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ジョン・メイヤーは私が作曲するにあたって重要な存在

──最高な環境だったんですね! そして次はジョン・メイヤーです。ライブ盤の『Where The Light Is: John Mayer Live In Los Angeles』(2008年)。

JOHN MAYER 『Where The Light Is: John Mayer Live In Los Angeles』 Columbia(2008)

「プリンスと同じように、ジョン・メイヤーも聴きながら育ちました。家族みんなが大好きなアルバムは『Continuum』(2006年)。この『Where The Light Is』は、LAのノキア・シアターでのライブ盤で、私はこれも大好き。

ギターに夢中になったきっかけのひとりが彼なんです。このアルバムでの彼のギターはすごいんですよ。アコースティック、エレクトリック、ブルース、シンガーソングライター、カントリーなど、いろんなギターのスタイルを使い分けているんです。

特に私が好きなのは、アコースティックトリオでのセットです。“Stop This Train”、“In Your Atmosphere (LA Song)”、“Daughters”、“Free Fallin’”(トム・ペティのカバー)。この4曲は何度も何度も聴きました。このコンサートは動画もあるので、それも繰り返し見てます」

──ジョン・メイヤーがマヤさんのシンガーソングライター性に与えた影響は?

「自分が何を今感じているのかを曲の中で表現するのは、最高のセラピーでもあるんです。曲を書くのは大好きなプロセスですね。私は誰かと一緒に曲を書くことが多いんですけど、自分の感情を他人と共有することも好きなんです。ジョン・メイヤーは私が自分の曲を作るにあたって重要な存在でした。“Stop This Train”みたいな歌詞が書けたら最高だと思います」

──ギタリストとしてのジョン・メイヤーの影響も大きかったと言ってましたが、そもそもマヤさんがギターを始めたきっかけは?

「9歳の時、ビートルズの“Blackbird”をすごくギターで弾きたくなったんです。そしたら、学校の集会で男の子が見事にあの曲を全校生徒の前で弾くのを見てしまって。すごく嫉妬しました(笑)。だから、家に帰ってその夜のうちに練習して、翌日、私も学校で弾いてみせたんです。その体験が、私はもっとギターがうまく弾けるかもしれないと思わせてくれたんです」

──そこから、2020年に自宅でギターを弾き語る映像が世界中に拡散されるミラクルへとつながっていったんですね。

「配信を始めたのはコロナ禍でしたから、ネットを通じてみんなが見てくれているのはうれしかったけど、それはベッドの上でギターを弾いてたりするだけの映像でしょう? 実際に私の作品を発表し、ライブをやるとなると、お客さんが来てくれるだろうかと不安になりました。でも、幸運にも初めてのショーにたくさんの人が来てくれた。今でもその感覚を思い出すと言葉では言い表せないくらい胸が熱くなります」

 

メロディ・ガルドーに学んだ、技巧に頼らない歌い方

──次が最後のセレクトになります。メロディ・ガルドー。去年出たベストアルバム『The Essential Melody Gardot』(2024年)ですね。

MELODY GARDOT 『The Essential Melody Gardot』 Decca/ユニバーサル(2024)

「メロディ・ガルドーも、私がずっと聴いてきた大事な人です。“If The Stars Were Mine”は私が小さかった頃のテーマソングでした。とにかく彼女の歌声が大好きなんです。優しくて美しい声。“Morning Sun”が大好きなんです。モントルー・ジャズ・フェスティバルでのライブバージョンの映像があって、何回見たかわからないくらい。私のファーストアルバムに入っている“Begin Again”は、あの曲の影響を強く受けてます。私のSpotifyで4年連続で再生回数ナンバーワンなんですよ」

──メロディ・ガルドーの真似をして歌うというより、あなた自身の歌い方を見つける手立てになったという意味での影響なんでしょうね。

「その通りです。彼女はすごく穏やかな歌声をしているし、変な小細工もしない。ジョン・メイヤーやメロディ・ガルドーからは、テクニックに溺れずに歌そのものに語らせるというやり方を学んだと思います」

──メロディ・ガルドーはジャズの名門デッカからデビューしましたが、マヤさんはブルーノートからのデビューということで話題を呼んでいます。あなたにとってジャズとはどういう音楽ですか?

「2022年にブルーノートと契約することになって思ったのは、〈ああ、私も本格的なジャズミュージックを作らなくちゃいけないのかな〉ということ。もちろん私はジャズも聴いて育ってきたし、自分の音楽にジャズの要素を取り入れるのは大好きなんですけどね。でも、ブルーノートのトップであるドン・ウォズは、〈好きな音楽を作ってくれればサポートするよ。2時間のサイケデリックなアルバムを作りたければ、そうすればいい〉と言ってくれたんです。

ジャズレーベルのトップがそんなことを言うのはとても珍しいことですよね。彼はビジネスマンである前にまずミュージシャンだったから、私の気持ちを完全に理解してくれたんだと思います。アルバムの制作期間中、曲ができるたびにドンには音源を送っていたんですけど、いろんなアドバイスをくれたり、本当に協力的でした」

──ブルーノートから、マヤさんはニール・ヤングのカバーでカサンドラ・ウィルソンのバージョンも知られる“Harvest Moon”も配信リリースしていましたよね。

「カバープロジェクト『Blue Note Re:imagined II』(2022年)のためにレコーディングしたんですけど、あの曲は私のチョイスなんです。私たち一家や友人たち30人くらいが集まって毎年のクリスマスパーティーをやるとき、必ずみんなで歌っている曲だから。私にとってはすごく深い意味があるんです」