誰かに届いてほしいという想いもあります」
――リズムやドラムのフレーズの遊び心も興味深いポイントでした。“地球防衛軍”の2コーラス目のサビ前〈武器を捨てて種を蒔くのだ〉の部分、歌が話し口調になるところに合わせるようにキックが入る。フィルというかキックも話している、みたいな。
よしだ「確かに、〈これフィルって言っていいのか?〉みたいな(笑)」
Misaki「あそこはドラムのフレーズが決まってから歌をメロディじゃなくて台詞にして。ドラムは取る案もあったんだけど残したんだよね」
――“Romance”のサビで急にテンポダウンする2小節があったり。
Misaki「前に〈BPMに変化があったほうがいいよね〉って話していて、それを今回はやろうって感じじゃなかった?」
よしだ「今は2人になったからこそいろいろできるっていうのもあるよね。シンプルなビートだけでなくテンポ感に変化があるとか、手数が多いとか、もともとそういうドラムも好きで試してみたときに、Misakiがイエスかノーかだけになったので。
あとはYouTubeでカバー動画をアップするようになったことがきっかけでDTMを使い始めたのも大きいかもしれません。打ち込みでフレーズを作って生で叩いて調整して、といった作業がおもしろくなってきたんです」