現在最も注目を集める日本人作曲家と言っても過言ではないだろう。そんな細川俊夫が師を同じくするドイツ人研究者シュパーラーと対話形式で語った自らの事。作品に通じる道…師・尹伊桑、ラッヘンマン、フーバーらの音楽という縦の糸。『響は沈黙から生まれて、再び沈黙へと回帰する』その思想へと至る宗教、自然という横の糸。それによって紡がれた美しくもモノトーンの水墨画のような世界観がいかにして成されたのかが解る一冊。2018年には新しいオペラの初演が決定しているとの事で、事前にこの本で作曲者の実像を見通せば、その作品を更に楽しめるのではないだろうか。