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もはやクラシックの域

 昨年の全米オープン男子テニス決勝を観戦していたテイラー・スウィフトが会場で流れる“I Believe In A Thing Called Love”に合わせてマイムを見せる動画がバズって……てな感じで音楽の機能が少しばかり変わろうとも、それそのものの魅力はたぶん変わることはない。ダークネスが2003年に発表した同曲は、2020年に英Classic Rock誌の読者投票で〈21世紀のベスト・ソング〉に選ばれるなど、現代の目線から見ればこのバンドはロック黄金時代のジャイアンツと比肩するクラシックの域に足を踏み入れていると言っていいのかもしれない。

 この3月にはウェンブリー・アリーナでのファイナルへ向かうUKツアーも開催しているところで、そんななかでこのたび登場したのが、バンドにとって通算8作目となるニュー・アルバム『Dreams On Toast』だ。2021年の前作『Motorheart』もそうだったが、彼らの特徴であるブリティッシュ・ハードのグラマラスな華やかさは今回も揺るぎのない安定感で迫ってくる。というか、本人たちは変わらなくても、トレンドの追求そのものが目的になったような周囲の状況も相まって、相対的に彼らの迷いのなさが際立って響いてくるようなタイミングなのだろう。ノスタルジックでありながら新鮮、恐ろしく重厚にして途轍もなく軽薄、大真面目でありつつ笑えるほどユーモラスな彼らの魅力は、幕開けの“Rock And Roll Party Cowboy”(なんというタイトル!)から最高に甘美な魅惑の時間を約束してくれる。爆発的なアンセムで満たされた好盤だ。 *狛犬