Is This The Real Life...?
メジャー・デビュー20周年を迎えた3人が、SF世界とパーソナルな感情の交錯する物語を描いたコンセプト作の続篇『ネビュラロマンス 後篇』を完成! 新たな次元へ進化していったその先には……
どんな過去とも異なるノスタルジックな未来
2024年にリリースされた『ネビュラロマンス 前篇』に続く、コンセプト・アルバム2部作の〈後篇〉。〈前篇〉のレトロ・フューチャーな世界観を引き継ぎ発展させた作品で、とりわけサウンドの面における80s趣味の極めっぷりが凄い。このアプローチは2022年の『PLASMA』あたりから推し進めてきたものではあるのだが、気がつけば相当に遠いところまで到達している感があり、近年のPerfumeをしっかりフォローしていなかった向きは相当に面食らうのではないだろうか。導入を経ての“再起動世界”“ネビュラロマンス”ではエレクトロ・フュージョン〜フューチャー・ファンクを展開し、哀愁のハイエナジー“ソーラ・ウィンド”やコズミック・ディスコ“Virtual Fantasy”へと進む。ヴェイパー・ウェイヴ的なタッチでアイドル歌謡のレプリカを生成したような“Teenage Dreams”も静かな驚きをもたらす逸品だ。こうした80年代リヴァイヴァルを濃縮還元したサウンドに、スペースオペラもサイバーパンクもタイムループも持ち込んだSF的なストーリーを接合することで、ノスタルジックなようでどんな過去とも異なる、ある種のメタバースへと聴き手を誘う。振り切れ方が痛快かつおもしろいし、シンプルに粒揃いの楽曲が並ぶポップ・アルバムとして見ても文句なしの作品だ。 *澤田大輔
物語性とレトロ・フューチャーな音色の見事な調和
2005年のメジャー・デビュー曲“リニアモーターガール”の時点で、近未来的なSF世界をコンセプトにしていたPerfume。以降も正確無比なダンスとテクノロジーの融合などを通じて、常に未来的な先進性を纏っていた。そしてSF世界を作品の舞台そのものに据えた『ネビュラロマンス』2部作では、Perfumeの王道や原点への回帰よりも、そのアートフォームの進化が目覚ましい。このたび届いた〈後篇〉では従来のハウス路線からシンセ・ポップへの移行が進み、楽曲が織り成す物語性とレトロ・フューチャーな音色が見事に調和している。バンド・サウンドによる“再起動世界”をはじめ、グラウンド・ビート調の“Virtual Fantasy”、ディスコ・ファンクな“Moon”、 スロウなフュージョン“Teenage Dream”も印象深い。曲の礎となるコード進行やプロダクションに、かつてないほどの実験と工夫を凝らしつつ、あくまでもポップでタイムレスな仕上がりに唸らされるが、それも3人の歌声とハーモニーに揺るぎない力があるからだろう。
〈前篇〉のツアーでは、3人が主演するSF映画の映像も用いてアルバムを完全再現し、その音楽体験を拡張していた。〈後篇〉は2020年に無念の中止となって以来の東京ドーム公演で、その物語の幕を閉じる。そこからまた3人の新章が始まるのだろう。 *鬼頭隆生
