「大鴉」といえば、エドガー・アラン・ポー晩年の傑作として、日本はもとより、世界中に影響を与えた(かの芥川龍之介も影響を受けている)物語詩。鴉が語る「Nevermore(二度とない)」という言葉は、詩の中核を担う言葉として強烈な印象を残す。現在の日本を代表する細川俊夫もこの作品に魅せられ、その幻想的かつ破滅的な世界観を音として表した。その姿は現代の音色だけかと思えば、要所要所で和楽器が顔を出し、世界の輪郭を浮き彫りにしてゆく。詩の内面で目を向け、能につながる世界観を見出した氏だからこその楽器の使い方。そこに重なる「Nevermore」の言葉…凄いです。

『細川俊夫:大鴉(THE RAVEN)~メゾ・ソプラノと12人の奏者のためのモノドラマ』リリース発表&記念コンサート映像