2025年から野本慶のソロ・プロジェクトとなったMeg Bonusのファースト・アルバムが完成。ジャズとクラシック双方からの影響を消化した作曲と、浮遊感のあるフューチャリスティックなトラックメイクを掛け合わせた楽曲はどれも素晴らしく、すべてを一人で手掛ける野本の力量が伝わってくる。アカデミックには振り切らない、歌声の親密さとメロディーのポップさもいいし、もっともエモーショナルな“春になれ”を筆頭に、楽曲の背景には深い内省や焦燥が感じられるのも魅力的。ジェイコブ・コリアー以降の才能であり、同世代の原口沙輔とも時代感を共有するような、まさに音楽的新人類。