武満徹以後の日本を代表する作曲家の一人、細川俊夫。8月中頃に彼の新作オペラ「ナターシャ」が上演され、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで目覚ましい活躍をしている。今年の6月にリリースされた『日本作曲家選輯』の最新シリーズではそんな細川の近作であるフルート協奏曲“セレモニー”とオペラ「二人静」が収録されている。いずれも非常に空間的な音響表現が顕著な作品で、中でも能楽師の青木涼子と劇作家の平田オリザとのコラボレーション作品である「二人静」では、現代の難民問題と日本の伝統芸能である能楽の主要タイトルである「二人静」の世界が見事に融合した実に審美的な作品です。