即完したマイルス・デイヴィス『コンプリート・ライヴ・アット・ザ・プラグド・ニッケル1965』、好評を受け待望の再プレス決定

マイルス・デイヴィスのボックスセット『コンプリート・ライヴ・アット・ザ・プラグド・ニッケル1965』がアンコールプレスされる。

1992年3月に7枚組として日本盤のみで初めてリリースされたあと、1995年にアンコールプレスされ、さらに長尺で収められたコンプリート版の8枚組がアメリカでリリースされた『コンプリート・ライヴ・アット・ザ・プラグド・ニッケル1965』。本作は米シカゴのクラブ、プラグド・ニッケルにおける1965年12月22日1st～3rdセットと12月23日の1st～4thセットの演奏を収録したもので、メンバーは〈第2期黄金クインテット〉と呼ばれたウェイン・ショーター（テナーサックス）、ハービー・ハンコック（ピアノ）、ロン・カーター（ベース）、トニー・ウィリアムス（ドラムス）だ。

本作の録音当時、ジャズシーンではフリージャズが新しい潮流として台頭していたため、マイルス以外の若手メンバーたちはマイルスのソロが終わるとステージ上でフリージャズ寄りの演奏を展開しはじめ、マイルスが再び吹き始めるとまた元通りの演奏に戻る、という緊張感の高いライブパフォーマンスが聴ける全39曲のドキュメントになっている。

また本作はショーターが加入し、このクインテットのメンバーになってから初のライブブレコーディングとなった『Miles In Berlin』（1964年9月録音）、初のスタジオレコーディングとなった『E.S.P.』（1965年1月）に続く録音であり、その後の2作目のスタジオアルバム『Miles Smiles』（1966年10月）までの期間を繋ぐ貴重な記録でもある。

『コンプリート・ライヴ・アット・ザ・プラグド・ニッケル1965』は30年近く再発されていなかった伝説的なボックスセットだったが、2023年10月、タワーレコード限定で国内盤として初のコンプリート仕様・US盤を踏襲したパッケージで復刻された。そちらは最新リマスタリング音源を使用し、世界初のSACDハイブリッド化がなされており、大きな話題になったため瞬く間に完売し、その後は入手困難になっていた。そんななか今回、めでたくアンコールプレスが実現、1,000セットの完全限定盤でリリースされる。

復刻については以下のとおり。

・海外保管の現存する最良のコンディションのオリジナルアナログマスターを使用（ほぼ同等の内容であるUS盤CD制作時のマスターは所在不明により）
・上記アナログマスターから192KHz/24bitにデジタル化された音源を用いてマスタリングを行いDSD化、世界初SACDハイブリッド化を実現。
・CD層も最新リマスタリング音源を使用。
・マスタリングエンジニア：鈴木浩二氏、石橋香氏（ソニー・ミュージックスタジオ）
・最初にリリースされた国内盤より10曲ほど1～2分長いトラック、9分以上長いトラックなどを収録（国内盤として初コンプリート化）。
・新規解説は小川隆夫氏。16ページ英文ブックレット、各ディスクのブックレットの日本語翻訳あり。
・ステレオ録音。

なお合計7回の各ステージを各ディスクに収録するため、ディスク2はaとbという2枚に分けられた8枚組になっている。

ちなみに2025年はUS盤のリリースから30周年、レコーディングから60周年、ハービー・ハンコックの生誕85周年、トニー・ウィリアムスの生誕80周年、さらに来たる2026年はマイルス・デイヴィスの生誕100年だ。トピックが盛りだくさんで今こそ再び聴きたい作品である。貴重なボックスセットの好評を受けた再プレスなので、前回買い逃した人はぜひ購入してほしい。