NITRODAYやCruyffのメンバーとして活動し、ART-SCHOOLのサポートやソロでの即興演奏など、幅広く音楽表現を展開しているギタリストyagihiromiが、初めてのソロEP『siki』とフルアルバム『lemma』を続けてリリースした。その2作が出来るまでの話を中心に、制作担当の金野篤が話を訊いた(2025年12月、横浜で)。
NITRODAYからCruyffへ、yagihiromiのキャリア
――『lemma』のCDが11月に出来て、ふと振り返ってみると、最初に会ったのは2022年の冬、横浜の(日ノ出町)試聴室でした。そこの中古盤コーナーでBOREDOMSの12インチを買っていたのが印象的で……。
「そうだったかもしれない」
――(試聴室店長の)三沢(洋紀)さんが「NITRODAYっていう有名なバンドの人なんだよ」って紹介してくれたけど、NITRODAYのことは全く何も知らなくて。高校生のバンドだったんですね。
「高校2年のときくらいからやってましたね」
――いきなり有名になったんでしょ。NITRODAYが初めてのバンド?
「そうですね。ロッキング・オンのコンテスト(RO69JACK 2016 for ROCK IN JAPAN FESTIVAL)に応募して優勝したことを思い出しました。最初はラストラムにアルバム契約という形でお世話になっていました」
――今でも覚えているのが2022年の4月の1日、この日は下北沢のスタジオで『僕とジョルジュ3』のレコーディングで、13曲の録音が1日で終わって、駅前の喫煙所で一服していたら、すごく辛そうな顔をした人が入ってきて、すぐyagiさんだとわかったんだけど……。
「就職した会社に出勤した初日でした」
――声を掛けられなかった。そのとき、〈この人はソロアルバムを出さなきゃいけない〉と強く思ったんです。
「すごく最初のきっかけですね」

――それで、ギターインプロのソロライブを幾つか企画したんです。
「遊佐(春菜)さんと試聴室で2マンをしたのが最初だったと思います」
――その後も、(横浜)天王町スタジオオリーブでアメリカのバンドの日本ツアーをサポートしていたのを三沢さんと見に行ったんだよね。
「ジュディ・アンド・ザ・ジャークスっていうパンクバンドの来日イベントですね。Cruyffで出ました(2023年3月11日)」

――そのときに試聴室のイベント〈朝活〉で、朝7時から10時まで3時間のインプロワンマンお願いしたんだんだった。自由参加のセッションで。Cruyffというバンドは、NITRODAYをやりながら活動していたの?
「そうですね。その前に宅録を始めてました。高校3年生の夏に受験が終わり、暇だったので」
――バンドもやりながら?
「そうですね。宅録をしててネット上で知り合ったのが、今のCruyffのボーカル(渡邊将駿)。〈バンドをやりたい〉って言ってたから、Cruyffを一緒に始めました」