〈魂を揺さぶる〉チェリスト、満を持しての無伴奏チェロ組曲をリリース! 来日も間近に!

 〈魂を揺さぶる〉という言葉、そのもののような音楽家だ。ジョヴァンニ・ソッリマ。名曲“チェロよ、歌え!”の作曲家にして、100人以上のチェリストが合奏する〈100チェロ〉などのプロジェクトで知られるアーティスト。シチリア島の古都パレルモの音楽一家に生まれ、歴史や芸術を愛する彼は、相棒のチェロを通していつも「ともに生きよう」と語りかけてくる。

GIOVANNI SOLLIMA 『J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲、他』 Brilliant Classics(2025)

 そんな彼が、バッハの無伴奏チェロ組曲をレコーディングしたと聞いたときは心が躍った。チェリストにとっての聖典を、〈鬼才〉ソッリマがいかに表現したのか。期待はやはり、いい意味で裏切られた。驚くほど端正で、静謐なバッハ。しかし時折聞こえる独特の弦のうねりが、息づかいのように、ソッリマがここにいると感じさせてくれる。私がいる。ここで生きていると。2枚の無伴奏チェロ組曲と、そこから派生した多彩なチェロ作品で構成された3枚組のアルバムは、光あふれる朝も、孤独な夜も、繰り返し聴きたい作品になった。

 じつはレコーディングは2021年3月、コロナ禍のイタリアで行われていた。夜間外出禁止令が続く中、無伴奏チェロ組曲とその周辺をじっくり研究したというソッリマ。その成果としてのアルバムには、あの頃私たちが共有していた静けさや寂寥、せつなる希望がたしかに存在しているようにも思う。

 ほとばしる情熱で聴衆をも巻き込んでいく 〈100チェロ〉がソッリマの代名詞なら、このアルバムは彼の素顔といえるのかもしれない。それはまるでシチリアの陽射しのように、時折翳りを孕みながら、尽きることのない愛を私たちに注ぐ。

 この3月には、約1年ぶりの来日が予定されている。関西初の〈100チェロ〉開催はもちろん、無伴奏チェロ組曲をメインに据えたリサイタルや、読売日本交響楽団との共演を待ち望む人も多いはずだ。国境や世代、キャリアを超えて、世界をつなぐソッリマの音楽が、新しいうねりを生み出すことを願ってやまない。

 


LIVE INFORMATION
ジョヴァンニ・ソッリマ 無伴奏チェロ・コンサート2025
「Giovanni Sollima plays BACH!」

2025年3月25日(火)東京・浜離宮朝日ホール
2025年3月26日(水)東京・紀尾井ホール

読売日本交響楽団
2025年3月20日(木・祝)神奈川・横浜みなとみらいホール 大ホール
2025年3月22日(土)東京・初台 東京オペラシティコンサートホール
2025年3月23日(日)東京・初台 東京オペラシティコンサートホール

■曲目
ソッリマ:“チェロよ、歌え!”、多様なる大地 ほか

100チェロ・コンサート「チェロよ、歌え!」
2025年3月30日(日)フェニーチェ堺 大ホール

https://plankton.co.jp/sollima/index.html