小室ぺい(ヴォーカル/ギター)のハタチの誕生日であった2020年1月12日、東京・新代田FEVERで行われたNITRODAY企画〈ヤングマシン4号〉。ゲストに招かれたのは共にメンバーが94〜95年生まれのThe Wisely BrothersとNOT WONKだ。大人の目からは一様に〈若く、未来のある、今後が楽しみなバンド〉だが、ライブハウスで切磋琢磨している当人たちには全然違う。1〜2年の差が大きなキャリアの違いとなり、刺激になれば焦りにもなり、超えるべき目標も変わってくる。10代の小室ぺいは彼らの背中に何を見てきたのか。そんなことをふと考える。

 

The Wisely Brothersの小さな天国、NOT WONKの不敵な挑発

まずThe Wiselye Brothersが小さな天国を作り出す。インディー・ポップ、サイケなどを含みながら、型にはまったロックとは異なるサウンド。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを彷彿とさせる危うさや陶酔感があり、なのに歌声はどこまでも透明、さらに3人が終始ニコニコと笑顔を浮かべているのがアンバランスな新鮮さを作り出している。考えすぎている様子はなく気負いも感じられない。彼女たちが実践しているのは、バンドを楽しむコツ、なのだと思う。

対照的にNOT WONKは挑発する。初期のパンク・ロックで湧かせたのは一瞬で、すぐにメロウなソウルへ、そこからとんでもない音量のフィードバック・ノイズを鳴らし、目眩のする轟音がフロアを襲う。数年前までは気鋭のパンク/エモと言えたはずなのに、この飛躍は本当にバケモノみたいだ。ギター・ノイズの上に乗る加藤の唱法も、ただ洋楽志向の英詞による歌とは括りきれない。すべてが不敵かつ強烈なオリジナル。NITRODAYに対しては「なんでも後出しジャンケンのほうが強いから。でもいまのところ俺のほうが強いんで、このあと覚悟して出てきて」と言い、 ハンパない爆音をかましてステージを去っていく姿にも、思わず惚れてしまう。〈格好いい先輩〉の見本のようであった。